平成12年度 漁業の動向に関する年次報告
第1部 漁業の動向に関する報告書 概要
 
 
目  次
 
 
はじめに
 
T 沿岸漁業等振興法の成果と課題
 
1 沿岸漁業等振興法の制定
 (1)沿岸漁業等振興法制定の背景
 (2)沿岸漁業等振興法の政策目的
2 沿岸漁業等振興法の下での施策の展開と成果等
 (1)水産資源の維持増大
 (2)漁業の生産性の向上
 (3)漁業経営の近代化と経営安定対策
 (4)水産物の流通の合理化等
 (5)水産物の輸出振興、輸入の調整等
 (6)漁業従事者の養成確保等
 (7)漁業従事者の福祉の増進
3 沿岸漁業等振興法の成果の総括と課題
 (1)沿岸漁業等振興法の成果の総括
 (2)沿岸漁業等振興法制定後の諸情勢の変化と課題
 
U 平成11年度以降の我が国水産業の動向
 
1 水産物需給
 (1)国内漁業生産
 (2)水産物貿易
 (3)水産加工
 (4)水産物流通
 (5)水産物消費
 (6)水産物価格
 (7)水産物の自給率
2 水産資源の持続的利用
 (1)我が国周辺水域の水産資源の動向
 (2)水産資源の持続的利用に向けた取組
3 我が国漁業をめぐる国際的な動き
 (1)世界の漁業生産と水産物貿易の動向
 (2)我が国漁業をめぐる国際動向
4 漁業生産構造と漁業経営
 (1)漁業生産構造
 (2)漁業経営
 (3)漁船労働
 (4)漁業協同組合
 (5)漁業金融
5 海洋環境の保全
 (1)漁業と環境とのかかわり
 (2)漁場環境の現状
 (3)海洋環境の保全に向けた取組
6 漁村の現状と活性化への取組
 (1)国民生活と漁村
 (2)漁村の生活環境の改善と活性化への取組
7 試験研究と技術開発の推進
 (1)近年の試験研究と技術開発
 (2)21世紀における試験研究と技術開発の推進
 
むすび
 
はじめに
 
 我が国水産業をめぐっては、国連海洋法条約や日韓・日中の漁業協定の発効による本格的な200海里体制への移行、周辺水域の資源悪化等による漁業生産の減少、担い手の減少・高齢化の進展等内外の諸情勢が大きく変化している。
 水産業は、国民への水産物の安定供給をはじめ豊かな国民生活の基盤を支える産業であり、こうした諸情勢の変化に的確に即応し、今後ともその健全な発展を確保していくためには、これまでの政策を見直し、新たな政策を構築していく必要がある。こうした認識に立ち、平成11年12月、今後の水産政策の指針となる水産基本政策大綱が策定され、今後、これに沿って施策の具体化が進められることになっている。
 我が国の水産行政は、これまで、昭和38年に制定された沿岸漁業等振興法に示された方向に沿って展開されてきたが、今後、新たな理念を明確にし、これに基づき政策展開を行うに当たっては、これまで講じてきた施策の成果や評価を踏まえることが重要である。こうした政策評価を踏まえた新たな政策構築の姿勢は、国民からの理解や支持が得られる政策推進につながるものと考えられる。
 12年度の漁業の動向に関する年次報告は、このような観点に立ち、沿岸漁業等振興法の下での諸施策の成果と今日的評価について検討を行うことに重点を置いた。
 
 
T 沿岸漁業等振興法の成果と課題
 
1 沿岸漁業等振興法の制定 [報告 P4〜5]
 
(1)沿岸漁業等振興法制定の背景
 
 昭和30年代に入り高度経済成長期を迎える中、漁家所得は他産業従事者の所得と比較してかなり低い水準。
 このような状況の中、35年に農林漁業基本問題調査会は、「漁業の基本問題は、漁業部門内部の格差が甚だしく、所得と生活水準の低い多数の沿岸漁業の漁民層や経営の不安定・不振な中小漁業を抱えていることにある。」と答申。
 
