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ホーム > 分野別情報 > 漁港・漁場・漁村の整備 > 漁港漁場情報箱 > 漁港漁場漁村のメールマガジン > 漁港漁場漁村のメールマガジン 第43号


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漁港漁場漁村のメールマガジン 2009/9/18 VOL.043

▼目次▼

【1】私からの本音トーク

水産庁漁港漁場整備部計画課
課長補佐(計画班) 内山裕三

【2】下関市立大学「鯨資料室」及び「ふく資料室」の設置について
~地域水産物ブランドの研究拠点を目指して~

下関市立大学地域共創センター
委嘱研究員 岸本充弘

【3】「2008年漁業センサス」の結果を公表しました!

農林水産省大臣官房統計部センサス統計室
漁業センサス統計班海面漁業統計係長 島内正人

【4】HACCPは難しい?

(財)日本食品分析センターテクニカルサービス部
副部長 植田浩之

【5】生産者の手取りアップのために、産地市場で取り組めること
~「費用対効果を考慮した産地市場改革の例」~

(社)海洋水産システム協会
研究開発二部技師 岡野 利之

【6】最近の漁海況について(8月以降の状況)

漁業情報サービスセンター(JAFIC) 石井元

【7】国際航路協会(PIANC)年次総会に出席して

水産庁漁港漁場整備部整備課
上席漁港漁場専門官 吉塚靖浩

【8】ちょっといい話
●「第8回全国漁港漁場整備技術研究発表会」開催のお知らせ
●農林水産省本省「消費者の部屋」特別展示のご案内
●干潟の保全活動技術講習会が開催されました

◆8月24日、9月9日付け人事異動 

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【1】私からの本音トーク
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水産庁漁港漁場整備部計画課
課長補佐(計画班) 内山裕三

メルマガをお読みの皆様、こんにちは、計画課で計画班を担当しております内山と申します。このポストに異動し9月で2年目を迎えております。当方も水産庁にお世話になって、ある程度の年数を重ねてきたところですが、本格的に漁港行政に携わるのは初めてで、個人的には異色だな、と感じております。
前職は、独立行政法人水産総合研究センターの本部(横浜)におりました。研究独法も行財政改革のなかで、いろいろ課題を抱えていました。特に、地域の状況もあり、関係都道府県の水産試験場等研究機関と協力し築きあげてきた海域データの取得網が維持できなくなってきているということは、研究の基礎に関わる(でもすぐの解決が難しい)課題と感じたところです。折しも行政側の関係でも各種の統計内容の統廃合が行われ、特に地域の少量多品種を抱える水産では、地域の貴重な魚の動向が埋もれていき、統計数値ですら現場の状況がだんだん把握できなくなる、というご意見を伺ったのが印象的でした。
振り返って自分のことを考えてみますと、基本的に現場を抱えていない当部にあって、水工研の研究室時代に各地の漁場整備の現場を見させて頂いたこと、沖縄という地域の担当にあって初めて水産データなどをまじまじと眺め、また地域水産物(養殖筆頭のもずく、くるまえびから「うみへび」等々)や木の勉強(沖縄は林野も担当することとなります。)をし、現場の貴重なお話をお聞きできたこと、などなど、その時代の蓄えを糧に、何とかその後の業務に取り組めていたはずだったのですが、気付いて見ますと、元来出不精の性格とは言え、漁の状況を見たり漁業関係者と言葉を交わしたのが何時だったかな・・・などと考える始末で、当然、業務推進の燃料・ポケットは空っぽになり、昨今失速ぎみであります。
ご案内のとおり、当方が担当している計画班は漁港漁場に係る長期計画を担当しております。現在の第2次長期計画も中間を経過し、新たな漁港漁場整備の検討が必要となってきております。”漁港を通じて、特3みたいな状況から、地域の沿岸漁業まで幅広く見る(考える)ことができる”と入省当時に先輩から聞いた記憶が思い出されるように、漁港漁場整備の展開には地域の皆様の貴重なご意見が不可欠であります。原点が現場にあることを再認識し、今後他の担当ともども声をお伺いに出かけて行きたいと考えております。”次の時代の計画に俺の知恵を貸してやる”という広い気持ちで迎えて(声を届けて)頂けると幸いです。
貴重な皆様のお時間を、長々とした自己反省文にお付き合いさせてしまったようです。

