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(3)我が国の水産資源管理の枠組み


(水産資源と漁業の特性に応じて公的規制と自主的資源管理を組み合わせ)

我が国では、沿岸域から沖合、遠洋まで、漁獲対象魚種や漁業種類の異なる多種多様な漁業が営まれています。このため、我が国の水産資源管理においては、魚種や漁業種類の特性に応じ、都道府県による漁業権免許、国、都道府県による漁業許可、漁獲可能量制度等の公的規制と漁業者による自主的資源管理のもとで、投入量規制・技術的規制・産出量規制を組み合わせた水産資源管理が実施されています。

(漁業権漁業における資源管理)

我が国沿岸では、近世以前から、漁業集落の漁業者が共同で地先の漁場を管理・利用してきた歴史をもっています。現代の漁業法においても、定着性の高い資源を対象とした漁業等について、都道府県知事により漁業協同組合に共同漁業権が免許されます。この免許に当たっては、漁場の区域、対象魚種、漁法等が特定されます。また、漁業協同組合が都道府県知事の認可を受けて定める漁業権行使規則においては、漁業を営む者の資格や漁具・漁法、操業期間の制限などの資源管理措置が規定されています。

表1-2-2 漁業権漁業の制度

コラム:我が国漁業のルールの成り立ち

我が国の伝統的漁業法規は、古くから幅広く漁業が営まれてきた歴史のもと、各地の漁場紛争の歴史を背景として、「漁場を誰に、どのように使わせ、それを誰が決めるか」を主眼として発達してきました。

資源の枯渇が紛争を激化させることや、そもそも漁場の利用は資源の利用と裏表のものでもあることから、資源管理のためのルールもこの枠組みと一体のものとして決められてきたといえます。

元来、海は土地と異なり境界もなく、魚も船も様々に動き回るなか、皆で共同利用するものであるという「入会」の考え方のもと、利用する関係者が「みんなで決める」ことが、我が国資源管理の基本となっています。

(許可漁業における資源管理)

一方、主に回遊性の魚種を対象とし、1隻当たりの漁獲量の多い沖合・遠洋漁業等については、他の地域や漁業種類との調整の必要性や資源に与える影響が大きいことから、農林水産大臣又は都道府県知事の許可制度により、漁船の隻数や総トン数等の投入量規制、操業期間・区域や漁法の制限等の技術的規制を行っています。また、漁獲量が多く国民生活上重要である、資源状況が悪く緊急に資源管理を行う必要がある、漁獲可能量を決定するに足る科学的知見があるなどの観点から指定されたマアジ、サバ類、スケトウダラ等の7魚種については、「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」に基づく産出量規制として、年間の採捕設定の上限を定める漁獲可能量(TAC)制度が導入されています。TACは、年間の数量を魚種別に定め、さらに一定のルールのもと、漁業種類や都道府県ごとに配分されます。

表1-2-3 許可漁業の制度

(漁業者による自主的な資源管理の取組)

以上のような公的な規制とあわせ、漁業者の間では、休漁、体長制限、操業期間・区域の制限等の自主的な資源管理の取組が行われてきました。

こうした自主的な資源管理を支援するため、国は昭和62年度から開始した資源培養管理対策推進事業を皮切りに、累次の事業により、関係漁業者の自主的な合意のもとで実施される漁獲圧力の軽減等の取組を支援してきました。平成14年からは、早急に回復させる必要のある資源を対象として、減船、休漁等を含む資源管理の取組を推進する資源回復計画を実施しています(平成22年度現在、77魚種66計画)。

表1-2-4 資源管理型漁業の展開

コラム:低位状態から抜け出した水産資源:ハタハタ

秋田県
ハタハタは、しょっつる鍋やハタハタ鮨などの秋田県の郷土料理に欠かせない魚で、秋田県の県魚にも指定されていますが、昭和40年代には2万トン前後あった漁獲量が昭和50年代以降急減し、平成3年には158トンまで低下しました。危機感を強めた秋田県の漁業者は、翌年から3年間の全面禁漁を実施し、解禁後も禁漁期間や休漁日の設定、網数の削減、禁漁区域の設定などの資源管理措置や、稚魚放流、産卵藻場の造成など、資源の回復に向けた取組を継続して行いました。