(2)沿岸漁業等振興法の政策目的
 
 この答申を踏まえ、38年に、沿岸漁業及び中小漁業についての政策の基本方向を示す法律として、「沿岸漁業等振興法」を制定。
 沿岸漁業等振興法では、
 
 @ 沿岸漁業及び中小漁業の発展を促進すること
 A 沿岸漁業等の従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むことができるようにすること
 
を政策目標に位置付け、その実現のため、水産資源の維持増大、生産性の向上と経営の近代化、水産物の流通の合理化、従事者の福祉の増進等を施策の基本方向として明示。
 
 
 
 
 
2 沿岸漁業等振興法の下での施策の展開と成果等 [報告 P5〜32]
 
 沿振法で方向付けが行われた基本的な施策ごとに、具体的な施策の展開状況とその成果等を概観すると以下のとおり。
 
(1)水産資源の維持増大
 
(ア)水産資源の適正な利用
 漁業法等による漁獲についての調整・管理等の規制措置を実施。しかしながら、漁獲努力量の管理よりも漁業調整に重点が置かれ、資源特性に見合った適正な利用という点では不十分。
 国連海洋法条約に基づく新たな海洋法秩序の下で、我が国においても漁獲可能量(TAC)制度を導入。今後、水産資源の適切な保存管理と持続的利用の確保が重要な課題であり、我が国周辺水域の多くの魚種が低い資源状態にある実態を踏まえれば、漁獲努力量の削減等による資源の回復が急務。
 
(イ)水産動植物の増殖
 さけ・ます類のふ化放流事業の推進、栽培漁業センターの整備による種苗の生産・放流等により資源の増大に寄与。
 今後、放流規模の拡大や定着を図ると同時に、コスト低減等を進めることが必要。
 
(ウ)漁場の効用の低下及び喪失の防止
 高度経済成長を背景に、海面の埋立や水質汚濁等による漁場環境の悪化が進行。これに対し水質汚濁防止法等による規制のほか、沿岸漁場整備開発事業による漁場の環境回復や保全対策を実施。
 今後、水産生物の生育環境の保全及び改善に強力に取り組んでいくことが必要。
 
(2)漁業の生産性の向上
 
(ア)漁港の整備並びに漁場の整備及び開発
 漁港については、漁港整備計画に従って計画的に整備。また、漁場の整備及び開発については、魚礁設置、増養殖場の造成等を、沿岸漁場整備開発事業として総合的・計画的に実施。これらの積極的な取組により、漁業の生産性の向上に貢献。
 今後、水産資源の持続的利用や安全で効率的な水産物の供給体制の整備といった新たな政策課題に対応した効果的、効率的な事業実施が必要。
 
(イ)漁業技術の向上
 漁業技術については、その時々に漁業が直面している課題に対応して開発が進展。さらに、補助、融資等の制度を活用して生産現場等への導入が積極的に進められ、生産量の増大や生産の効率化等に貢献。
 今後、技術開発においては、適切に管理しないと枯渇するおそれのある有限天然資源を利用するという漁業の特質を踏まえ、水産資源の持続的利用体制の構築への貢献が必要。
 
(3)漁業経営の近代化と経営安定対策
 
(ア)漁業経営の近代化
 沿岸漁業構造改善事業等の補助事業や農林漁業金融公庫資金等の各種融資措置を活用した漁船の建造・改造、新技術の導入等により、漁船の動力化・大型化、漁業の効率化・省力化等が進展。
 今後とも、経営内容の充実を図るため、最新の技術の導入等が必要。また、持続的・安定的な経営展開促進の条件整備も重要な課題。
 
(イ)災害補償等による経営の安定
 不漁や不慮の事故等による損害を補償する漁業災害補償制度及び漁船損害等補償制度を実施。
 今後とも、漁業経営の実態等の変化も踏まえながら制度の充実に向けた見直しを行い、その適切な運用を確保していくことが必要。
 