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【2】下関市立大学「鯨資料室」及び「ふく資料室」の設置について
~地域水産物ブランドの研究拠点を目指して~
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下関市立大学地域共創センター
委嘱研究員 岸本充弘

本州の最西端にある山口県下関市は、かつては日本一の水揚高を誇る水産都市として発展してきました。しかし商業捕鯨の一時停止、以西底引き等の衰退以降、水産資源の減少、燃料の高騰、魚価の低迷等、水産を取り巻く様々な状況悪化の中、都市の衰退に歯止めがかからない状況が続いてきました。そのような状況の中でも、水産都市としての再生をかけて「ふく」「鯨」等、水産物のブランド化とそれを絡めた地域再生に取り組んでいます。
平成19年4月1日に独立行政法人化した本学は、大学の新たな戦略としてこれらの地域資源を教育・研究に生かし、その研究成果を地域に還元するという地域貢献を、大きな柱の1つとして考えています。その魁となるのが、「鯨資料室」「ふく資料室」なのです。

鯨資料室の設置と活動
本市は、戦前、戦後にかけて南氷洋捕鯨基地として発展し、また近代捕鯨発祥地として2002年開催のIWC(国際捕鯨委員会)下関会合開催誘致や南極海鯨類捕獲調査船団合同出港式開催等を通じて「くじらのまち」を全国に向けて発信しています。しかし、商業捕鯨全盛期の近代捕鯨を中心とした資料は散逸し、当時を知る捕鯨OBの方の高齢化に伴い、水産都市下関を支えた「くじら」への手掛かりがなくなりつつあるのが現状です。そこで、主に近代捕鯨を中心とした社会科学系の鯨資料を収集・蓄積し、教育・研究に資するとともに、その成果を本学より発信することを目的とした「鯨資料室」を、全国の大学に先駆け2007年11月14日に本学学術センターに開設いたしました。
当初、書籍・文献・模型等の約600点の収蔵品でスタートしましたが、多くの捕鯨OBの方、日本鯨類研究所、日本捕鯨協会等のご協力により、現在では2,000点を超え、収蔵スペースに苦慮するほどです。収蔵品の中には、捕鯨OBの方より御寄贈いただきました貴重な捕鯨組合関係の資料や、背美鯨のヒゲ、捕鯨母船の断面模型等目で見て楽しめるものも多数展示しております。昨年度は資料室開設1周年記念シンポを開催し、公立大学としての地域貢献にもつなげながら、地域に根ざした研究成果を発信していきたいと考えています。

ふく資料室の設置と活動
鯨資料室設置に続き、本市を代表する水産物ブランドである「ふく」をテーマとした「ふく資料室」を2008年10月9日設置し、約1年が経過しようとしています。ただ、資料室とはいうものの、くじらに比べれば参考資料、文献数が経済分野では圧倒的に少なく、この1年はそれら資料収集とおもに、学内外の研究者やフグ養殖業者、フグ流通業者の方々に協力を頂き、フク産業研究会やそれに関連した現場視察が主たる活動内容でした。
成果としては、下関がなぜフグの地域ブランド化に成功したのか、下関市の地勢・風土や歴史などから整理、検討を行い、近々「下関フグのブランド経済学1」として発刊される予定です。
また、養殖フグの生産、流通、消費の調査研究にも着手しました。現時点で明らかになった点として、1)フグ養殖の現在の局面は、1980年代前後のブリ養殖に価格形成面等で近似している、2)価格決定権は量販店などの末端ではなく、集出荷を担当している産地及び消費地活魚問屋にある、3)東京と大阪での流通は別物と捉えた方がいい、4)フグ中毒事故防止に由来する流通規制が東京、大阪で大きく異なることが、両地域におけるフグ流通構造の違いとなっている、とはいえ格安フグ料理店や量販店のフグ取り扱いが伸び、既存のフグ流通秩序を崩しつつあることなどを指摘したいと思います。こうした状況で、少なくとも養殖フグは、養殖ブリやマダイと異なり、まだ養殖業者(生産者)が価格形成に主体的に関与できる余地があります。
以上御紹介した2つの資料室設置を足がかりに、本学は地域水産物ブランドの研究拠点を目指しています。下関にお越しの折はぜひ一度「鯨資料室とふく資料室」にお越しください。お待ちしております。

