このページの本文へ移動

水産庁

メニュー

(6)野生生物による漁業被害と対策

(海洋における野生生物による漁業被害)

海洋の生態系を構成する生物の中には、漁業・養殖業に損害を与える野生生物(有害生物)も存在し、漁具の破損、漁獲物の食害などをもたらします。各地域で被害をもたらす野生生物に対しては、都道府県等が被害防止のための対策を実施していますが、漁業被害が顕在化しているものもあります。

特に、北海道周辺では、トド等の海獣類による漁具の破損等の被害が多く発生しています。また、北海道の噴火湾ふんかわんから三陸沿岸にかけては、ヨーロッパ原産のヨーロッパザラボヤが養殖ホタテガイに大量に付着し、ホタテガイの成長が阻害されたり、ヨーロッパザラボヤの重さでホタテガイが養殖施設から脱落したりする被害が生じています。

国では、このような都道府県の区域を越えて広く分布・回遊する野生生物で、広域的な対策により漁業被害の防止・軽減に効果が見通せるなど一定の要件を満たすものについては、出現状況に関する調査と漁業関係者への情報提供、被害を効果的・効率的に軽減するための技術の開発・実証、駆除・処理活動への支援等に取り組んでいます(図2-1-10)。

図2-1-10 国が行う野生生物による漁業被害対策の例

国が行う野生生物による漁業被害対策の例を示した図。<1>大型クラゲ国際共同調査,<2>有害生物調査及び情報提供,<3>有害生物による被害軽減技術の開発,<4>有害生物による被害軽減対策,<5>利活用促進を挙げている。

(内水面における生態系や漁業への被害)

内水面においては、オオクチバス等の外来魚やカワウによる水産資源の食害が問題となっています(図2-1-10)。このため、国では、「内水面漁業の振興に関する法律」に基づく国の基本方針に基づき、カワウについては、被害を与える個体数を2023年度までに半減させる目標の早期達成を目指し、カワウの追い払いや捕獲等の防除対策を推進しています。また、外来魚については、その効果的な防除手法の技術開発のほか、電気ショッカーボートや偽の産卵床の設置等による防除の取組を進めています。

コラム外来魚もリバウンドするの? ~外来魚対策~

外来魚を駆除しているのに、なかなか減らないといった声が聞かれます。この度、滋賀県水産試験場を中心とした研究機関により、この原因メカニズムが解明されました。滋賀県彦根ひこね市にある曽根沼そねぬまでは、平成20(2008)年から電気ショッカーボートを導入し、大規模に外来魚駆除を実施してきた結果、オオクチバス等の生息数が大幅に少なくなってきました。ところが、平成25(2013)年に、オオクチバスの幼魚が突如として増加する「リバウンド現象」が発生しました。

この原因について追跡調査したところ、オオクチバスの成魚は、通常、ホンモロコやニゴロブナといった在来魚を主に好んで食べますが、これら在来魚が少なくなると、オオクチバスの幼魚を食べること(いわゆる「共食い」)が判明しました。皮肉なことに、外来魚の成魚を中心に駆除を進めることによって、その幼魚の「天敵」である成魚が減少し、結果的に幼魚の増加を引き起こすことになったわけです。

リバウンド現象を防ぐためには、駆除による効果を確認しながら実施することと、成魚だけでなく、遊泳力が増す前の幼魚の効率的な捕獲や、偽の産卵床の設置による繁殖抑制といった手法と組み合わせて計画的に実施することが重要であることが分かってきています。

図:曽根沼の6~9月の定置網調査で捕獲されたオオクチバス幼魚の尾数

オオクチバスの幼魚の尾数の年次推移を示した図。平成24年まで減少(832尾→13尾)していたが、平成25年にリバウンド現象(443尾)が発生している。