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水産庁

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(2)世界の水産物消費

我が国では「魚離れ」が長らく水産業にとっての課題となっていますが、世界では魚の消費量が増加し続けています。世界の1人当たりの食用水産物の消費量は過去半世紀で2倍以上に増加し、そのペースは衰えをみせていません(図2-3-6)。

図2-3-6 地域別の世界の1人1年当たり食用魚介類消費量の推移(粗食料ベース)

地域別(世界,オセアニア,ヨーロッパ,アジア,北米,アフリカ,南米)の1人1年当たり食用魚介類消費量の年次推移を示した図。世界で消費量が増加しているが、ヨーロッパ,北米地域では伸びは鈍化している。

FAOは、水産物の消費量の増加の要因として、輸送技術等の発達により食品流通の国際化が進展し、また、都市人口の増加を背景に国際的なフードシステムとつながったスーパーマーケット等での食品購入が増えていること、また、この結果として経済発展の進む新興国や途上国では芋類等の伝統的主食からたんぱく質を多く含む肉、魚等へと食生活の移行が進んでいることなどを挙げています。さらに、健康志向の高まりも水産物の消費を後押ししているものと考えられます。魚介類は、世界の動物性たんぱく質供給量の16%を担う重要な食料資源となっています。

1人当たりの水産物消費量の増加は世界的な傾向ですが、とりわけ、元来より魚食習慣の強いアジアやオセアニア地域では、生活水準の向上に伴って顕著な増加を示しています。特に、中国では過去半世紀に約8倍、インドネシアでは約3倍となるなど、新興国を中心とした伸びが目立ちます(図2-3-7)。

図2-3-7 主要国・地域の1人1年当たり食用魚介類消費量の推移(粗食料ベース)

主要国・地域(韓国,ノルウェー,日本,中国,インドネシア,EU(28か国)米国,ブラジル,インド)の1人1年当たり食用魚介類消費量の年次推移を示した図。中国,インドネシアの増加が顕著である。

一方、動物性たんぱく質の摂取が既に十分な水準にあるヨーロッパ及び北米地域では、その伸びは鈍化傾向にあります。我が国の1人当たりの水産物消費量は、高水準ではあるものの50年前と同水準まで減少してきており、世界の中では例外的な動きをみせています。