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(3)日本人の健康的な食生活を支える水産物


水産物の摂取によって私たちの健康に様々なメリットがあることが明らかになってきています。

(タンパク質のみならず多様な栄養素を含む水産物)

魚介類は、良質の動物性タンパク質(*1)を含む一方、総じてカロリーが低いという特徴があります。日本人のタンパク質摂取量については、魚介類由来のものが総摂取量の約5分の1、動物性タンパク質摂取量の4割となっており、これはOECD加盟各国の中では韓国と並び突出して高い値となっています。

また、魚介類には、ビタミン(D、E、B12)、必須ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、セレン等)などの栄養素も豊富であり、日本人にとって魚介類は、これらの重要な供給源となっています。さらに、魚介類には高度不飽和脂肪酸(DHA:ドコサヘキサエン酸、EPA:エイコサペンタエン酸)やタウリン、アンセリン、バレニンを始めとする多様な機能性成分が含まれています。また、海藻類にもビタミン、ミネラルに加え、整腸作用や機能性を有する食物繊維が多く含まれています。

私たち日本人は伝統的に魚介類や海藻を取り入れた食生活を送っており、我が国で食用として流通している魚は300種類を超えると言われています。栄養や機能性に優れた水産物を日常的に摂取する我が国の食生活のスタイルは、国民の健康を維持する上で重要な役割を果たしているものと考えられます。

*1 魚肉のタンパク質には、畜肉と比べ基質タンパク質(いわゆる「すじ」の部分)が少なく消化されやすいという特徴がある。


表1-1-2 食品群別栄養素等摂取量(1人1日当たり)

図1-1-16 水産物に多く含まれるDHA、EPA

表1-1-3 水産物に含まれる主な機能性成分

(様々な研究によって明らかになってきた水産物摂取の効能)

水産物の摂取によって私たちの健康の維持に役立つ様々な効果が得られることが、以下に挙げるものを始め、数多くの研究によって明らかになってきています。

魚をたくさん食べる人ほど心筋梗塞になりにくい
厚生労働省研究班が、平成2(1990)年から約11年にわたり、岩手県、秋田県、長野県及び沖縄県に住む男女4万人について、食事も含む生活習慣と虚血性心疾患(*1)発症との関連を追跡調査した結果、「魚を週に8回食べる人は1回しか食べない人に比べて心筋梗塞を発症するリスクが約6割低い」ということが分かりました(平成18(2006)年1月、米医学誌「Circulation」に発表)。

*1 心臓に血液を送る動脈の硬化や血栓などによって、心臓の血流が悪くなることで生じる疾患。代表的なものに心筋梗塞症がある。


図1-1-17 魚摂取量と虚血性心疾患の関連

魚を食べると血栓の形成抑制に大きな効果
(独)水産総合研究センターは、ラットにマイワシから抽出した成分を含む餌を与える実験により、魚を食べることによる血栓の形成抑制は、①魚油成分が血液の凝固を抑制する作用に加え、②魚のタンパク質が血栓を溶かす作用によってもたらされていることを突き止めました。魚を食べると魚油と一緒に魚タンパク質を摂取することができることから、魚を食べる食生活によって血栓の形成が効果的に抑制され、脳梗塞や心筋梗塞など血栓を原因とする疾病の予防に有効である可能性が示唆されました(平成16(2004)年10月、ヨーロッパの栄養学雑誌「Annals of Nutrition and Metabolism」に掲載)。



海藻と魚を組み合わせて食べることが肥満防止につながる可能性
(独)水産総合研究センターは、海藻と魚を組み合わせて食べることがどのような効果を持つのかに着目し、ラットを使った実験を行いました。この結果、ワカメと魚油には、ともに血中の中性脂質濃度を低下させる作用があるものの、両者では作用のメカニズムが異なるため、ワカメと魚を一緒に摂取することによって、両者による中性脂質濃度の低下作用が足し算的に強くなることを明らかにしました。ご飯にワカメの味噌汁と焼き魚といった典型的な日本食のメニューが中性脂質濃度の上昇に伴う肥満や動脈硬化の予防に有効である可能性が示唆されました(平成14(2002)年4月、アメリカの栄養学雑誌「The Journal of Nutrition」に掲載)。


