2 我が国の排他的経済水域等における資源管理

(1)漁業管理制度の的確な運用と資源の合理的利用の促進

 資源水準に見合った漁獲を実現するため、指定漁業の許可等の一斉更新を実施するに当たって漁獲努力量の抑制に努めるとともに、漁業許可、漁業権制度による参入規制や禁漁期、禁漁区等の設定を行い、都道府県、海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会が実施する沿岸・内水面漁業の調整について助言・支援を行いました。

 TAC対象魚種の資源動向、漁業経営その他の事情を踏まえた中期的な管理方針に基づいて、TACの設定、配分を行うとともに、資源回復計画の担保措置としてTAEを設定し、それぞれの円滑な実施を図りました。また、資源管理協定制度を始めとする漁業者による水産資源の自主的な管理や、経済的価値の低い小型魚の漁獲や混獲を回避するための選択漁具・漁法の開発・普及を推進しました。

 また、漁獲量の個別割当方式の導入について検討し、日本海べにずわいがに漁業について導入しました。

(2)資源回復計画の一層の推進

 緊急に資源の回復が必要な魚種や漁業種類に着目した資源回復計画の作成及び円滑な実施を引き続き推進するとともに、資源回復を経営の改善に結び付ける観点から、需要動向に即した機動的な漁獲等、資源の合理的利用方策の検討を支援しました。

 また、資源回復計画の対象種・候補種について、地域間の連携強化による適地・適時での効率的な放流を行う体制を確立するための取組に対する支援や水産公共事業の重点的な実施を行うほか、資源回復計画に基づいて作成された漁獲努力量削減実施計画に基づき、休漁期間中の漁業経営の維持や漁具の改良等に必要な経費に対して支援しました。

(3)密漁等の違反防止対策の強化と漁業調整の円滑な推進

 都道府県、関係省庁との連携を強化して、漁業取締船・航空機により効果的・効率的な監視・取締りを行い、特に外国漁船の操業が活発化する時期・海域においては、取締船の重点配備等による集中取締を実施しました。また、指定漁業についての行政処分の運用基準の厳格化、違反常習船に対する衛星船位測定送信機の設置義務付け等により、違反防止対策の強化に取り組みました。

 漁業調整の円滑な推進を図るため、資源状況に関する科学的知見を基礎として、広域的なものは国が、地域的なものは都道府県が中心となって、必要に応じて当事者間の話し合いの場の設定の斡旋や話し合いの仲介を行うことにより、沿岸漁業者と沖合漁業者との相互理解や協議を促進しました。さらに、当事者間での合意に基づいて実施している自主規制について、可能なものから順次公的規制への転換を進めました。