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ホーム > 水産白書 > 平成23年度 水産白書 全文 > 平成23年度 水産の動向 > 第1部 平成23年度 水産の動向 > 第2章 平成22年度以降の我が国水産の動向 > 第1節 水産物の消費・需給をめぐる動き > (2)水産物の消費動向


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(2)水産物の消費動向


(減少する水産物の消費)

近年の厳しい経済情勢を反映して、家計の収入・支出が減少する中で、消費者が食料費を抑制する傾向が顕著となっています。家計支出の内訳をみると、交通・通信費や保健医療費では平成23(2011)年の支出額が平成13(2001)年と比べ横ばいまたは増加となっている一方、食料費は、被服及び履物費と並び減少が続いています。また、食料支出の内訳をみると、外食や調理食品の割合が横ばいまたは増加となっている一方で、生鮮魚介や水産加工品(塩干魚介・魚肉練り製品・他の魚介加工品)の割合が減少しており、家庭で調理する水産物の消費が減少してきていることがみてとれます。
 


(肉類と魚介類の摂取量の差が拡大)

魚介類と肉類の国民1人1日当たり摂取量の推移をみると、魚介類が平成13(2001)年以降、減少傾向にあるのに対し、肉類はほぼ横ばいの傾向にあり、平成18(2006)年には初めて肉類の摂取量が魚介類を上回りました。その後、平成19(2007)年、20(2008)年と魚介類と肉類の摂取量が拮抗していましたが、平成21(2009)年、22(2010)年には、肉類と魚介類の摂取量の差が拡大しました。
 

(高い割合を占めるスーパーマーケットでの購入)

水産物の購入先は、スーパーマーケットでの購入の割合が66%となっています*1。

農林水産省が全国の消費者を対象として実施した意識・意向調査によると、水産物をスーパーマーケットで購入するメリットとして、「必要な分量を購入できる」、「価格や消費期限、産地等の表示がわかりやすい」、「パック詰めされた商品が多く、手軽に購入できる」といった点が上位に挙げられており、このような購入時の利便性や商品表示のわかりやすさ等が、スーパーマーケットが水産物の購入先として大きな割合を占める要因となっているものと考えられます。他方、水産物を鮮魚専門店で購入するメリットとしては、「希望に応じてその場で切り身や刺身に処理してもらえるため新鮮である」、「美味しい食べ方や時期等の水産物の知識を店頭で教えてもらえる」、「色々な魚介類が威勢良く売られているので楽しい」といった点が上位となっており、顧客のニーズに個別に対応するきめ細やかなサービスや魚売り場特有の活気等が消費者に評価されていることがみてとれます。

*1 総務省「全国消費実態調査」(平成21(2009)年)



(家庭における鮮魚購入量の傾向)

魚介類の消費量が減少傾向にある中で、家庭で消費される魚介類の種類にも変化がみられます。家庭での魚種別の鮮魚購入数量を平成13(2001)年と23(2011)年で比較すると、イカやマグロが大きく減少する一方でサケの購入数量は比較的減少が少なく、魚種別鮮魚購入数量ではサケが3位から1位となりました。購入数量が増加している魚種はブリのみとなっています。

これら2種類の魚の家庭での購入数量が比較的順調に推移した背景には、サケについては、チリ、ノルウェー等からの輸入品が和洋中と幅広い調理法で消費されていること、ブリについては、養殖業による安定供給や天然資源の漁獲増加に伴う産地価格の低下、さらには新しい食べ方*1の普及等の事情があるものと考えられます。

なお、サンマについては、漁獲量が減少し、市場への供給量が減少したことに伴い、平成22(2010)年、23(2011)年において購入数量が減少したものとみられます。

*1 薄く切ったブリの切り身をしゃぶしゃぶにして食べる「ぶりしゃぶ」や切り身の表面に直火で焦げ目をつける「炙(あぶ)り、たたき」等。



(年齢階層別の魚介類・肉類摂取量の傾向)

国民1人1日当たりの動物性タンパク質を含む食品(魚介類、肉類、卵類、乳類の合計)の摂取量は、平成22(2010)年に307.1gとなっており、平成12(2000)年と比較して9%減少しています。このうち増加がみられるのは、肉類のみであり、魚介類、卵類、乳類は減少しています。

平成12(2000)年から22(2010)年にかけての魚介類と肉類の1人1日当たり摂取量の変化をみると、全体の平均で魚介類よりも肉類が多くなっています。また、年齢階層別でも全階層において魚介類が減少し、肉類が増加する傾向がみられます(グラフ上の点が左上に向けて移動)。中でも、7~14歳、15~19歳及び40~49歳の各階層については、魚介類が減少し、その分、肉類が増加する傾向が顕著となっています。

表2-1-1 動物性タンパク質を含む食品の摂取量の変化


(日本人の健全な食生活を支える水産物の消費拡大策が必要)