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【3】「2008年漁業センサス」の結果を公表しました!
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農林水産省大臣官房統計部センサス統計室
漁業センサス統計班海面漁業統計係長 島内正人

漁業センサスは、漁業の生産構造、就業構造を明らかにするとともに、漁村、流通・加工業等の漁業の背景の実態を把握することを目的に、5年ごとに実施する基幹統計であり、各種水産施策のための基礎的データを提供する調査で、第1回目の漁業センサスを1949年(昭和24年)に実施して以来、2008年漁業センサスは12回目にあたる歴史ある調査です。
このほど、平成20年11月1日現在で調査した2008年漁業センサスの結果概要を公表しました。昨年春の調査準備から始まり、実査・審査の作業を経てここまで辿りつく過程において、多くの水産関係の方々に様々な形でご協力を賜り、あらためて御礼申し上げますとともに、この場をお借りして、その結果概要をかいつまんで紹介させていただきます。

まず、海面漁業に関する内容ですが、全国の漁業経営体は11万5,194経営体となり、5年前と比べ6.9%減少しました。このうち、個人経営体が10万9,451経営体で、全経営体の95%を占めています。また、漁業に就業している方は22万1,896人で、5年前と比べ6.9%減少しました。
次に、内水面漁業に関する内容では、湖沼漁業経営体は2,850経営体、養殖業経営体は3,764経営体となっており、それぞれ5年前と比べそれぞれ、8.8%、16.3%減少しています。
また、水産物の流通加工に関する内容では、冷凍・冷蔵工場は5,870工場となり5年前と比べわずかに(2.0%)増加したものの、水産加工場は10,097工場となり5年前と比べ11.9%減少しています。
最後に、今回新たに、漁業への新規就業者数、まぐろの養殖の実態、個人漁業経営体の民宿・遊魚船業の兼業状況について把握しました。そのうち、漁業への新規就業者は1,784人、まぐろの養殖を営んだ経営体は68経営体、民宿を営む個人経営体は1,632経営体、遊魚船業を営む個人経営体は、5,926経営体となっています。
詳細な統計表などは、農林水産省ホームページ
http://www.maff.go.jp/j/tokei/census/fc/2008/index.html
をご覧ください。

今後、さらに詳細な調査結果を順次、報告書として刊行していくこととなります。本年度は、海面漁業に関する統計(全国、大海区編)、海面漁業に関する統計(都道府県編)、海面漁業に関する統計(市区町村編)、海面漁業に関する統計(漁業地区編)、内水面漁業に関する統計、流通加工業に関する統計について発刊を予定しています。

今回の漁業センサスにおいても、我が国漁業が厳しい状況におかれていることを如実に示す結果となっておりますが、引き続き、各種水産施策を振興していく上での基礎資料としてご利用いただけることを期待しています。

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【4】HACCPは難しい?
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(財)日本食品分析センターテクニカルサービス部
副部長 植田浩之