(4)水産物の流通の合理化等
 
(ア)水産物の流通の合理化
 水産物の保蔵、輸送施設、産地市場等の流通施設等を総合的に整備。これにより、コールドチェーンが確立し、水産物の安定供給とこれを通じた需要拡大に大きな役割を果たし、漁家の所得向上にも貢献。
 今後、消費者ニーズに的確に対応し、安全性の向上のための施設整備に加え、的確な表示等の体制の整備が必要。
 
(イ)加工及び需要の増進
 水産加工施設は、流通関係施設と一体となって整備され、水産加工場の団地化も進展。これにより、加工業は漁獲物の最大の販路となるとともに、水産物の需要の開拓にも貢献。需要の増進については、料理講習会等のさまざまな普及活動を実施。
 今後、水産加工業については、体質強化が必要。需要の増進については、食生活に関する幅広い情報提供等による魚食普及が必要。
 
(ウ)価格の安定
 水産物調整保管事業等により、多獲性魚等の調整保管を実施。
 今後とも、水産物調整保管事業等の対策を適切に行うことにより、漁業経営に及ぼす影響を緩和するとともに水産物の安定供給を図ることが必要。
 
(5)水産物の輸出振興、輸入の調整等
 
 我が国の水産物の輸出については、輸出水産業組合による調整行為を行い輸出取引の秩序を確立。また、「輸出検査法」等により、主要輸出品目の品質の維持向上に貢献。これらにより、水産物の輸出は増加したものの、円高の影響等により近年は総じて低調。
 一方、我が国の沿岸・沖合漁業の主要対象漁獲物については、その無秩序な輸入が我が国漁業及び国内需給に悪影響を与えないよう、輸入割当制度(IQ制度)を実施。 IQ制度は、水産資源の保存・管理を補完する役割も有しており、今後とも、IQ制度のこのような役割・機能は適正に評価していくことが必要。
 
(6)漁業従事者の養成確保等
 
(ア)漁業従事者の養成確保
 試験研究の成果を、水産業改良普及事業等により現場へ導入。また、漁業関係研修所や水産大学校等における水産教育を充実。これらにより漁業従事者の資質向上に貢献。
 今後、漁業就業者の減少・高齢化が進む中、生産技術だけでなく加工・流通や経営ノウハウも含め、水産物の供給を担う経営者として養成していくことが必要。
 
(イ)職業訓練及び職業紹介の事業の充実等
 沿岸漁業等就業構造改善対策による他産業への転職の斡旋、公共職業安定機関による職業紹介等のほか、漁村周辺地域への工業立地の誘導等を実施。
 今後、漁村における定住の確保のため、工業等の部門における就業機会の確保が重要。また、遊漁等海洋レクリエーション等漁業に関連した就労機会を増大させる取組が必要。
 
(7)漁業従事者の福祉の増進
 
(ア)漁村における生活環境の整備
 関係省庁の各種事業の下で、道路、上下水道施設等の整備が進められてきているほか、漁港機能の増進と生活環境の改善を一体的に図るため、漁業集落環境整備事業を創設。
 今日においても、都市部や農村部と比べ生活環境の整備が大きく立ち後れており、今後、生活環境の整備を加速化させていくことが必要。
 
(イ)漁村における生活改善
 協同農業普及事業の下で、食生活の改善等の普及活動を実施。
 今後とも、生活改善に加え、漁業就業者の減少等漁村をめぐる状況の変化の中で、漁村における高齢者や婦人の役割の明確化や組織活動の強化等の活動の推進が必要。
 
(ウ)労働関係の近代化
 漁船船員について、賃金の固定給化への転換や雇用期間の延長等の雇用条件の改善のほか、船員の安全・衛生の確保等の労働環境の改善を推進。
 漁船船員の不足が懸念される中、今後、船員確保のため、労働時間の短縮、船内居住環境の改善等の労働条件や労働環境の改善等に努めることが必要。
 
3 沿岸漁業等振興法の成果の総括と課題 [報告 P33〜37]
 
