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ホーム > 分野別情報 > 漁港・漁場・漁村の整備 > 漁港漁場情報箱 > 漁港漁場漁村のメールマガジン > 漁港漁場漁村のメールマガジン 第41号


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漁港漁場漁村のメールマガジン 2009/7/24 VOL.041

▼目次▼

【1】私からの本音トーク

水産庁漁港漁場整備部整備課
漁港漁場専門官 守口郁二

【2】おきなわの海の恵みを産業に~マリンバイオ産業創出事業~

沖縄県観光商工部新産業振興課
技術支援班長 富永千尋

【3】漁村活性化のあり方について

水産庁漁港漁場整備部防災漁村課
課長補佐(環境整備班担当) 中村克彦

【4】安全なエビの生産システム・プラントの開発
~第7回産学官連携功労者表彰農林水産大臣賞を受賞~

独立行政法人水産総合研究センター
研究推進部 生田和正

【5】生産者の手取りアップのために、産地市場で取り組めること
~「選別の効果」について~

(社)海洋水産システム協会
研究開発二部技師 岡野 利之

【6】最近の漁海況について(6月以降の状況)

漁業情報サービスセンター(JAFIC) 石井元

【7】世界の港から~地球の裏側では~

水産庁漁港漁場整備部整備課
調整班実施係長 長野正嗣

【8】ちょっといい話
●活力ある漁村づくりモデル育成事業の実施候補地区が決まりました
●今年も漁港背後集落調査を実施しています

◆7月1日付け人事異動

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【1】私からの本音トーク
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水産庁漁港漁場整備部整備課
漁港漁場専門官 守口郁二

漁港・漁場・漁村のメルマガをお読みの皆さん、日頃からいろいろとお世話になっております整備課の守口です。
私も早いもので公務員生活四十年の節目を迎えるとともに、水産庁に参りまして12年目となりました。この間に災害復旧事業、沿整事業及び利用調整事業等を担当させていただき、貴重な経験を重ねることができました。そして今春からは水産基盤整備事業の実施の担当として都道府県の皆さんと楽しく仕事をさせていただいております。
今日は、本音DEトークということで、私が最近感じていることを皆さんもよくご存じのイソップ童話の「アリとキリギリス」を題材にお話させていただきます。
作者のイソップは、紀元前619年頃、小アジアのどこかで生まれた奴隷でアンソーポスと呼ばれていました。
イソップの童話は、彼の死後も話が増え続けて、世界に広まりました。そして、伝わった国を舞台にした物語となって現代に語り継がれています。
日本には、1593年にポルトガルから伝わり、江戸時代初期(1659年)に「伊曽保(イソホ)物語」として京都で出版されています。
さて、本題の「アリとキリギリス」の話ですが、もともとは、「アリとセミ」として紹介されましたが、セミはヨーロッパでは馴染みのない虫だったのでキリギリスになったと言われています。
… 夏の間、アリたちは冬の間の食料をためるために働き続け、キリギリスは歌を歌って遊び、働かない。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、アリたちに頼んで、食べ物を分けてもらおうとするが、「夏には歌ってばかりいたんだから、冬には踊ったらどうだ?」と断られる。…
なお、それでは残酷だということで、アリが食べ物を恵み「私たちは、夏にせっせと働いていた時、あなたに笑われたアリですよ。あなたは遊び呆けて何のそなえもしなかったから、こうなったのです。」とキリギリスを戒めたという話になっている場合もあるようです。
しかしながら、実際のアリの世界では、北大大学院農学研究課の研究で、働き者の代名詞のような働きアリの中にも一割から二割の割合で働かない怠け者のアリがいるということがわかってきました。
この怠け者のアリたちは、働き者のアリたちの邪魔になるかといえば、働き者のアリたちは、その存在に関係なく普段通り働き続けます。ところが、役に立たない怠け者のアリを取り除いた働き者のばかりのエリート集団のコロニーでは、生産性は逆に低下するということも大阪府立大学大学院工学研究科の研究でわかってきました。
つまり、怠け者のアリがいた集団の方が、優秀なアリだけのいる集団よりもたくさん餌が集まるということです。優秀なアリは、餌を見つけて巣に帰るとき仲間がつけたマーキングに忠実に反応してまっすぐに巣に戻ることから新しい餌を発見する機会が少ないのです。これに比べ、怠け者のアリは、巣に帰るときもウロウロすることで新しい餌を発見するチャンスに恵まれるというわけです。
この一見怠け者に見えるアリにも何らかの役割があるという説を鵜呑みにはできませんが、人間の世界ではそうした人物が組織の潤滑油の役目を果たしている場合もあるのではないでしょうか。
私もこの話を聞いて少し気が楽になった一人ですが、皆さんはどうでしょうか?。
そういえば、この「アリとキリギリス」の童話をもとに生まれた「アリ」と「キリギリス」を足して割ったような「アリギリス」という新種の虫のことを知っていますか。そして、見たことはありますか。
「アリギリス」は、働いた分、歌い、歌ったあとはまた働く、自分に与えられたすべての力を使って生きているすてきな虫のことです。
すなわち、仕事と遊びを極める理想的な究極のライフスタイルを「アリギリス」と名付けているようです。
今回は、イソップ童話とそれにまつわる話をさせていただきましたが、自分で日頃「アリ」のように働きすぎだと感じている皆さんも時には「キリギリス」になって、「アリギリス」という魅力的な虫に羽化してください。