皆さんはHACCP(注1)という言葉をご存知ですか?読み方は「ハサップ」、「ハセップ」など様々ですが食品の衛生管理手法のひとつです。
もともとは1960年代のアポロ計画において、宇宙食の安全確保のために考案された手法ですが、その後も国連の専門委員会により適用のガイドラインが示されるなど、世界中でHACCPの導入が進んでいます。日本では、1997年に米国において水産食品へのHACCP適用が義務化されたのを受け、対米輸出用水産食品のメーカーがリードする形でHACCPの導入が広がっています。
そうした中、HACCPは高度で難しい、施設の整備にお金がかかるなど、はじめから導入をあきらめてしまう事例や、HACCPは食品の製造・加工以外の業態には適用できないとの誤解もあるようです。
HACCPの原理そのものは、食品の製造・加工に限らず、生産から消費にいたるまで幅広くあてはめることができる汎用的なものです。また、その論理はいたって常識的であり、長年食品に携わってこられた皆さんの管理手法が実はHACCPの要件を満たしているなど、決して新しい概念や高度なシステムではありません。漁獲した魚にはすぐに氷を打ち、保管中も氷掛けをする、缶詰は巻締めを厳密に管理して、しっかりとレトルト殺菌するなど、日頃当たり前のように行っていることが、HACCPでいうCCP(注2)の機能を果たしているのです。また、施設や装置などのハードウェアについても、破損箇所や長年放置した汚れはお金を掛けて整備すべきですが、それ以上の、例えば工場の建て直しなどはHACCPの導入とは直接関係しません。
では、今までの管理と、HACCPシステムとは何が違うのでしょうか?
HACCPでは、はじめにハザード分析と呼ばれる危害要因の洗い出しと評価を行います。危害要因とは管理が不十分になったときに、健康に悪影響をもたらす原因となる食品中の病原体や有害な化学物質などをいいます。経験だけでなく、業界団体や専門家から情報を得て、自らが扱う食品の種類と流通の方法、食べ方などによりそれぞれの危害要因を整理し、重み付けを行います。次に、それらの危害要因に対する管理手段をまとめますが、このとき、工程(プロセス)の流れの中で、厳密な管理を必要とするいくつかの工程が先に述べたCCPと特定されます。しかし、CCPとならなかった工程や、施設設備の保守、サニテーションなどを一般的な衛生管理事項として管理することも忘れてはなりません。CCPの管理には単なる経験則でない、管理基準の裏付けや、厳密な記録付けが必要となりますが、いずれにせよ、多くはすでにできているはずです。今までの管理手法をジグソーパズルに例えるなら、ほとんどのピースはすでに埋まっていて、きれいな絵であることは十分に分かっています。その上で、さらに抜けているピースを科学的、技術的に埋めてゆくのがHACCPの役割と言えるでしょう。より鮮明になった絵を、自信を持って消費者や取引先に見せることができれば、製品に対する安心が得られるはずです。食品の安心・安全にとって今やHACCPは不可欠なツールなのです。

注1 HACCP: Hazard Analysis and Critical Control Point(ハザード分析にもとづく重要管理点)
注2 CCP: Critical Control Point(重要管理点または必須管理点)

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【5】生産者の手取りアップのために、産地市場で取り組めること
~「費用対効果を考慮した産地市場改革の例」~
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(社)海洋水産システム協会
研究開発二部技師 岡野 利之

