1 水産資源に関する調査及び研究の推進

(1)資源評価・予測の精度の向上

 TAC(漁獲可能量)制度・TAE(漁獲努力可能量)制度の対象魚種、主要な資源回復計画の対象魚種や国際的にも資源状況の悪化が懸念されているマグロ類に重点を置いて、資源調査を実施するとともに、資源変動機構の解明に資するため、海洋環境の変動による水産資源への影響調査や資源変動予測技術の開発・活用を行い、資源評価・予測精度のさらなる向上を図ります。

 また、水産資源の持続的な確保と安定的な水産業経営に資するため、環境変動に伴う食物連鎖の変化過程解明を通じ、魚種交替の予測・利用技術及びクラゲ類大発生の予測・抑制技術の開発を行います。

(2)地球環境変動の水産資源への影響の解明

 地球温暖化を始めとする地球規模での環境変動の主要魚種への影響評価・予測を進めます。特に、藻場生態系における炭素循環のメカニズムを解明し、そのモデルを開発するとともに、日本周辺海域を対象として、地球温暖化が水産業に与える影響評価と将来予測技術の開発を行います。

 沿岸・内湾水域において、地球温暖化による沿岸漁場環境への影響を広域的・連続的にモニタリングする新たな手法の開発や、地球温暖化の影響評価・適応策の検討を行います。

図 地球温暖化による沿岸漁場環境への影響評価・適応策検討調査

(3)資源情報の積極的な提供

 資源評価結果を記述した資源評価票を作成し、ホームページで長期漁海況予報に関する情報とともに提供します。また、漁業関係者からの要望に応じ、資源の現状に関する現地での説明会を実施します。

 我が国周辺水域における水産資源の全体状況を含め、できる限り分かりやすい形で情報提供を行います。

 さらに、海流、潮汐等の海洋に関するデータ・情報や海洋の健康診断表を取りまとめて提供するとともに、水深を始めとする浅海域の地形情報を整備します。