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平成19年7月

水産庁

魚介類の名称のガイドラインについて

[ガイドライン全文](PDF:196KB)

I.検討経緯

    食品表示制度の充実強化のため、平成11年の農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(いわゆるJAS法)の改正により、平成12年7月から、生鮮食品については、「名称」及び「原産地」、加工食品については、「名称」及び「原材料名」を記載することが義務付けられた。
    魚介類は、輸入の多様化や同一魚でも地域や成長段階により名称が異なる等の特有な事情があることから、消費者や関係業界から、魚介類の名称に関する多くの問い合わせが農林水産省に寄せられた。
    このため、平成12年11月以降、水産物表示検討会(以下「検討会」という。)及び名称作業部会において、魚介類の名称の取扱いについて検討を行い、平成14年11月15日に中間取りまとめ案を公表し、国民からの意見募集を行った。これら国民から寄せられた意見等を踏まえ、検討会において更に検討を加え、魚介類の名称のガイドラインとして中間とりまとめを行い、平成15年3月より運用を開始した。
    さらに、当ガイドラインの運用状況、魚介類の名称のガイドライン検討委員会における検討等を踏まえ、消費者に定着した一般名称や地域の特色を伝える地方名の重要性を勘案した見直しを行い、このたび、現時点における取りまとめとして魚介類の名称のガイドラインを作成した。

II.ガイドラインの位置付け

    このガイドラインは、生鮮魚介類の小売販売を行う事業者等に対し、JAS法に基づき魚介類の名称を表示し、又は情報として伝達する際に参考となる考え方や事例を示すものである。

III.魚介類の名称のあり方

1.生鮮魚介類の名称

(1)生鮮食品品質表示基準の考え方

    生鮮食品品質表示基準(平成12年3月31日農林水産省告示第514号)は、生鮮食品の品質に関して表示すべき事項を「名称」及び「原産地」と定め、「名称」については、「その内容を表す一般的な名称」を記載すると定めている。
    また、表示禁止事項として、

i 実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語

ii 同基準第3条の規定により表示すべき事項と内容が矛盾する用語

iii その他製品の品質を誤認させるような文字、絵、写真その他の表

を定めている。
    生鮮食品品質表示基準は、生鮮魚介類にも適用されるものであることから、これを前提として、消費者の視点に立ってその名称のあり方を検討した。

(2)一般ルール

i 魚介類の種毎の名称の表示

    生鮮魚介類は、種により品質や価格に違いがある場合が多いため、消費者の商品選択に際し種名は重要な情報となることから、種による形態や品質の違いが生産者や流通業者の間で認識され、これが取引価格に反映されている場合は、原則として、種毎の名称を記載することとする。
    なお、消費者の商品選択に資するためには、消費者に正確な情報を提供する必要がある一方で、馴染みのない標準和名等の表示によって消費者が混乱することがないよう配慮する必要がある。このため、種に応じて、標準和名を基本としつつも、より広く一般に使用されている和名があれば、この名称を記載することができることとする。

(例)一般に使用されている和名を記載する例  

標準和名

一般に使用されている和名

キアンコウ

アンコウ

ホッコクアカエビ

アマエビ、ナンバンエビ

 ii 複数の魚介類の総称の表示

    複数の種の間で形態や品質の差が判然ではない等の理由から、種名の表示が困難であったり、あるいは消費者の商品選択にとって有用でない場合も少なくない。
このような場合は、属名、科名、広く一般的に使用されている呼称等を勘案し、その生鮮魚介類の内容を的確に表し一般に理解される名称を記載することとする。

(例)複数の魚介類の総称の例 

標準和名

総称

ハマグリ
チョウセンハマグリ
シナハマグリ

ハマグリ

iii 標準和名がない種の名称の表示

    標準和名がない種については、広く一般的に使用されている和名、原産国での名称、通常の取引名、学名等を勘案し、その生鮮魚介類の内容を最も的確に表し一般に理解される名称を記載することとする。

(例)標準和名がない場合の例

学名
(原産国での名称)

