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水産庁

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序節 新たな水産基本計画

(水産基本計画に基づく水産政策の推進)

平成13(2001)年6月に制定された水産基本法*1は、「水産物の安定供給の確保」と「水産業の健全な発展」を水産に関する施策の基本理念として掲げるとともに、水産政策における基本的な施策の方向性を示しています。同法の制定後、16年が経過しましたが、この間、同法が掲げた水産施策の理念の実現に向けて、水産に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、水産基本計画が4度(平成14(2002)年3月、平成19(2007)年3月、平成24(2012)年3月及び平成29(2017)年4月)にわたり策定され、これに基づき各種施策が推進されてきました。

  1. 平成13(2001)年法律第89号

なお、水産基本計画は、今後10年程度を見通して定めるものとしていますが、水産をめぐる情勢の変化及び施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね5年ごとに見直し、所要の変更を行っています。

(水産業をめぐる情勢)

平成14(2002)年3月に初めて水産基本計画が策定されて以来、この16年の間に水産をめぐる情勢は大きく変化しました。世界的な人口の増加や経済発展に加え、水産物の優れた栄養特性に対する評価の高まりもあって、その需要が増大している一方、世界の水産資源の多くは既に満限あるいはそれ以上に利用されているとされており、我が国周辺の豊かな水産資源を適切に管理し、国民に安定的に水産物を供給していくことの重要性が高まっています。

このような世界的なすう勢とは裏腹に、我が国においては、漁船の高船齢化、漁業者の減少・高齢化の進行など水産物の生産体制がぜい弱化するとともに、国民の魚離れの進行が止まらず、このままでは、我が国周辺の身近な自然の恵みを活用する力を失ってしまう状況も懸念されています。

一方で、最近では漁業産出額が平成27(2015)年まで3年連続で上昇するなど明るい兆しもみられています。

(水産基本計画の概要)

平成29(2017)年4月に策定された水産基本計画では、我が国周辺の豊かな水産資源を持続的な形でフル活用を図るとともに、水産物の安定供給と漁村地域の維持発展に向けて、産業としての生産性の向上と所得の増大による成長産業化、その前提となる資源管理の高度化等を図るため、総合的かつ計画的な講ずべき施策を示しています。

重点的に取り組む項目として、<1>国際競争力のある漁業経営体の育成、<2>所得向上に向けた浜プラン・広域浜プランの着実な実施、<3>新規就業者、海技士等の人材の育成・確保、<4>魚類・貝類養殖業等への企業の参入、<5>数量管理等による資源管理の充実と沖合漁業等の規制緩和、<6>持続可能な漁業・養殖業の確立、<7>産地卸売市場の改革、<8>多面的機能の発揮の促進等が盛り込まれています。

さらに、水産基本計画に基づき、数量管理等による資源管理の充実や漁業の成長産業化等を強力に進めるために必要な施策について、関係法律の見直しも含め、引き続き検討していくこととしています。

これらの施策によって、2027年度における漁業・養殖業での食用魚介類の生産量について漁業者の努力と政策的取組によって、現状より増大させ387万トンを目標とするとともに、消費量については、すう勢では大幅な減少が見込まれる中、消費拡大の取組によって、現状からすう勢値への減少を3分の1に食い止めることを目指し、2027年度における食用魚介類の自給率目標を70%に設定しています。

水産基本計画の概要

「水産基本計画」の概要2017

<1>産業としての生産性の向上と所得の増大による漁業の成長産業化

<2>前提となる資源管理の高度化等を図るために必要な施策の総合的かつ計画的な実施

水産資源の持続可能な形でのフル活用による国民に対する水産物の安定的な供給漁村地域の維持発展

第1 水産に関する施策についての基本的な方針

○産業としての生産性向上と所得の増大

「浜」単位での所得向上の取組の展開

自らの経営能力の向上、外部の人材の積極的な受入れ、企業の技術・知識・資本等の活用
→漁業操業等の効率化や消費者ニーズにこたえる戦略的なマーケティング体制の整備等

沖合漁業・遠洋漁業の国際競争力の強化

事業者自らが様々な創意工夫による産業としての生産性の向上と労働条件の改善
→漁船の高船齢化や海技師資格等の問題の根本的な解決

○水産資源とそれを育む漁場環境の適切な保全・管理

○水産業・漁村の持つ多面的機能の十全な発揮

○漁業者の取組を促進するために必要な措置の実施

○国内の資本管理の高度化と国際的な資源管理の推進

○多様なニーズに対応する加工・流通・消費・輸出に関する施策の展開

○東日本大震災からの復興

第2 水産に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策

1 国際競争力のある漁業経営体の育成

  • 国際競争力の強化のための課題に取り組む者を、効率的かつ安定的な漁業経営体となるべく育成し、今後の生産を担っていく主体として位置付ける。
    これらの経営体に経営施策を重点化し、その国際競争力の強化を図る。
  • 資源管理・収入安定対策に加入する担い手が、限られた水産資源を管理しつつ将来にわたって効率的に利用して、漁業生産の大宗(我が国漁業生産額のおおむね9割に相当)を担い、多様化する消費者ニーズに即し、安定的に水産物を供給しうる漁業構造を達成する。