おしまいに、皆さんもご存じの「大山鳴動して鼠一匹」は、結果的に鼠一匹のために起きた出来事に混乱し、動揺する現代社会の様子を言い得ており妙ですが、実はこれは中国の故事ではなく、イソップ童話の「山のお産」という話から出た諺なのだそうです。
ちょっと、驚きですネ。

本日は、私のとりとめのない話に最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました。

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【2】おきなわの海の恵みを産業に~マリンバイオ産業創出事業~
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沖縄県観光商工部新産業振興課
技術支援班長 富永千尋

エメラルドグリーンに輝く沖縄の海は「島人の宝」です。沖縄県では、「おきなわの海の恵みを産業に」をテーマに、沖縄の多様な亜熱帯海洋生物資源の有効利用を目的に「マリンバイオ産業創出事業」(文部科学省都市エリア産学官連携促進事業)を平成20年度から3年計画で実施しています。
沖縄産の海藻や微細藻類の多面的な利活用に向け、機能性物質の高度利用、海藻の加工・生産技術の開発を進め、マリンバイオ新産業の創出と沖縄産海藻のブランド化を図ります。
機能性物質の高度利用では、モズクなどの褐藻類に含まれている機能性物質「フコキサンチン」の有用性を科学的に検証する他、亜熱帯性の一部魚類が保有するシガテラ毒の簡易検査キット開発も試みます。
海藻加工技術の開発では、海ぶどう生産における衛生管理技術や二次加工品の開発を行うとともに、沖縄産海藻から抽出した成分の機能性評価を行い、化粧品などへの活用を進めます。
海藻生産技術の開発では、モズク、海ぶどうの安定生産の研究をはじめ、新たな品目として、クビレオゴノリの養殖研究にも取り組みます。
事業には沖縄科学技術振興センターが中核機関となり、沖縄県水産海洋研究センターや工業技術センター等の公設試、琉球大学、健康食品企業や化粧品企業、漁業協同組合などが参加しています。また県においても、観光商工部、農林水産部、企画部が連携し、一次産業と二次産業が共に発展する技術革新モデルの創出を目指しています。
全国シェアの9割以上を占めるモズクや海ぶどうは、県の研究者や普及員、そして先進的な海人(うみんちゅ)の努力のおかげで、大きな産業へと成長してきました。モズクや海ぶどうの優位性は、単に自然の恵みだけではなく、それを活用する技術の優位性が基盤になっていると考えます。これまでに蓄積されてきた海藻養殖技術、そして新たに発見された機能性や有用物質の生産・抽出技術などを融合し、発展させ、事業化へと繋げることで、沖縄県の水産業の競争力強化と新事業の創出を図りたいと考えています。