図1-1-19 ワカメと魚油の同時摂取後の血清と肝臓の中性脂質濃度

魚介類の摂取が男性の糖尿病予防に効果
(独)国立がん研究センターによる多目的コホート研究では、岩手県、秋田県、長野県、沖縄県、東京都、茨城県、新潟県、高知県、長崎県及び大阪府に住む男女5万人について魚介類摂取の状況と糖尿病発症との関係を5年間にわたって追跡調査しました。この結果、魚介類、特に小・中型魚(アジ・イワシ、サンマ・サバ、ウナギ)及び脂の多い魚(サケ・マス類、アジ・イワシ、サンマ・サバ、ウナギ、タイ類)の摂取により男性の糖尿病発症のリスクに低下がみられました。この理由として、同研究センターは、魚に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸(*1)やビタミンDが男性のインスリン(*2)感受性やインスリン分泌に好ましい効果を与えている可能性を指摘しています(平成23(2011)年8月、米国の栄養学雑誌「American Journal of Clinical Nutrition」に掲載)。

*1 DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)等
*2 体内の血糖値を下げるホルモン。


図1-1-20 男性における魚の大きさ及び脂の量による摂取と糖尿病発症リスクの関連

魚介類の摂取により肝臓がんリスクが低下
また、同じ多目的コホート研究で、岩手県、秋田県、長野県、沖縄県、茨城県、新潟県、高知県、長崎県、沖縄県、大阪府において、平成7(1995)年と平成10(1998)年にアンケート調査に回答した45−74歳の男女約9万人を平成20(2008)年まで追跡調査し、魚及びn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量と肝臓がん発生との関連を調べました。この結果、n-3系多価不飽和脂肪酸を多く摂っているグループ、n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚(サケ・マス類、タイ類、アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギ)を多く摂っているグループほど、肝臓がんの発生リスクが低いことが分かりました。肝臓がんの多くはB型・C型肝炎ウイルスの感染者から発生しますが、分析の対象を肝炎ウイルス陽性者に限っても、同様の結果がみられ、特にC型肝炎ウイルス陽性者では肝臓がんリスクの低下が顕著にみられました。これらの理由として、n-3系多価不飽和脂肪酸が持つ慢性肝炎への抗炎症作用や、肝臓がんのリスクと考えられているインスリン抵抗性(*1)を改善する作用が働いている可能性が指摘されています(平成24(2012)年6月、米国の消化器病学雑誌「Gastroenterology」に掲載)。

*1 インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態。


図1-1-21 魚及びn-3系多価不飽和脂肪酸摂取量と肝臓がん罹患(りかん)率との関連

コラム:どれぐらいの量の魚を食べると「健康に良い」のか

「日本人の食事摂取基準(*1)」は、健康な個人又は集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病を予防するため、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものです。平成21(2009)年5月に取りまとめられた現行基準の報告書(*2)では、最新の学術論文等の知見を踏まえて前基準の見直しが行われた結果、魚介類由来のn-3系多価不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)及びDHA(ドコサヘキサエン酸)の摂取によって、冠動脈疾患、脳梗塞、加齢黄斑変性症(*3)に対する予防効果が得られる可能性が高いことが認められ、日本人の成人男女によるEPA及びDHAの摂取目標量(下限)を1人1日当たり1gと設定しました。EPA及びDHAは、魚の脂肪に多く含まれており、この摂取目標量は、具体的には、アジの開きで0.7枚分、サンマの塩焼きで0.4尾分、ブリ(ハマチ)の刺身で4.7切分に当たります。

*1 健康増進法(平成14(2002)年法律第103号)に基づき厚生労働大臣が策定。5年ごとに改訂されている。
*2 現行基準の使用期間は、平成22(2010)年度から平成26(2014)年度までの5年間。
*3 60歳以上の高齢者に多く見られる疾患。視力低下を来す。

EPA及びDHAを1g摂取するために必要な魚介類
 

お問い合わせ先

漁政部企画課
担当者:動向分析班:大橋・太田
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-3502-8415
FAX:03-3501-5097

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