(1)沿岸漁業等振興法の成果の総括
 沿振法制定後、法律に示された方向に沿った施策展開が行われたこと等により、漁業生産量は増大し、また、生産の効率化等が推進され、結果として、漁業者の所得も向上し、沿振法は、所期の目的の実現に一定の成果。
 
(2)沿岸漁業等振興法制定後の諸情勢の変化と課題
 一方で、沿振法制定後40年近く経過する中で、沿振法制定時には予期し得なかったような諸情勢の変化等が生じたことにより、沿振法の示す政策方向と現実との間にかい離。
 
 @ 経済情勢の変化
 国内生産の減少と所得水準の向上による水産物需要の変化等から水産物輸入が急増。現在、食用魚介類の4割以上が輸入水産物によって賄われている状況。こうした中、可能な限り国内生産を基本とし、将来にわたり水産食料を国民に対し安定的に供給していく体制の構築が必要。
 
 A 国際海洋法秩序の変化
 諸外国の200海里水域の設定により我が国漁業には漁場の喪失等大きな制約。さらに、国連海洋法条約の発効等に伴い水産資源の適切な保存・管理措置が義務付け。我が国水産業は、資源の持続的利用に向けた枠組みを構築しながら発展を図っていくことが必要。
 
 B 経営条件の変化
 担い手については、今日では若い漁業者の減少が進み、将来の漁業の担い手の確保さえ憂慮される状況に。漁業経営については、漁場や資源面でのさまざまな制約が発生。こうした中で、意欲ある担い手の確保・育成と、その経営の安定と発展のための条件整備が必要。
 
 C 水産物需要の変化
 食料消費水準の飽和化、経済成長の低下等の中で、水産物需要は横ばい傾向へ。消費者の関心は、食料供給の安定性や食品の品質・安全性等に移行。こうした消費者ニーズへの的確な対応が必要。
 
 D 水産資源の変化
 近年、我が国周辺水域では、過剰漁獲や漁場環境の悪化等から資源状態が悪化し、漁獲量も減少傾向。水産資源は国民への水産物供給や水産業発展の基礎であり、資源の増大やその持続的利用の体制を早急に構築するための的確な対応が必要。
 
 
 
 
 
U 平成11年度以降の我が国水産業の動向
 
1 水産物需給 [報告 P40〜56]
 
(1)国内漁業生産
 
 平成11年の漁業生産量は、前年に比べ1%減少し662万6千トン。魚種別にみると、まいわし、すけとうだら、するめいか等が増加したものの、さば類、まあじ、かつお等が減少。
 漁業生産額は、前年に比べ2%減少し1兆9,868億円。
 
(2)水産物貿易
 
ア 水産物輸入
 数量ベースでは7年まで、金額ベースでは9年まで増加傾向で推移してきたものの、以降は景気低迷に伴って国内需要が停滞していること等から、数量・金額とも高水準で横ばい傾向で推移。
 11年は数量ベースで341万6千トン、金額ベースで1兆7,395億円。
 また、近年の国内漁業の状況や水産物輸入の動向にかんがみ、WTO(世界貿易機関)協定で認められている一般セーフガードの迅速な発動に資するため、輸入水産物が国内漁業に及ぼす影響等に関する情報を早期に把握できる体制を整備。
 
イ 水産物輸出
 近年、真珠のほか、開発途上国の缶詰原料向けの冷凍魚類等が輸出の主体となっているが、総じて低調に推移。
 11年は数量ベースで20万4千トン、金額ベースで1,414億円。
 
ウ 水産物貿易に関する新たな動き
 WTO等において、米国、オーストラリア、ニュー・ジーランド等の水産物貿易の一層の自由化を求める主張が活発。WTOにおける新ラウンド交渉が立ち上がり、水産物が交渉対象となる場合、我が国は、国際的な資源保存管理措置並びに漁業・漁村の重要性を訴えていく姿勢。
 また、近年、便宜置籍漁船等IUU漁船により、資源に対して無秩序で過剰な漁獲が行われているという問題が発生。一部の地域漁業管理機関では、輸入禁止等の貿易措置等をとることが決定されており、我が国においても、これに基づき輸入禁止等の措置を実施。
 