魚の価値の底上げを図る際に、費用対効果と人的負担を考慮した上で検討を進めていくことが必要です。その具体例として、前々回に続き、松浦魚市場の例を紹介させて頂きます。
松浦魚市場では、水揚物の衛生品質管理と付加価値の向上及び就労者の労働環境改善を目的に、平成15年3月に事業費約8億円を投じて、全国初となる屋内式鮮魚立替出荷施設「おさかなドーム」が建設されました。
http://www.nishiuo.co.jp/dome.html
立替出荷用ラインは、15レーンから成り、施設は利用者負担で運営されています。施設全体の運営費は、年間約3千万円もかかっており、そのうち約2千万円が償還分、残りの約1千万円が共益費となっています。当初の5年間は、市から毎年1千万円の補助が行なわれていました。それでも、従来は無料で市場施設内から鮮魚出荷をしていた仲買業者にとって、大きな負担であったことは間違いありません。その後、市からの補助がなくなった後は、施設利用者によって全額が負担されています。
しかし、1業者も撤退することなく、現在も施設は、活用され続けています。この理由は、大きく二つ考えられます。
一つは、おさかなドームを経由した鮮魚の品質が、買い手業者から評価を得ていることです。「おさかなドーム」から出荷された鮮魚箱には、「おさかなドーム」のロゴが入っており、消費地では、「おさかなドーム」から出荷された魚はモノがいいと認識されるようになっていることが挙げられます。この認識こそが、産地ブランド化のあるべき姿の一つと考えます。
もう一つは、将来予測に対する適正投資、つまり過剰投資を避けて取扱い規模に見合った施設の建設とランニングコスト回収等を考慮して「おさかなドーム」が造られていることです。
当初の補助金が無くなり、仲買業者全体でおよそ3千万円に及ぶ費用を捻出することは、大きな負担のように見えます。しかし、お魚ドームから出荷される鮮魚の箱数が年間約350万~400万箱(スチロール)、量にして約2万5千~3万トンと推定される松浦魚市場では、魚1kg当たりの使用料負担はおよそ1円ということになります。出荷される鮮魚は、数百円/kgレベルのものが中心なので、魚価の1%に満たない使用料負担であり、おさかなドーム経由の魚の品質評価への効果の方が使用料負担よりも大きいと判断されていることが伺えます。
仲買業者が負担する金額を仕入れ元である生産者に被せようとした場合、浜相場は下がることになります。しかし、その港だけ浜相場が下がるということであれば、生産者は、他の港で水揚げする選択もできます。その場合、仲買業者は、商売上最も重要な商品である魚を入手できなくなってしまいます。従って、安易に生産者へ被せるということはなく、総合的な判断の下で採算性が合うことを見出します。ここでは、幾分かの費用負担があっても、お魚ドームを起点とした産地ブランドを堅持することに大きなメリットがあると考えられ、魚価の安定や生産者の収入確保という期待に繋がります。
この松浦の事例は、全国的にも貴重な衛生品質管理及び産地のブランド化に対する費用対効果の成功例と言えるのではないでしょうか。

おわりに
漁業者と水産物取扱業者にとって最も重要な日々の基本的活動とは、獲った魚を売ることであり、魚が現金に換わることです。この商売が成立する場所こそが、産地の市場です。
魚が適正価格で継続的に売れる仕組みを築いた時、市場の取扱い額は向上し、生産者の手取りも向上するため、地域漁業経済圏の活性化が現れるものと期待しています。
最後に、「漁港漁場漁村のメールマガジン」VOL.041から本稿(Vol.043)まで寄稿をさせて頂きましたことを心より感謝申し上げます。また、取材に快くご指導ご協力を頂きました西日本魚市株式会社 常務取締役 田中憲壮 様、網代漁業株式会社 代表取締役 泉澤 宏 様、ネクトンLLP 松尾 浩司 様に心より御礼を申し上げます。
我が国の水産業が、元気になるか落ち込むかは、産地市場に命運がかかっていることも多くあると考えています。産地の方々にとって、活性化のための何か良いヒントが見つかれば、幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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【6】最近の漁海況について(8月以降の状況)
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漁業情報サービスセンター(JAFIC) 石井元

○全国の概況~最近の海や魚の状況は?~
すっかり朝晩の涼しさは秋を感じさせるようになりましたが、この時期は何といっても食関連の話題が豊富になります。もちろん魚も「旬」を迎える種も多いのが特徴。
海の方では、昇温、降温を繰り返している海域もありますが、黒潮域では緩やかながら降温に向かっています。
九州・四国近海~沖合の表面水温は、平年並みからやや高めで推移しています。しかし道東近海~三陸沿岸では依然低め、また日本海でも北海道西沖から山口県沖合までは低めからやや低めで推移しています。
また黒潮本流は、九州から和歌山県の潮岬まで接岸し、遠州灘沖合では離岸傾向で流れています。