表示

Sardina pilchardus
(サーディン)

イワシ

 

以上の考え方に従って、現在流通している国産の生鮮魚介類の名称を例示すれば、別表1(PDF:89KB)のとおりとなる。

 

(参考)魚介類の学名と標準和名

学名

    生物の学術上の名称で、ラテン語で表記される。種の学名は、国際動物命名規約に基づき、属名と種小名で表記される。例えば、ウナギ(標準和名)の学名は、Anguilla japonicaで、Anguillaが属名、 japonicaが種小名を表す。「種」をまとめたものを「属」、「属」をまとめたものを「科」、「科」をまとめたものを「目」という。

標準和名

    分類学等の専門家により各々の種等の分類単位に付けられた和名。任意に提唱された和名が、専門家の間で認知され、一般向けの書物等でも使用されることにより、日本全国の標準となったもの。海外漁場魚介類及び外来種の中には、専門家の間で複数の異なった和名が提唱されている場合もあり、標準和名の統一は、魚介類の分類に応じて日本魚類学会、日本貝類学会、日本甲殻類学会が取り組んでいる。

 

(3)成長名、季節名

    成長段階に応じた名称(成長名)や季節に応じた名称(季節名)がある生鮮魚介類については、成長名や季節名がその内容と表すものとして一般に理解されるものである場合は、それらの名称を記載できることとする。

(例)成長名と季節名の例

成長名

ブリ ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ(東京)
ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ(大阪)
サケ ケイジ(母川に回帰する前の未成熟なもの)


季節名 

サケ アキサケ・アキアジ(秋頃に産卵のために沿岸に回遊してきたもの)
トキサケ・トキシラズ(春から初夏に沿岸に回遊してきたもの)

 

 (4)地方名

    地域特有の名称(地方名)がある生鮮魚介類については、その地方名がその内容を表すものとして一般に理解される地域においては、その地方名を記載することができることとする。
    ただし、その地方名が一般に理解される地域以外の地域においても販売される場合は、消費者がその魚介類の種を明確に識別できるよう地方名に標準和名を併記することとする。

(例)地方名の例 

標準和名

地方名(対象地域)

キダイ
 チダイ
 スルメイカ
 コウイカ
 マアナゴ
 クロダイ
 イボダイ

ハナダイ(神奈川)
ハナダイ(小名浜、小湊)
マイカ(三陸、北海道)
マイカ(瀬戸内海)
ハモ(北海道・東北、山陰)
チヌ(西日本)
シズ・ボウゼ(関西)

 

(5)海外漁場魚介類及び外来種

    海外漁場魚介類及び外来種については、標準和名がない種もあることから、消費者に優良誤認(例えば分類学上無関係であるにもかかわらず高級魚類に似せた名称を付して、あたかもその類縁種であるように誤認させること)を生じさせないような配慮が必要であり、上記(2)の生鮮魚介類の名称の一般ルールに従って、その内容を最も的確に表し一般に理解される名称を記載することとする。

(例)外来種の例 

学名 使用できる名称 使用しない名称
Ictalurus punctatus アメリカナマズ、チャネルキャットフィッシュ シミズダイ、カワフグ

    なお、輸入水産物については、生鮮食品品質表示基準に基づき、「名称」ととともに「原産国名」(生産水域名の併記も可)を記載しなければならないこととされている。
    以上の考え方に従って現在流通している海外漁場魚介類及び外来種の名称を例示すれば、別表2(PDF:91KB)のとおりとなる。

(6)交雑種(ハイブリッド:hybrid)・改良種

    異種・異属間で人為的に交配されて作出された魚介類の名称については、交雑に用いた魚介類の名称を記載し、「交雑種である旨」を併記することとする。
(例)交雑種であるブリヒラ(近畿大学の登録商標)の名称の表示例
ブリ×ヒラマサ(交雑種)

