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ホーム > 水産白書 > 平成22年度 水産白書 全文 > 平成22年度 水産の動向 > 第1部 平成22年度 水産の動向 > 第1章 私たちの水産資源 ~持続的な漁業・食料供給を考える~ > 第1節 水産資源の特徴と資源管理の重要性 > (2)適切な資源管理の実行


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(2)適切な資源管理の実行


(資源管理には3つの手法がある)

乱獲を防止しつつ、より多くの漁獲物を持続的に得るためには、量を獲り過ぎない(過剰な漁獲圧の防止)ということに加え、十分に成長していない小型魚を保護し、魚を十分大きくしてから漁獲する(成長乱獲の防止)、卵を抱えた親魚(産卵親魚)を取り残す(加入乱獲の防止)など、水産資源の再生産力を阻害しないことが重要とされています。

これらを実現するための資源管理の手法は大きく、(1)漁船の隻数や馬力数の制限等によって、漁獲圧力(資源に対する漁獲の圧力)を入口で制限する「インプットコントロール」(投入量規制)、(2)産卵期を禁漁にしたり、網目の大きさを規制することで、漁獲の効率性を制限し、産卵親魚や小型魚の保護を図る「テクニカルコントロール」(技術的規制)、(3)漁獲可能量(TAC)の設定などにより漁獲量を制限し、漁獲圧力を出口で規制する「アウトプットコントロール」(産出量規制)、の3つに分けられます。

これらの管理手法のうち、どの手法に力点をおくかは、漁業の形態や漁業者の数、水産資源の状況、さらには前提となる資源評価の精度等によって異なります。また、その実施形態も、行政機関による公的管理で行われるケース、同一の資源を利用する漁業者同士が自主的な合意のもとに実施するケース、両者が役割を分担するケースなど、各国で様々な形態が見られます。

なお、様々な管理手法が適切に機能し、効果を上げるためには、これら手法が、資源管理のための科学的根拠、ルールの遵守を担保する仕組みに支えられる必要があります。
 

(資源管理を支える要素:科学的根拠)

資源管理のためには、水産資源の量や状況を適切に調査・把握するとともに、入手可能な最良の科学的根拠に基づき、その評価を行うことが不可欠です。

水産資源の量や状況の評価のベースとなる情報としては、漁業者から得られる情報や調査船等によって得られる情報等があります。漁業者から得られる情報は、漁業者からの聞き取りや提出された報告書の分析、水揚げ地での漁獲物の測定によって得られるものであり、漁場別漁獲量(どこでどれだけ獲れたか)、年齢別漁獲量(何歳の魚がどれだけ獲れたか)、操業状況(何隻が何日操業したか)などを推定することができます。この情報からは、非常に多くのデータが得られますが、他方、魚介類がよく獲れる場所や経済的に価値のあるサイズの魚介類の情報にかたよることが避けられない面があります。一方、調査船等によって得られる情報は、事前に決めた調査点で、漁獲試験や、卵や稚魚の採集等の詳細なデータを収集することによって得られる、いわば中立的な情報ですが、調査船の数や人手には限界があります。このように、漁業者から得られる情報、調査船等から得られる情報には、それぞれ長所と短所があります。このため、実際の資源管理では、多様なデータを総合して解析し、具体的な管理方策を導き出す取組を行っています。

(資源管理を支える要素:ルールの遵守を担保する仕組み)

資源管理が効果を上げるためには、決められた措置が漁業者によって確実に実施されることが必要になります。このため、まずは、当事者である漁業者自らの資源管理に対する理解が不可欠です。この観点からは、行政・研究機関が資源の現状や予測に関する情報を漁業者に対して十分に提供していくことが重要です。また、漁業者によるルールの遵守を担保する仕組みとして、行政機関では、漁業取締船による海上監視や陸揚検査等の陸上監視による漁業取締を行っています。多くの場合、漁業者同士の相互監視もこのような仕組みに組み込まれています。さらに、操業ルール策定の初期段階から、漁業者の参画を得て納得ずくでルールを決めていくといった手続きも多く採られています。

図1-1-5 資源管理手法とそれを支える要素

(資源管理のもたらす効果)

資源管理によってもたらされる効果は、水産資源そのものの維持・増大に限られるものではありません。水産資源は、漁業という産業により利用されることから、漁業の経済収益性や、漁業従事者の雇用の維持や所得の確保など、経済的、社会的要素も資源管理の効果として想定されます。このため、資源管理を実施するに際しては、こうした他の要素にも留意する必要があります。

コラム:水産資源管理を成功に導くには ~ネイチャー掲載論文~

共同管理(co-management)とは、政府と地元の漁業者が水産資源の管理責任を共同で担い、両者の話し合い等を通じて、操業規制等を策定するという資源管理の方式です。この方式には、(1)資源管理に関する漁業者の責任感が向上する、(2)漁業者同士の相互監視によって操業秩序が向上する、といったメリットがあり、近年、その有効性が注目されています。

米国ワシントン大学のヒルボーン教授らは、世界44か国の130種類の共同管理(co-management)漁業*1について分析した結果を2011年1月、科学雑誌ネイチャー(電子版)に掲載しました。この論文では、資源管理の成功には、地域をまとめるリーダーの存在や社会的連帯の存在等が大きく貢献しており、共同管理が世界の漁業問題の有効な解決策となり得るとしています。

我が国においては、古くから漁業者が地先海面の水産資源を共同で管理しており、その基本理念が現在の漁業制度に引き継がれています。我が国の漁業は、世界的にみても共同管理の先取りともいうべきものです。

*1 我が国の資源管理の事例としては、秋田県のハタハタ、伊勢湾のイカナゴ、京都府のズワイガニ等、海外の資源管理の事例としては、ニュージーランドのカキ、カナダのズワイガニ、米国のロブスター等の漁業が分析の対象となっている。

お問い合わせ先

漁政部企画課
担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-3502-8415
FAX:03-3501-5097

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