水産物には、魚等の脂に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった脂肪酸をはじめ、様々な機能性成分が含まれています。また、水産物には、良質のタンパク質を多く含んでいる一方、総じてカロリーが低いという特徴があります。水産物は、日本人の健康的な食生活を支える重要な食料であり、今後とも若い世代や子育て世代に向け、水産物の摂取による健康面の効用等の情報をわかりやすい形で伝えることが重要です。

農林水産省が全国の消費者を対象として実施した意識・意向調査では、水産物の優れている点として、「水産物の方が肉類よりも健康に良い」ことを挙げた者が64.7%と最も多く、「水産物を食べることで旬や季節感を感じることができる」(53.6%)がそれに次いでおり、消費者は、水産物の摂取に当たって健康面の効用や季節感を評価していることがみてとれます。このような点を踏まえ、魚の消費が減少している階層をターゲットにして、生産、加工、流通、小売、外食等の関係者が連携し、新しい切り口での魚食普及の取組を拡大していくことが重要です。


表2-1-2 栄養成分の比較(可食部100g当たり)


コラム:水産物の摂取による健康メリットに関する研究

魚のさばき方に加え、その栄養特性も学ぶ親子でのお魚料理教室
魚のさばき方に加え、その栄養特性も学ぶ
親子でのお魚料理教室
水産物には種々の機能成分が含まれており、その摂取による健康メリットについて新しい知見が次々と発見されています。最近では、魚に含まれる脂の摂取によるとみられる健康メリットについて2件の発見がありました。

国立がん研究センターによる「多目的コホート研究*」からは、平成23(2011)年8月17日、約5万人の研究参加者を5年間追跡した調査結果に基づいて、魚介類、特に小・中型魚(アジ・イワシ、サンマ・サバ、ウナギ)及び脂の多い魚(サケ・マス、アジ・イワシ、サンマ・サバ、ウナギ、タイ類)の摂取により、男性の糖尿病発症のリスクに低下がみられたとの研究結果が発表されました。

また、(株)マルハニチロホールディングスと島根大学他の合同チームは、111人の高齢者(平均73歳)にDHAを添加した水産食品を2年間にわたって摂食してもらう実験によって、DHAを含む食品の摂取による認知症予防の可能性を示す結果が得られたことを平成23(2011)年8月31日に発表しました。

水産物の摂取については、魚介類に含まれる高度不飽和脂肪酸(DHA、EPA)等の摂取による健康メリットの一方で、メチル水銀やダイオキシン等の摂取による危険性も指摘されています。健康のために魚を食べるべきか、そうでないのか。この疑問に応えるため、平成22(2010)年10月、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)による合同の専門家会合がローマで開催されました。この会合の結果、各国に対し、1)(ア)魚介類はエネルギーやタンパク質のほか多くの必須栄養素を含んでいること、(イ)大人の場合、魚介類の摂取によって心臓病による死亡率が低下すること、(ウ)妊婦等が魚介類を摂取することにより胎児の神経系の発達が促進されることを一般市民に広く周知すること、2)魚介類に含まれる栄養素と汚染物質(メチル水銀、ダイオキシン、PCB)のデータベースを作成すること等が勧告されており、専門家会合としても、汚染物質のことで魚介類を避けるのではなく「健康のために魚を食べるべき」ことを強調しています。

* 多目的コホート研究:生活習慣と病気の関係を調べるための大規模な疫学調査。コホートとは、共通の性格をもつ集団のことをいい、コホート研究とは、そうした「ある共通点をもつグループ」と「属性をもたないグループ」を設定し、それぞれのグループにおける病気の発生率を比較して研究することをいう。


コラム:家庭で手軽に美味しい水産物を〜人気商品のトレンド〜

シリコン製調理器具で手軽につくれる様々な魚料理(写真提供:北海道漁連)
シリコン製調理器具で手軽につくれる
様々な魚料理(写真提供:北海道漁連)
近年、魚介類を電子レンジで簡単に調理できる「シリコン製調理器具」や「魚焼きシート」、「電子レンジ用調理皿」等の商品が増えています。ノンオイルまたはごく少量の油で素早く調理ができる上、手入れも簡単なことが、これらの商品が人気となっている理由と考えられます。魚は、健康に良いことはわかっているし、その美味しさもわかっているので、「食べたい」、「子どもに食べさせたい」と思いながらも、「調理が面倒」、「調理後の器具の手入れが面倒」といった消費者は多く、これらは、そういった消費者ニーズに合致した商品といえるでしょう。

「シリコン製調理器具」については、用途に合わせた様々な形状や大きさの商品があり、そのデザインもスタイリッシュかつ多様です。さらに、「シリコン製調理器具」のためのレシピが書籍やインターネット等で数多く紹介されていることも、その人気の一因となっているものと思われます。

水産加工品の中にも、近年の消費者ニーズに合致した商品がみられます。例えば「骨なし魚」。もともとは主に高齢者や病院食用向けのものでしたが、外食産業や学校給食でも活用されるようになり、一般の消費者にも徐々に普及してきています。多くの水産加工業者が「骨なし魚」の新商品を開発しており、この10年で大きく市場を伸ばしているといわれています。


お問い合わせ先

漁政部企画課
担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344
FAX:03-3501-5097

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