    また、選択育種を行うなどして作出された魚介類の名称については、当該改良種に使用されている品種名を記載することとする。
(例)ドナルドソン・ニジマス

(7) ブランド名

    ブランド名(商品名)は、JAS法に基づく魚介類の「名称」ではないことから、魚介類の名称としては使用しないこととする。なお、ブランド名を任意に商品に表示することは差し支えないが、景品表示法の不当表示や生鮮食品品質表示基準の表示禁止事項に該当するような用語を使用してはならない。

(例)魚介類のブランド名の例 

ブランド名(商品名) 関サバ 越前ガニ 明石ダコ
魚介類の名称(標準和名) マサバ ズワイガニ マダコ

 

2.水産物加工品の原材料名

(1)加工食品品質表示基準の考え方

    加工食品については、加工食品品質表示基準(平成12年3月31日農林水産省告示第513号)に基づき、「名称」(その加工品の内容を表す一般的な名称)と「原材料名」(原材料に占める重量の割合の多いものから順に、その最も一般的な名称)を記載することとされている。
    また、原材料が魚類及び魚肉であって特定の種類の魚類の名称を表示していない場合は、原材料名として「魚」又は「魚肉」と記載できるほか、個別の品質表示基準や日本農林規格が定められている場合は、その基準や規格に従って原材料名を記載するととされている。

(参考)個別の品質表示基準や日本農林規格が定められている水産物加工品(平成19年5月1日現在)
「煮干魚類」、「削りぶし」、「乾燥わかめ」、「塩蔵わかめ」、「うに加工品」、「うにあえもの」、「特殊包装かまぼこ」、「風味かまぼこ」、「うなぎ加工品」、「水産物缶詰及び水産物瓶詰」、「調理冷凍食品」、「魚肉ハム及び魚肉ソーセージ」

(2)一般ルール

    水産物加工品は、一般に加工度が低く原材料がおおむね原形をとどめているものから、加工度が高く複数の原材料が混合使用され原形をとどめていないものまで多種多様なものがある。このため、水産加工品の原材料名については、生鮮魚介類の名称のルールを基本としつつ、品目特性に応じてその内容を最も的確に表し一般に理解される名称を記載することとする。
    また、塩干物や味付け切り身等生鮮品に近似する加工度の低い水産物加工品については、消費者からの要望も踏まえ、生鮮魚介類の名称のルールに準じて原材料名を記載することとする。

(例)低次水産物加工品の原材料名の表示例 

水産物加工品の名称 原材料名
かれい干物
さけ粕漬け
塩蔵さけ
むしがれい
べにざけ、酒粕、みりん、・・・
しろさけ、食塩

 

(3)水産物加工品のブランド名

    水産物加工品のブランド名(商品名)は、JAS法に基づく水産物加工品の名称や原材料名ではないことから、これらの名称や原材料名としては使用しないこととする。なお、ブランド名を任意に商品に表示することは差し支えないが、景品表示法の不当表示や加工食品品質表示基準の表示禁止事項に該当するような用語を使用してはならない。

 (例)水産物加工品のブランド名の例 

水産物加工品のブランド名 静岡産鰻蒲焼き 関あじ一夜干し
水産物加工品の名称 うなぎ蒲焼き あじ一夜干し
原材料名 うなぎ(静岡県) まあじ(大分沖)

(注)うなぎ加工品、塩干あじ・さばについては、各々の水産加工品品質表示基準に基づき、原料原産地の表示が義務付けられている。

 

3.今後の見直しのあり方

    このガイドラインは、現時点における取りまとめであるが、今後の運用状況や流通実態の変化等を踏まえた見直しを行うこととする。 

 

別表1(国産の生鮮魚介類の名称例)(PDF:89KB)

別表2(海外漁場魚介類及び外来種の名称例)(PDF:91KB)  

 

 

魚介類の名称のガイドライン検討委員会

第1回魚介類の名称のガイドライン検討委員会

第2回魚介類の名称のガイドライン検討委員会

お問い合わせ先

水産庁

漁政部加工流通課
担当者:企画調査班
代表:03-3502-8111(内線6617)
ダイヤルイン:03-3591-5612
FAX:03-3508-1357

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