○魚種別の状況
では最近の全国の主な魚種の水揚げや価格の状況をみてみましょう。
本格化しているサンマは出足順調で、8月単月の水揚げは34,012トン、kg当たり149円(前年23,390トン、212円)の好水揚げとなっています。サイズも本年は大きく180g前後のものも多く、中には200gを超えるサンマも珍しくありません。漁当初からサイズが大きいことや在庫量も余り減少していないこともあって、価格はかなり安くなっているのが現状です。9月に入って休漁措置等もあって、中旬に入って少しペースが落ちてきているのが目立ちます。
サバ類も三陸では徐々に盛漁期に向かっていますが、特に三陸近海、特に北部での不振もあって、8月単月も31,757トン、kg当たり83円(前年43,866トン、82円)とかなり低調な水揚げが続いています。また価格はようやく前年比でやや上回りましたが、安値推移が目立っています。また九州でもまだ秋漁には早いようで、まだまとまった漁の兆しはみられません。
マアジは、上半期はほぼ前年並みの漁でしたが、8月以降もこうした傾向は続いており、8月の単月の水揚げが9,477トン、kg当たり158円(前年7,649トン、236円)でした。水揚げも多く、サイズも小さかったこともあって単価の下落が顕著なのが気がかりです。
スルメイカは、本年は太平洋側が好漁、日本海側が不漁とはっきりと明暗が分かれています。日本海側では北海道の各港を始め、本州側でも昨年を上回る水揚港が少ないのが目立ちます。一方太平洋側では釣り、まき網、トロールとも好調に推移し、北海道や、三陸の各港でまとまった水揚げが見られました。8月の全国の単月の水揚げが14,109トン、kg当たり198円(前年7,958トン、218円)となっており、特に太平洋側での好漁を反映した結果となっていま。9月からは休漁中だったトロールも再開され今後の漁に期待したいものです。
カツオは今年、不漁が決定的となり、8月も釣り、まき網とも何れも低調で水揚げの伸びが見られませんでした。したがって8月単月の水揚げも釣りが3,688トン、kg当たり361円(前年6,520トン、352円)、網1,363トン、kg当たり349円(前年1,407トン、389円)でしたが、今年はサイズが1kg前後のピンカツオが主体で戻りカツオの季節になってもサイズが揃わず加工向けに回るため、単価も伸びないのが現状といったところです。

なお、詳しい情報につきましては、下記若しくは、JAFIC石井、緑川(電話番号:03-5547-6887)まで、お気軽に問い合わせ下さい。
http://www.market.jafic.or.jp/

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【7】国際航路協会(PIANC)年次総会に出席して
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水産庁漁港漁場整備部整備課
上席漁港漁場専門官 吉塚靖浩

本年5月25日から28日まで、フィンランドの首都ヘルシンキで23カ国から約130名が参加して国際航路協会(PIANC)の年次総会が開催されました。日本からは、林田国土交通省港湾局技術参事官(現港湾局長)をはじめ、私も含め総勢11名(内、婦人3名)が参加しました。
PIANCとはいかなる組織かというと、内陸港及び海洋港の航路(河川、入江、運河、港の出入航路)、港湾施設の設計、建設、改良、維持及び運営に関する発展を図るとともに、沿岸地域の開発を図ることによって、水上交通の維持・発展を推進することを目的として1885年に設立された国際機関で、各国政府の積極的な関与を前提として、個人及び法人会員に開放された国際的な技術上の非政治的かつ非営利的協会です。
日本は、1952年に運輸省、1965年に水産庁が、政府会員として加盟しており、アジアでは特に活発に活動を行っている国だとのことです。
現在、ISOなる機関が世界的な様々な規格や基準を標準化しようとしているのは皆さんご存知の通りですが、港湾や水上交通の世界では既に120年以上前からその水深や施設設計の標準化に取り組まれた世界的な組織、それがPIANCであると言えるでしょう。現在の港湾、漁港の設計基準がPIANCから大きな影響を受け、発展してきたことは言うまでもありませんが、私が入省したての頃、20年以上前に、上司からPIANCの参考文献だと言って厚い英語論文を渡され、七転八倒して翻訳をし、その内容を長期計画の整備の基準づくりに活用したことは、今も悪夢としてトラウマとなっているほどです。
年次総会では、予算・決算や活動計画の報告、優秀論文の表彰などのほか、技術セミナー、ヘルシンキ周辺のVuosaari港や300km離れたSaimaa運河などの視察が行われました。その中で、PIANCにおいても環境問題に関心が高まり、海産動植物への影響をどう緩和しつつ沿岸開発を進めていくのかという研究論文が発表されたり、水路が道路を空中横断している事例などの紹介があったことに非常に興味をひかれました。ただ、海産動植物への影響調査の研究という点では、日本の方が進んでいるのではないかと思います。
今回年次総会が開催されたフィンランドという国は、国の南側に位置する首都ヘルシンキでもアラスカのアンカレッジと同じ北緯60度にあり、森と湖からなる美しい国です。ただ、現地に行って驚いたのは、5月末にも関わらず意外に温かく、空港に降り立った時には半袖で過ごせるような陽気でした。この時期は、夜10時半頃に日没するため、夕方、公園などで夜長を楽しむのが一般的な過ごし方らしいのですが、空が曇りになると防寒具が必要になるくらい寒暖の差が激しいことに注意が必要でした。湖は、落ち葉が寒さで分解し切れておらずピート状になっており、その影響で水は茶色をしていました。また、湖が多いことから、水上交通が発達していて、木材輸送は船で行い、製紙工場は大きな湖のほとりに立地していました。湖をいくつも繋ぐために運河が発達しており、特に、隣国ロシアの湾や湖と繋いで標高80メートルの湖まで荷物の搬入搬出を行うために造られたのが、今回訪れたSaimaa運河でした。総会出席者と観光船に乗り、夕食を楽しみながら森と別荘地に囲まれた湖を周り、数多くある閘門の一つを視察しました。船が閘門内で上流と下流の湖の水位に合うように昇降する様子は、まさに壮観でした。
今回の総会出席は、私の過去のPIANCに対するイメージを払拭するのに十分なものでしたし、北欧のイメージも大きく変わりました。また機会があれば出席したいと思った初めての国際会議だったような気がします。

