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ホーム > 水産白書 > 平成22年度 水産白書 全文 > 平成22年度 水産の動向 > 第1部 平成22年度 水産の動向 > 第2章 平成21年度以降の我が国水産の動向 > 第1節 水産物の消費・需給をめぐる動き > (1)水産物の消費動向


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(1)水産物の消費動向


(我が国の1人当たり魚介類供給量は主要国中で1位)

米・魚を中心とした食生活を営んできた我が国は、世界有数の魚食大国です。我が国の1人当たりの食用魚介類供給量は、人口100万人以上の国の中で世界一となっています。


また、各国の国民1人当たりの魚介類供給量と平均寿命の関係をみると、魚介類供給量が多い国ほど平均寿命が長い傾向がみられます。我が国が世界一の長寿国となっているのも、魚食が大きな影響を与えているといってもよいでしょう。


(魚介類消費量の減少が続いている)

消費者の「魚離れ」が依然として進行しています。魚介類と肉類の国民1人1日当たり摂取量の推移をみると、魚介類が長期的に減少傾向にあるのに対し、肉類はほぼ横ばい傾向にあり、平成18年には初めて肉類の摂取量が魚介類を上回りました。その後、19年、20年と魚介類と肉類の摂取量が拮抗していましたが、21年には肉類と魚介類の摂取量の差が拡大しています。


(家庭で消費される魚が変化している)

魚介類の消費量の減少とあわせ、消費される魚介類の種類も変化しています。家庭での魚種別の鮮魚購入数量をみると、昭和40年にはアジ、イカ、サバが上位3種類を占めていましたが、平成22年は、サケ、イカ、マグロへと変化しています。

このような変化は、(1)食の簡便化が進むなかで、家庭での下ごしらえが必要な一尾物の購入が減少し、切り身、刺身や干物が増加するなど、魚介類の購入形態が変化していること、(2)鮮魚店からの購入が減り、スーパーマーケットからの購入が増加するなど、購入先が変化していることなどが反映しているものと考えられます。特に最近10年間における増加が著しいサケ、サンマについてみると、サケについては、チリ、ノルウェー等からの輸入生鮮品が幅広い調理法で消費されていること、サンマについては、鮮魚での流通が全国に広がったことなどが増加の要因と考えられます。


(生鮮魚介類の購入数量の地域差が縮小している)

全国の都道府県庁所在都市を対象として、家庭における生鮮魚介類*1の1人当たり購入数量の推移をみると、購入数量上位5市(青森市、鳥取市、秋田市、金沢市、松江市)では購入数量が長期的に減少傾向にあります。一方で、下位5市(さいたま市、前橋市、甲府市、岐阜市、那覇市)の購入数量は、那覇市を除き横ばい傾向にあり、上位5市と下位5市の1人当たり購入数量の差は縮小しています。

*1 漁獲された魚介類に、洗浄、切り身、柵どり等の最小限の処理を加えたもの。保存のための加工を施した塩サケ(塩蔵品)などは含まれない。


また、下位5市の平成21年の生鮮サケ・マグロの購入数量は、全国平均に比べ多く、生鮮魚介類の購入数量全体に占める割合も全国平均より高くなっています。

生鮮魚介類の購入数量にかかる地域間の差が小さくなってきているのは、水産物の低温輸送技術の発達、量販店を中心とした水産物流通体系の構築、消費者の魚食の簡便化等の動きのなかで、生鮮サケ・マグロといった全国に広く流通する魚が、内陸地域等の水産物消費を支えていることによるものと考えられます。
 

(水産物消費の外部化は輸入量増加の一因になっている可能性がある)

家庭における食料支出額*1の推移をみると、外食・調理食品の割合が増加しており、食の外部化が進行していることがわかります。

主要な魚種について、家計における生鮮品の購入数量と食用の消費仕向量(家計のほか、外食、中食、加工仕向けを含む)の相関関係をみると、大きく2つのグループに分かれることが見てとれます。1つ目のグループは、消費仕向量に対する家計での生鮮品の購入数量の割合が比較的低い、すなわち外食・中食で消費される割合が大きいと考えられるマグロ類、エビ類、サケ・マス類(「外食・中食仕向け魚種グループ」)です。もう1つのグループは、国内消費仕向量に対する家計での生鮮品の購入数量の割合が比較的高い、すなわち家庭内消費の割合が大きいと考えられるサンマ、ブリ類、アジ類等(「家庭内消費魚種グループ」)です。

「家庭内消費魚種グループ」は国内生産割合が高いものが多いのに対し、「外食・中食仕向け魚種グループ」は輸入割合が高い魚種が多く、食の外部化は、水産物輸入量の増大にも影響を及ぼしている可能性があります。