マリンバイオ事業の概要、ニュースは下記のHPでご覧になれます
財団法人沖縄科学技術振興センターマリンバイオ事業推進室
沖縄県うるま市字州崎12番地75
Tel 098-921-0466 Fax 098-921-0467
http://subtropics.sakura.ne.jp/

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【3】漁村活性化のあり方について
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水産庁漁港漁場整備部防災漁村課
課長補佐(環境整備班担当) 中村克彦

水産庁では、漁村活性化のあり方を検討するため、有識者からなる検討委員会を設置し、全体で3回の検討委員会を開催して多角的な議論を行ってまいりました。検討委員会を設置した背景や目的等については、「漁村活性化のあり方検討委員会の開催について」と題し、本メールマガジンのVOL.039(2009/5/28)でも紹介させて頂きましたが、今般、検討委員会としての提言等が「中間取りまとめ」としてとりまとめられたので紹介させて頂きます。
本中間取りまとめのポイントとしては、1)漁村活性化の必要性を明確にしたこと、2)漁村活性化において、漁村外部からの人の呼び込み(交流、UJIターンの促進等)を重視したこと、3)海業の定義を明確にした上で、漁村外部から人を呼び込むための重要な手段として海業を位置づけたこと等が挙げられます。
水産庁としては、中間取りまとめの内容を踏まえつつ、実効性の高い施策を実施していきたいと考えており、平成22年度の予算要求も含めて必要な施策を検討中です。
なお、各検討委員会の資料及び中間取りまとめ等の資料については、農林水産省のホームページでご覧頂くことができます。アドレスは次の通りです。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/bousai/090716.html

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【4】安全なエビの生産システム・プラントの開発
~第7回産学官連携功労者表彰農林水産大臣賞を受賞~
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独立行政法人水産総合研究センター
研究推進部 生田和正

内閣府総合科学技術会議が主催する第8回産学官連携推進会議(5月20-21日、国立京都国際会館)において、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)マーシー・ワイルダー水産領域プロジェクトリーダー、養殖研究所生産技術部繁殖研究グループ奥村卓二チーム長、並びに(株)アイ・エム・ティー野原節雄専務取締役が、第7回産学官連携功労者表彰農林水産大臣賞を受賞されました。
表彰内容は、生研センター異分野融合研究支援事業において上記産学官連携コンソーシアム(JIRCASが中核機関)が推進した「安全なエビ(バナメイ)の生産システム・プラントの開発(H16~20)」です。新潟県妙高市に実証プラントを建設するなどして、輸入に頼ってきたバナメイエビの養殖技術を基礎から応用まで研究開発し、閉鎖循環式飼育技術を用いた国産バナメイエビの新養殖産業の創出に貢献しました。
本システムにおいては、垂直循環、過飽和酸素供給および沈殿物回収などの新たな技術を開発・融合させ、世界初となる閉鎖循環式の「屋内型エビ生産システム」の開発により、薬品を一切使用しないバナメイの生産体制の確立に成功しています。JIRCASはバナメイエビの繁殖技術と飼育技術の開発に、アイ・エム・ティーは生産プラントの開発に、養殖研究所はストレス評価方法の確立および検証にそれぞれ貢献しました。
本システムは、操作が自動化・マニュアル化されているため、事業経験がなくても参加でき、また、海産バナメイエビを淡水で飼育できる循環式システムのため、沿岸部のみならず内陸部の遊休地を有効利用できるメリットがあります。本システムの導入は、水産業振興、循環型社会および地域活性化につながり、更に食料自給率向上への貢献が期待されています。
同表彰には、農林水産大臣賞(平成20年度より)の他、内閣総理大臣賞、科学技術担当大臣賞、総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞、経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞、日本経済団体連合会会長賞、日本学術会議会長賞があり、水産分野の表彰としては昨年度の科学技術担当大臣賞「完全養殖クロマグロの産業化(近大)」に次いで2回目となりました。
【参照HP】
<産学官連携功労者表彰>
http://www.congre.co.jp/sangakukan/award.html
<農林水産技術会議>
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/090605.htm
<JIRCAS>
http://www.jircas.affrc.go.jp/reports/2009/090620.html
<養殖研究所>
http://nria.fra.affrc.go.jp/topics/090608.html
<IMT>
http://www.imt-japan.co.jp/imt_new2.html