(3)水産加工
 
(水産加工品生産の動向)
 水産加工品の生産は、近年、総じて横ばい又は減少傾向で推移。
 
(加工段階における品質、安全性の確保に向けた取組)
 品質・衛生管理については、大手水産加工業者を中心に、HACCP方式を採用する企業が増加。HACCP方式に基づく製造工程管理は、消費者に対する高品質安全な水産物供給への対応のみならず、国際的な市場競争力の確保等の観点からも重要。
 このような中、HACCP方式導入のための人材育成のための講習会の開催等を実施。また、品質管理技術についてのマニュアルを品目ごとに作成
 
(廃棄物の有効利用の状況)
 水産加工業では、製造過程で、魚介類の頭や内臓、骨等の残滓が大量に発生。また、小売り段階において、フィレーや切り身等での供給割合が高まっていること等から、残滓がまとまって発生。
 「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(12年6月公布)により、食品関連事業者は、水産物を含む食品廃棄物について、発生抑制と減量化により、最終的に処分される量を減少させるとともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用を促進することに。
 
(4)水産物流通
 
(産地市場及び消費地市場の動向)
 産地市場の水揚量は、国内漁業生産量の減少に伴い、近年減少傾向。消費地市場の卸売数量も、近年、減少傾向。
 産地市場の多くは10億円未満の規模の小さいものとなっており、十分に市場機能を発揮してない状況。こうした状況も踏まえ、12年5月に「産地市場機能強化対策検討会」を設置し、統合再編等産地市場機能の強化を検討。
 
(新たな水産物流通の動き)
 水産物を含む生鮮食品の流通業界においては、生鮮性、規格の不統一等の商品特性等から、他の流通業界に比べ取引の電子化は遅れている状況。
 このような中、物流として1か所に水産物を集めずに電子情報ネットワーク上で取引や集配送を手配し、当該産地で取り扱われる水産物の質的・量的な安定化を図ることにより、水産物流通の迅速化、効率化のためのシステムを開発するための事業を開始
 
(5)水産物消費
 
(水産物の消費動向)
 食料全体の消費額が減少する中、家計における魚介類購入への支出額は、減少。特に加工品において大きく減少。
 
(水産物の表示等への対応)
 11年7月の「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)改正により、すべての飲食料品について、品質に関する表示が義務化。水産物については、生鮮品は名称、原産地、解凍、養殖についての表示を12年7月から適用。加工食品は13年4月から適用。生鮮品の品質表示の実施状況について調査(12年11月)を行った結果、水産物の原産地表示については、他の食品に比べ低い状況。
 今後、表示状況の改善のため、引き続きパンフレット等による啓発普及活動や業界の指導等を行うとともに、表示が不十分な店舗については、JAS法に基づく指示を行うなど厳正に対処することを検討。
 
(6)水産物価格
 
 消費者物価指数により、近年の価格の推移をみると、水産物の価格は、食料品全体や肉類の価格の上昇を下回って推移。
 
(7)水産物の自給率
 
ア 食料・農業・農村基本法に基づく食料自給率目標の設定
 政府は、「食料・農業・農村基本計画」の中で、22年度を目標年次とした食料自給率の目標を明示。魚介類の食用自給率の目標は66%。
 
イ 11年の食用水産物の自給率
 我が国の食用魚介類の需要量は、おおむね横ばい傾向で推移。供給面では、国内生産量が減少する一方で水産物輸入が増加傾向で推移。このため、我が国の食用魚介類の自給率は低下傾向で推移し、11年においては55%。海藻類の自給率も低下し、61%。
 
 
2 水産資源の持続的利用 [報告 P57〜68]
 
(1)我が国周辺水域の水産資源の動向
 
 主要魚種の資源状態は、まいわし、まさば、さんま、多くの底魚類等多数の魚種で低い水準。さらに、それら資源の動向は、多くの魚種、系群で横ばい又は減少の傾向。
 
(2)水産資源の持続的利用に向けた取組
 
ア TAC制度の運用状況
 我が国においては、国連海洋法条約に従って、平成9年からTAC制度を導入し、現在、7魚種を対象にして運用。
 TACの消化状況は、さんま、まあじ、さば類においては低い水準。これは、海況等の要因により漁場形成が悪かったことや、TAC設定時点に比べ、漁獲の対象となった資源量が少なかったこと等が原因。
 