*1 食料支出額は、米、肉類、魚介類、生鮮野菜、調理食品及び外食の合計である。
 

(水産加工業においても国産魚介類の消費が減少している)

水産加工場における国産魚介類の使用状況をみると、「すべて国産品」を使用しているとする加工場の割合が減少しています。また、冷凍食品、塩干品について家計における消費支出の推移をみると、国産品の使用割合が相対的に低い冷凍食品の消費支出がやや増加しているのに対し、国産品を5割以上使用しているとする加工場の割合が高い塩干品の消費支出が減少しています。このような水産加工業の動向も、国産魚介類の消費の減少に影響を与えているものと考えられます。



(若い世代ほど家庭での魚の購入量が少ない)

家庭での生鮮魚介類の購入数量を世代ごとに比較すると、年齢層が若くなるほど少なくなっており、現在30~39歳の世代の生鮮魚介類購入数量は、現在60歳以上の世代の約3分の1にとどまっています。また、現在50歳以上の世代では、齢をとるにつれて、嗜好の変化などによって魚介類の購入数量が増えるという傾向(いわゆる「魚介類消費の加齢効果」)がみられますが、40代以下の世代では、加齢効果はみられなくなっています。
 

(新規需要の開拓や魚食普及による水産物消費拡大が必要)

以上に述べたように、水産物の消費の内容や形態は、消費者の嗜好の変化、食の外部化・簡便化の進行など食生活の変化、流通の発達など様々な要因によって、変化してきています。

今後、我が国の人口の減少が進むとともに、水産物の消費量が少ない世代への世代交代が進むなかで、国内の魚介類の消費は一層減少していくことが懸念されます。一方で、電子レンジで手軽に魚を調理できる器具がヒット商品となったり、回転寿司が年齢層を問わず人気を集めるという現象も生じており、食の外部化・簡便化、安全・安心志向、健康志向といった水産物の消費形態の変化に敏感に対応すれば、新たな消費を喚起できる可能性があります。

また、魚介類は、カルシウムやミネラル、ビタミン類といった栄養素の宝庫です。中でも、魚の脂質に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や神経組織の発達に、EPA(エイコサペンタエン酸)は血栓の予防に効果があることが知られています。

食生活を通じた国民の健康増進を図るためにも、水産物摂取のメリットに関する国民の理解促進、水産物の調理方法の普及、消費者ニーズに対応した商品の開発などにより、水産物の消費拡大を図ることが重要です。特に、子育て世代である40歳代層で魚食の加齢効果が見られなくなっている状況のなかで、次世代を担う子どもやその親に対する魚食の普及が課題となっています。

コラム:料理教室から見る魚食普及のヒント

全国で約100校の料理教室を主催するA社では、魚料理のコースが人気を博しています。このコースの生徒の主な年齢層は、女性が25~35歳、男性が30~40歳で、「魚を料理してみたいが、どうしたらいいか分からないので、調理法を知りたい」という人が多いとのことです。この年齢層の人たちが家庭であまり魚を調理しない理由として、A社のスタッフは、(1)魚は肉に比べると廃棄する部分が多く割高な印象がある、(2)生ごみが出るので、ごみ収集の前の日以外は調理しづらい、(3)単身世代の住居は台所が狭いため魚の調理がしづらい、といった点を指摘し、水産物の消費拡大のためには、魚の調理や保存の方法をできるだけ多くの人に教えることが重要だと話しています。


事例:学校給食を通じた県産魚の魚食普及


県産魚のメニューで楽しい給食タイム(大分市内の小学校)
県産魚のメニューで楽しい給食タイム(大分市内の小学校)
大分県
大分県漁業協同組合(JFおおいた)は、県下の学校給食に県産魚を使ってもらおうと、平成19年から県下の学校栄養職員などを漁業現場に招待し試食会を行うなどの取組を進めてきました。この活動が実を結び、平成21年9月に(財)大分県学校給食会を事務局とする「地産地消物資共同開発委員会」が設立されました。同委員会では、大分県の養殖ブリを使った「ぶりカツ」、「はもつみれ団子」など、12種類の県産魚を使った給食用メニューを開発し、平成22年には、県下の10万人の児童・生徒の学校給食として36万食が販売・提供されました。

現場の学校栄養職員の方によると、これらの県産魚メニューは子どもたちに大好評で、食べ残しも非常に少ないとのことです。今後、この取組がさらに進展し、大分の子どもたちが学校給食を通じて様々な県産魚に親しむようになることが期待されます。
 

お問い合わせ先

漁政部企画課
担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-3502-8415
FAX:03-3501-5097

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