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【5】生産者の手取りアップのために、産地市場で取り組めること
~「選別の効果」について~
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(社)海洋水産システム協会
研究開発二部技師 岡野 利之

はじめに
漁業経営が厳しいと言われて久しいですが、現状を打破する一つの対策として、生産者の手取りを確保するために、産地市場で取り組めることを考えてみました。まき網等の拠点となる漁港では、大量の魚が水揚げされ、様々な用途に配分されます。大きく、食用向けと餌向けに分かれますが、その際の魚市場で行なう選別の効果について考えてみます。

1.産地市場について
水産業の流通を、漁業(生産)、市場、加工、販売の各分野の実在数を表すと、漁業経営体が約11万、産地市場が約800、水産加工経営体が約1万、食品を扱う販売店が約40万であり、産地市場の数だけ桁が違います。つまり、水産業の流通工程の中で、漁獲物は産地市場に集中する仕組みになっています。
産地市場の特性によって、鮮魚向け、加工向け、餌料向け等の用途に対する割合、相場は変わってきます。例えば、年間約10万tの水揚げ量がある大量水揚げタイプ市場である長崎県の松浦魚市場(主要漁獲種:あじ、さば主要漁業種類:まき網漁業)の場合、全体の水揚げ量のうち、鮮魚向けが全体の約2~3割で浜相場の目安は、およそ200円~2,000円/kg、加工向けは約3~4割でおよそ100~300円/kg、餌料向けが4~5割でおよそ40~80円/kgとなります(この用途別割合と浜相場は、水揚げ状況等により変わります。)。

2.松浦魚市場(大量水揚げタイプ市場)の例
松浦魚市場では、九州北西部の主要水揚港も同様ですが、鮮魚向け、加工向けは、一箱15kgを単位として、魚種別・サイズ別に選別してからセリにかけるのに対し、餌向けは一般に選別を行わず大缶(=55箱)単位でセリにかけられます。そこで、(1)魚体選別機の使用と、(2)選別サイズの二点について考えてみます。
(1)魚体選別機の使用
既存の〔大型魚体選別機1台〕にかかる作業人数は約35人です。ほぼ同人数で〔手選別〕を行う場合、選別台4台、作業人数38人程度となります。漁獲物100トンの処理時間は、〔大型魚体選別機1台〕では3~3時間半、〔手選別〕では8~11時間と推計されます。魚体選別機を使用した方が、約1/3の時間で処理が可能ですが、これは、選別中の鮮度低下を抑えるとともに、同一の時間で3倍の漁船の漁獲物の処理が可能になることことを意味しています。松浦市場では、盛漁期には漁船の水揚げが集中し、水揚げ待ちが発生することがしばしばでしたが、大型魚体選別機を導入することにより、このような水揚げ待ちとそれに伴う鮮度低下を最小限にとどめ、漁獲物の鮮度を高め、販売のチャンスを拡げることができたと考えられます。一般に、大量水揚げされる場合には、魚体選別機を利用した方が、処理時間の短縮、鮮度の向上により価格が上昇し、有効と考えられます。
(2)選別サイズ
下表は、大中型まき網により松浦で水揚げされるサバの一般的な相場を示した例です。水揚量65トン、魚体の大きさの組成は標準的な割合です。
船名・漁場・魚種 第○○丸 済州島 サバ
入数/箱(サイズ目安g/本) 箱数(販売単位) 箱単価(円)
21~27入(700~550) 10(箱) 30,000~20,000
33入(450) 80(箱) 10,200~8,000
37入(400) 210(箱) 4,700~4,000
45入(350) 380(箱) 2,200~1,800
50入(300) 880(箱) 1,500~1,400
ローソク※1(300未満) 2,740(大缶※2) 900
※1:九州北部では、小型のサバをローソクと呼び、選別を行なわずに大缶単位によるまとめた状態で入札にかけられることが多い。
※2:大缶は、1缶= 55箱で換算する(箱数2,740は、大缶に換算して約50缶)。
引用資料:平成20年1月8日松浦魚市場水揚相場表
この相場(箱単価)の中値を基準にして300グラム以上を選別した場合の販売総額を試算すると、およそ640万円となります。ここから、箱代、大缶使用料、選別経費、市場手数料等の経費110万円を差し引くと約530万円になります。この額が、生産者の手取りになります。また、一般に鮮魚サバとして流通する400g以上を選別して残りを大缶による入札にかけた場合、販売総額はおよそ555万円、経費が40万円、生産者の手取りは約515万円になります。さらに全てのサバを選別せずに大缶の入札販売のみを行なった場合、販売総額はおよそ390万円、経費20万円(箱代と選別経費が発生しません)、手取り約370万円程度と試算されます(なお、大型サイズが混じる場合、小型サイズのみの相場よりも若干高い相場を想定しています。)。
これらのことから、同じ魚種、水揚量、魚体組成でも、魚の選別サイズを変えることにより、生産者の手取りは大きく変わることがわかります。
今回の例では、300グラムを選別サイズにした場合に、手取額が最も大きくなりましたが、選別サイズをさらに小さくすれば、今度は販売額の増加よりも経費の増加の方が大きくなり、手取額が大きくなるとは限りません。
生産者の手取りを確保するためには、日々の浜相場や漁獲物の状況、仲買の要望、選別経費の割合等を考慮して、選別するかしないか、選別するならどのサイズで選別するかを判断することが重要であると考えられます。
松浦魚市場の魚の取扱いについては、西日本魚市(株)のHPから、写真で見ることができます。
http://www.nishiuo.co.jp/scene.html