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【8】ちょっといい話
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●「第8回全国漁港漁場整備技術研究発表会」開催のお知らせ
「第8回全国漁港漁場整備技術研究発表会」は、水産庁、神奈川県及び(社)全国漁港漁場協会の主催により、全国の漁港・漁場整備関係者を対象に、漁港及び漁場に関する幅広い技術の向上と普及を目的として開催されるものです。
本会は、水産基盤整備等を巡る重要課題への知見等について報告され、水産基盤整備に携わっている方々にとって有意義なものと好評をいただいているものです。日頃、水産基盤整備に関わっている都道府県や市町村の方々を始め、ご関心をお持ちである民間の方々も含め幅広く参加していただくご案内致します。
なお、研究発表会の参加申込・宿泊・交通機関のご案内につきましては、神奈川県ホームページをご覧下さい。申込期間は9月14日(月曜日)~10月16日(金曜日)となっておりますので、お早めにお申込をお願い致します。
http://www.pref.kanagawa.jp/

日時:平成21年11月19日(木曜日)~20日(金曜日)
場所:19日:神奈川県民ホール(小ホール)
20日:現地見学会(片瀬漁港、小田原漁港)
問い合わせ先:水産庁整備課設計班 中村、塚本(TEL:03-6744-2390)

●農林水産省本省「消費者の部屋」特別展示のご案内
「消費者の部屋」では、消費者の皆様に農林水産行政、食料、食生活等についてご紹介するために特別展示を行っています。10月の特別展示から水産業・漁村に関係するものを紹介します。

○10月5日(月曜日)~10月9日(金曜日)
「信頼の食品!冷凍食品」
冷凍食品の安全性への信頼を高めるために実施している対策と、安全について科学的に示した資料のほか、冷凍食品が持つ様々な優れた特性を紹介します。

○10月27日(火曜日)~10月30日(金曜日)
「養殖魚について学ぼう!見て納得・学んで安心!養殖業~」
養殖している魚種や産地、養殖魚の飼育方法等、生産現場での取組を分かりやすく紹介します。また、稚魚や成魚、加工品、エサ、生簀模型等を展示すると共に、魚の名前・重さ当てクイズや魚体験コーナーを設けます。