2 浜プラン・広域浜プラン

  • 浜プランの実施に当たっては、所得の向上に向けて着実にPDCAサイクルを回していくことが重要であり、優良事例や取組に当たっての課題を浜にフィードバックする。
  • 漁業就業者の減少・高齢化といった実態も踏まえ、浜の資源のフル活用のために必要な施策について、引き続き検討を行う。

3 新規就業者の育成・確保

  • 被雇用者としての就業にあっては、計画的な資源管理の下で効率的かつ安定的な漁業経営を目指す「担い手」たる漁業経営体への就業を支援する。独立・自営者としての就業にあっては、地域が「担い手」として育成することを認めた新規就業者に対し支援し、定着を促進する。

4 海技士等の人材の育成・確保、水産教育の充実

  • 水産高校、水産大学校、漁業学校等において、6か月間の乗船実習を含むコースを履修することで、卒業時に海技試験の受験資格を取得し、口述試験を経て海技資格を取得できる新たな仕組みの実現を目指す。
  • 水産移管する過程を備えた高校・大学や水産大学校において、水産業の現場の要望を踏まえた実践的な専門教育の充実を図る。

5 外国人材受入れの必要性

・水産業分野における外国人材受入れの必要性については、水産業の現場のニーズ、その将来の見通しや経営環境等の実態を詳細に把握し、経済的効果等を踏まえた方向を探る。

6 魚類・貝類養殖業等への企業の参入

・漁業者が、必要とされる技術・ノウハウ・資本・人材を有する企業との連携を図っていくことは重要。
国として、浜と連携する企業とのマッチング活動の促進やガイドラインの策定等を通じた企業と浜との連携、参入を円滑にするための取組を行う。浜の活性化の観点から必要な施策について引き続き検討し、成案を得る。

7 資源管理の基本的な方向性

  • 漁獲量や漁獲金額等が多い主要資源や広域資源及び資源状況が悪化している資源については、国が積極的に資源管理の方向性を示し、関係する都道府県とともに資源管理の効率化・効果的な推進を図る。
  • 主要水産資源ごとに、目標管理基準や限界管理基準といった、いわゆる資源管理目標等の導入を順次図る。

8 数量管理による資源管理の充実尾沖合漁業等の規制緩和

  • IQ(個別割当)方式については、沖合漁業等の国際競争力の強化が喫緊の課題となっていることから、我が国漁業の操業実態や資源の特性に見合ったIQ方式の活用方法について、検討を行う。
  • 沖合漁業については、数量管理等の充実を通じて、既存の漁業秩序への影響も勘案しつつ、資源管理の方法も含め、規制緩和の在り方等について引き続き検討し、成案を得る。

9 捕鯨政策の推進

・商業捕鯨の早期再開を目指すため、国際捕鯨委員会の在り方に関する議論を関係国と進めるとともに、鯨類科学調査を確実に実施する。また、我が国の立場に対する理解の拡大に引き続き取り組む。

10 持続可能な漁業・養殖業の確立(総論)

・漁船の高船齢化による生産性等の低下等が問題となっており、高性能化、安全性の向上等が必要。
造船事業者の供給能力が限られている現状も踏まえ、今後、高船齢船の代船を計画的に進めていくため、漁業者団体が代船のための長期的な計画を示すとともに、国としても、このような計画の円滑な実施と国際競争力の強化の観点から、必要な支援を行う。

11 新技術・新物流体制の導入等による産地卸売市場の改革と生産者・消費者への利益の還元

・既存の流通機構の枠を超えて消費者や需要者のニーズに直接応える形で水産物を提供する様々な取組が広がっている。
流通機能の改革が進むよう、国として、水産物の取引や物流の在り方を総合的に検討して、方向性を示す。

12 多面的機能の発揮の促進

・自然環境の保全、国境監視、海難救助による国民の生命・財産の保全、保健休養・交流・教育の場の提供などの、水産業・漁村の持つ水産物の供給以外の多面的な機能が将来にわたって発揮されるよう、一層の国民の理解の増進を図りつつ効率的・効果的な取り組みを促進する。

13 (まとめ)

・数量管理等による資源管理の充実や漁業の成長産業化等を強力に進めるために必要な施策について、関係法律の見直しを含め、引き続き検討を行う。

第3 水産物の自給率目標

 

H26

H27概算

H39目標

食用魚介類

60%

59%

70%

魚介類全体

55%

54%

64%

海藻類

67%

70%

74%

(自給率目標の考え方)

近年のすう勢を踏まえて、漁業者、消費者その他の関係者の努力によって課題を解決することにより実現可能と見込まれる生産量と消費量の目標を設定し、それらの目標を達成した場合に得られる数値を自給率の目標に設定。