3.多品種少量タイプ市場の例(静岡県)
多品種少量タイプ市場でも、魚体選別機の導入による効果が顕著に現れている事例があります。静岡県熱海市の網代漁業(http://ajirogyogyou.com/)では、定置網で漁獲された魚を手選別から魚体選別機に切り替えたところ、水揚量が10トンの場合で、選別処理時間は従来の約1/4に短縮され、それに伴い得られた時間を販売に向けて努めたところ、生産者の売上げ向上に繋がる効果を得ています。さらには、有限責任事業組合(ネクトンLLP活動はhttp://www.nektonajiro.com/参照)を設立して、低価格帯の魚を買い取り、買い手を見据えた付加価値をつけて出荷する独自流通の取り組みも行なっています。このことは、魚価の上昇に寄与しているものと思われます。

次回は、「ブランド化の課題と費用対効果」について、話題を提供させて頂きたいと思います。

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【6】最近の漁海況について(6月以降の状況)
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漁業情報サービスセンター(JAFIC) 石井元

○全国の概況海や魚の状況は?
7月に入って、沖縄に続いて全国的に梅雨明けの便りも聞こえてくるようになり夏日、真夏日の日が多くなっています。海の方も梅雨明けとともに、水温も上昇していますが、九州・四国近海~沖合で平年並み若しくはやや高めで推移しているのを除くと、太平洋や日本海の近海・沖合では平年に比べやや低め~低めの海域が多くなっています。特に平年に比べると道東沿岸・沖合と日本海の青森から石川沖合ではかなり低い海域もみられます。
上半期は全般的に産地での漁の遅れが目立ちましたが、7月はサンマ漁が北海道で始まるなど、いよいよ国内では北の海域を中心に、盛漁期を迎える漁業種類も多くなり、消費の方も旬に向けて弾みをつけた展開が期待されます。