消費者の部屋は、農林水産省北別館1階にあり、入場無料、農水省への入館手続き不要です。また、展示の他、皆さまからの食に関するご相談にお答えしています。

★開室時間は10時から17時まで(ただし、展示初日は12時から、最終日は13時まで)。
★問合せ先:消費者の部屋相談室TEL:03-3591-6529 FAX:03-5512-7651
子ども相談電話:03-5512-1115
★ホームページ:特別展示の詳しい情報、平成21年後期(8~12月)の展示スケジュール、これまでの特別展示の様子等をご覧いただけます。
http://www.maff.go.jp/j/heya/index.html
★最寄駅:東京メトロ霞ヶ関駅B3a出口すぐ

●干潟の保全活動技術講習会が開催されました
先号のメールマガジンで「藻場・干潟の保全活動を強力にサポートします」というご案内をさせていただきましたが、その一環として全国漁業協同組合連合会により干潟の保全活動(モニタリング方法など)に関する技術講習会(9/2~4、千葉県木更津市)が開催されました。講習会の状況は以下のホームページをご覧ください。
http://www.zengyoren.or.jp/env_support/pdf/3_kousyukai11_chiba_news.pdf
今後、全国で技術講習会を8か所で実施する予定です。実地に役立つノウハウが多く、活動組織や地域協議会のメンバーにおかれましては、この機会にぜひこの技術講習会にご参加下さい。詳細は以下でご案内しております。
http://www.zengyoren.or.jp/env_support/index.html

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◆8月24日、9月9日付け人事異動
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8月24日及び9月9日付け漁港漁場整備部関係の人事異動をお知らせします。

☆8月24日付け
【防災漁村課】
辻廣志→免整備課併任
☆9月9日付け
【整備課】
中西豪 → 外務事務官併任

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◎バックナンバー
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平成17年9月から発行している「漁港漁場漁村のメールマガジン」のバックナンバーを掲載しています。
★漁港漁場整備部ホームページからどうぞ
>>> http://www.jfa.maff.go.jp/j/gyoko_gyozyo/g_merumaga/index.html

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▲編集後記
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9月も半ばとなり、ずいぶんと涼しく、過ごしやすくなりました。一方、全国で、新型インフルエンザによる休校が増えているそうで、これから一層の注意が必要となってきました。皆様、健康管理に注意され、健やかに過ごされることを心からお祈りします。
今月号では、下関市立大から、新しく開設された二つの資料室のご紹介をいただきました。いうまでもなく、鯨とふくは水産都市下関を代表する地域資源です。大学に研究拠点ができたことから、今後の研究・活動の展開に大いに期待したいと思います。
漁業生産構造を捉えるもっとも基本的な統計である漁業センサスが、先月末に統計部から公表されました。漁業センサスは5年ごとに実施されますが、今回は、HACCPの導入状況が初めて調査されとりまとめられています。どのような結果になっているのか興味があります。HACCPについては、とても大変なものだとの先入観を取り除いてほしいと思っていましたが、食品分析センターの植田さんがわかりやすい解説をしてくださいました。とてもありがたく思います。日本の水産業界は、米国への水産物輸出を維持するため、米国のHACCPの考え方に基づく認定システムを構築していますが、こうした中、植田さんは、第一線でご活躍されている方です。植田さんも述べられてますが、HACCPの原理は、生産から消費まで幅広く適用できる汎用的なものであり、今後、漁船、市場などあらゆるところで重要な考え方になるものだと思います。
また、海洋水産システム協会の岡野さんには、生産者の手取りアップのために産地市場で取り組めることというテーマで三回にわたってご執筆いただきました。選別の効果、産地ブランド化や衛生管理のメリットなど、現場感覚豊かな内容で大変勉強になりましたが、やはりここでも衛生管理がとても重要とのご示唆をいただいたと思います。
お二人には、今後ともいろいろと教えていただきたいと思いました。
このメールマガジンに対する、ご感想、ご要望、ご意見等歓迎しますので、どんどんお寄せください。また、皆様の町の話題についても、取り上げていきたいと考えておりますので、お知らせいただければ幸いです。

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★発行:水産庁漁港漁場整備部防災漁村課
(〒100-8907東京都千代田区霞が関1丁目2番1号)

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