さらに、平成15年からは資源回復計画を作成し、青森県、山形県、新潟県、富山県の関係4県とともに、体長制限、漁獲量制限、小型魚の流通規制などの多岐にわたる自主的な規制を実施した結果、平成20年には約5千トンが漁獲されるまで資源が回復しました。
 
また、漁業センサスによれば、2008年(平成20年)において、漁期規制等の漁獲の管理、操業水域制限等の漁場の管理等の自主的な資源管理を行っている漁業管理組織数は1,738組織で、5年前の1,533組織から13.4%増加しています。平成20年の漁業管理組織の取組を主要魚種別にみると、アワビ類、サザエ、ウニ類、ナマコ類など沿岸漁業で漁獲される定着性資源を対象とする取組が多くなっています。これらの資源を対象とした取組が盛んな理由としては、定着性であり移動範囲が狭く管理しやすいことなどがあげられますが、これらの資源は単価の高いものも多いことから、持続的な資源管理の取組による漁業者の経営の安定のためにも、これらの取組を一層促進することが求められています。


事例:海の畑にまいたホタテガイを計画的に収獲(北海道紋別市(紋別漁業協同組合))


北海道紋別市
北海道のオホーツク海に面する紋別市のホタテガイの水揚げ量は約3万2千トン、水揚げ金額は約29億円*(いずれも平成21年)と、量、金額ともに同市の漁業生産全体の約半分を占めています。

紋別市のホタテ漁業では、造成した漁場に稚貝を放流し、成長した貝を小型機船底びき網で漁獲するという、いわば畑に種をまいてそれを収獲するという方法で資源を管理しています。紋別漁業協同組合では、沿岸の約30キロに及ぶ漁場を4区画に分割し、4年周期で稚貝の放流と漁獲を行うことで、計画的かつ効率的な漁業生産を行っています。

* ホタテガイの水揚げ量・金額は紋別漁業協同組合調べ
 

(自主的資源管理措置の新たな展開:資源管理計画)

以上のように、我が国では、多様な漁業の実態に対応し、公的規制と自主的規制を組み合わせた資源管理措置が行われてきました。今後、我が国漁業を持続的に発展させ、国民への水産物の安定供給を図っていくためには、大きな潜在力をもった我が国周辺水域の資源管理を一層徹底することが求められています。

このため、平成23年度からは、国・都道府県が定める資源管理指針に沿って、漁業者団体が休漁、漁獲量制限、漁具制限など公的規制に加えて自主的に取り組む資源管理措置をまとめた計画(資源管理計画)を策定し、資源管理に取り組む新たな資源管理制度が導入されました。この新たな枠組みは、公的規制やこれまでの資源回復計画、各地の自主的資源管理を包括するものであり、沿岸から沖合、遠洋まで、全国の漁業を対象とするものです。さらに、幅広い漁業者がこの新たな枠組みのもとで計画的に資源管理に取り組むことを促すため、資源管理計画に沿って資源管理に取り組む漁業者を対象に、「資源管理・漁業所得補償対策」を講じることとしています。

図1-2-7 新たな資源管理体制のイメージ(新体制への移行)

コラム:資源管理型漁業を支えてきた数々の標語

海は銀行 魚は貯金
1970年代以降、世界の沿岸国が相次いで200海里の排他的経済水域を設定するなかで、我が国漁業も、「沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へ」という外延的発展の時代が終わり、我が国周辺水域の水産資源を有効に活用する「作り育てる漁業」としての栽培漁業や資源管理型漁業に対する注目が高まっていきます。

当時、漁業者団体では、資源管理型漁業に対する漁業者の意識啓発のため、全国の水産関係者から標語を募集し、ポスターやステッカーを作成しています。選考された作品には、「資源管理一人一人がみな主役」、「海は銀行 魚は貯金」、「海は一つ心も一つ資源の管理」など、水産資源管理の本質を見事に言い当てた数々の秀作があり、漁業の現場で資源管理型漁業に取り組む漁業者を応援する力強いエールとなりました。
 

お問い合わせ先

漁政部企画課
担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-3502-8415
FAX:03-3501-5097

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