○魚種別の状況
では全国の主な魚種の水揚げや価格の状況をみてみましょう。
マアジは依然山陰沿岸が主体に九州西方海域が続いています、6月の単月の水揚げが13,136トン、kg当たり143円(前年12,531トン、241円)でしたが、前月の好調さを維持したといえますが、山陰・九州の各産地とも単価安が大きな課題になっています。7月に入ってもやや漁は落ちてはいますが、極端ではなく今後も期待できそうです。
スルメイカは、日本海側で能登半島周辺や新潟沖合は終漁模様ですが、魚群の北上は続き、北海道西側でもまとまった水揚げが見られるようになっています。もちろん三陸でも漁が始まっています。6月の単月の水揚げが9,409トン、kg当たり205円(前年4,493トン、309円)で、出足の低調さを挽回するような好漁がみられました。7月に入っても日本海、太平洋とも多少勢いが落ちてきましたが、秋漁に向けて今後の展開を見守りたいと思います。
カツオは依然、沿岸の曳き縄を除くと、水揚げの主体は竿釣りより、巻網ですが、今年は網物の伸びがなく総じて低調な推移となっています。
6月の単月の水揚げは釣りが2,388トン、kg当たり312円(前年2,078トン、303円)、網6,447トン、kg当たり361円(前年18,206トン、249円)でした。7月に入っても青物系の単価安をよそにカツオの魚価は例年みられる大きな下げもなく、依然堅調に推移しています。
この時期サバ類は端境期でもあり、6月単月も14,507トン、kg当たり67円(前年20,100トン、95円)とやや低調な水揚げが続いています。また価格は、依然回復の兆しもなく、昨年より3割方安い推移となっています。
北海道の流し刺網船を皮切りに、7月上旬から出漁の運びとなったサンマは、これから8月の中旬まで棒受け網も含めてそれぞれのトン数毎に解禁されていきます(流し網船は7月8日、それ以降、棒受網船については、5トン未満、10トン未満の順に解禁になり、8月5日に10~20トン未満、8月9日に20~100トン未満 の中型船(花咲を拠点とする船は11日)、8月18日に100トン以上の大型船が解禁になります。)。
サンマは解禁といってもまだ「旬」には早く、現在の漁場は道東落石の沖合で、7月に入ってからの水揚げは中旬までで726トン、838円/kg(557トン、705円/kg)となっており、現在のところは型も昨年より大きく、水揚げも好調の様です。

なお、詳しい情報につきましては、下記HP若しくはJAFIC石井、緑川までお気軽におたずね下さい(電話番号:03-5547-6887)。
http://www.market.jafic.or.jp/

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【7】世界の港から~地球の裏側では~
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水産庁漁港漁場整備部整備課
調整班実施係長 長野正嗣

3年間の在アルゼンチン日本大使館での勤務を終え、この5月に水産庁に戻りました。漁港漁場整備部での勤務は約4年ぶりとなります。アルゼンチンでの思い出が鮮明なうちに、見てきた光景と感想を披露させていただきます。
アルゼンチンは、日本国土の7.5倍の面積、温暖な気候で、肥沃な土壌に恵まれたパンパという大平原という自然条件下で、小麦、トウモロコシ、大豆といった穀物を約1億トンも生産しています。他の生産国に比べ、人口は約4千万人と少なく、畜産物の需要が増大しても、主に牧草によって生産されていることから、飼料による穀物の需要が増大することがない極めてまれな国です。
主食は、牛肉で年間一人当たり70Kgが消費されており、魚介類はほとんど消費されていません。
よって、魚介類はほぼ全量、輸出に向けられており、その生産動向には国民の関心が向いておらず、海岸線は、原始地球のままです。
南部のパタゴニア地域は、20m以上の風が吹き続き、植物は育つことができず、砂漠のような光景が広がります。
草木の育たない海岸線には、たくさんの貝がころがり、巨大なカニが歩き回っています。そこには、無数の海獣類、ペンギン及び海鳥の腹を満たす水産資源があるのは間違いありません。
日本では、漁場及び海岸線を徹底的に利用するということが当たり前ですが、アルゼンチンでは、「まったく利用しない」という日本と反対の考え方です。
地球の反対側には、日本人と反対のことを考える人々が暮らしていたというのがアルゼンチンで3年暮らした感想です。

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【8】ちょっといい話
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●活力ある漁村づくりモデル育成事業の実施候補地区が決まりました

このほど、平成21年度活力ある漁村づくりモデル育成事業の実施候補13地区が有識者委員会による審査を経て選定されました。所要の手続きを経て、企画提案書に基づく取組が行われる予定です。
詳しくは、下記アドレスの「平成21年度活力ある漁村づくりモデル育成事業に対する補助金交付候補者の選定結果について(PDF:145KB)」まで
http://www.jfa.maff.go.jp/j/gyosei/supply/kekka/index.html
また、近く、二次公募を行う予定ですので、ご関心のある方は、水産庁防災漁村課都市漁村交流専門官(03-6744-2392)までお問い合わせください。

●今年も漁港背後集落調査を実施しています。

水産庁では、毎年度「漁港背後集落調査」を実施しています。本調査は、漁村における生活環境施設等の実態調査として、全指定漁港の背後集落を対象に行っています。今年も平成21年3月末現在の調査データを提出いただき、現在、調査結果のとりまとめを行っているところです。
本調査の漁港背後集落の定義は、当該漁港を日常的に利用する漁家が2戸以上ある集落、また漁家とは、生活の資を得るために、水産動植物の採補又は養殖の事業を行ったもので、前1年間の海上作業従事日数が30日以上の個人経営世帯又は雇われて従事した者がいる世帯(漁業センサスにおける漁業世帯(個人経営体数+漁業従事者世帯数)と同義)のことです。さらに、集落の範囲は、空間的一体性を有して家屋等が連続している範囲で、比較的規模の大きい河川、山林、原野、農地等で区切られたまとまりのある集落空間とし、市町村境界を越えない範囲のものとされています。
先日、ある県から、今年、集落が1つ減りましたと連絡をいただきました。昨年までは何とか漁家2戸だったそうですが、高齢で漁を続けることができなくなり、実質的に2戸とも廃業されて集落対象から外れることになったそうです。全国の皆さんにご協力いただいた本調査結果は、ミクロな視点、マクロな視点で、漁村の現状を示唆する重要な基礎データとして有効に活用していきたいと考えています。また、汚水処理普及率の結果は8月頃にプレスリリースを予定しておりますので、ご覧いただければ幸いです。

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◆7月1日付け人事異動
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7月1日付け漁港漁場整備部関係の人事異動をお知らせします。

☆7月1日付け部内で異動
【計画課】
高師拓也 → 計画班企画係長
【整備課】
中西豪 → 漁政部加工流通課水産加工専門官
漁港漁場整備部整備課併任

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◎バックナンバー
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平成17年9月から発行している「漁港漁場漁村のメールマガジン」のバックナンバーを掲載しています。
★漁港漁場整備部ホームページからどうぞ
>>> http://www.jfa.maff.go.jp/j/gyoko_gyozyo/g_merumaga/index.html 

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▲編集後記
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南九州に続いて関東・甲信は7月中旬に梅雨明けしたのですが、西日本に梅雨前線が居座り、山口県をはじめ中四国で災害が発生してしまいました。被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。
先月末、対馬の定置網で大型クラゲ(エチゼンクラゲ)が確認され、その後の状況については、下記のホームページに随時情報が掲載されています。今後の動向が注目されます。
<水産庁>
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/index.html
<水産総合研究センター>
http://www.fra.affrc.go.jp/kurage/
<漁業情報サービスセンター>
http://www.jafic.or.jp/kurage/
現在冬の南半球で新型インフルエンザがはやっているとのことですが、日本でも再び勢いを増してきているとのことです。暑い本格的な夏が来ますが、健康管理にはくれぐれもご注意ください。
このメールマガジンに対する、ご感想、ご要望、ご意見等歓迎しますので、どんどんお寄せください。

~~~~~~~ ♪漁港漁場漁村のメールマガジン♪ ~~~~~~

★発行:水産庁漁港漁場整備部防災漁村課
(〒100-8907東京都千代田区霞が関1丁目2番1号)

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