イ 資源管理の取組
 
(資源管理型漁業の現状)
 資源管理型漁業に取り組む組織数は増加するとともに、その取組は、広域化、複合化する傾向。
 これらの取組を一層促進するため、新たに複数の漁業種類又は魚種を対象とした科学的データ収集のための試験調査、漁具・漁法の改良等先進的な情報提供等についての取組を地域の漁業実態に即して計画的かつ効率的に展開。
 
(広域的な資源管理体制と資源回復のための取組)
 水産資源の持続的利用を図っていくためには、広域を回遊する魚種に対する協調的な取組を推進することが必要。
 このため、関係する漁業関係者等により広域的な海域における資源の管理方法を協議する新たな組織の設置と、緊急に資源の回復を図ることが必要な資源について、漁獲努力量の削減等による計画的な回復措置を講じる制度の創設を検討。
 
ウ つくり育てる漁業
 
(栽培漁業の現状)
 有用水産資源の維持・増大と漁業生産の向上を図るため、現在、我が国においては約80種の種苗が放流されており、そのうち、しろざけ、まだい、ひらめ、くるまえび等9種については、年間1,000万尾を超える種苗が放流されている状況。
 
(海面養殖業の現状)
 11年5月、持続的養殖生産確保法」が制定され、漁場改善計画制度や、特定疾病のまん延防止措置等を導入。12年11月までに、6県、83の漁業協同組合で漁場改善計画を作成。
 
(内水面漁業・養殖業の現状)
 あゆの冷水病は、近年、全国的に拡大しており、養殖業や河川漁業において大きな問題12年に行った都道府県に対するアンケート調査では、25都道府県であゆの冷水病の発生を確認。現在のところ未解明な部分も残してはいるが、水産用医薬品のほか、「あゆ冷水病防疫に関する申し合わせ事項」等が作成され、養殖業者等への指導を行っている状況。
 
(漁場の整備及び開発)
 近年、藻場・干潟の造成や増養殖場の整備を、海岸保全などの他事業と連携して行うことにより、事業をより効果的、効率的に実施。
 
エ 遊漁と資源管理
 
(海面遊漁)
 海面遊漁者数は、年々増加傾向。
 近年、魚種によっては、一定の海域における遊漁者の採捕量が漁業者の漁獲量を超えるものも出てきており、遊漁者も参加した水産資源の保存・管理措置が必要。
 沿岸域の地先における遊漁による採捕量等の実態を把握するため、11年度から、岸壁、磯場における遊漁の魚種別採捕量等の実態調査を実施。
 
(内水面遊漁)
 湖沼における遊漁者数が、ルアーフィッシングの普及により大幅に増加。
 近年、ブラックバス等の外来魚が多くの地域で漁業被害を発生。さらに、冷水性のこくちばすが生息域を拡大。我が国固有の希少な水生生物への影響も懸念。
 
3 我が国漁業をめぐる国際的な動き [報告 P69〜83]
 
(1)世界の漁業生産と水産物貿易の動向
 
ア 世界の漁業生産の動向
 世界の漁業生産量は、1998年(平成10年)は前年比3%減の1億2,681万トン。うち、中国の漁業生産量は4,447万トンで世界の漁業生産量の35%を占め、1988年以降世界第1位の生産国。
 養殖の生産量(3,943万トン)が増加する一方、養殖を除いた漁業生産量(8,738万トン)は減少。
 
イ 世界の水産物貿易の動向
 世界の水産物貿易の規模は、1998年は前年に比べ縮小。
 我が国は、世界の輸入量の15%、輸入額の23%を占め、いずれも世界第1位。
 
ウ 世界の水産物需給
 世界の水産物需給の動向は、開発途上国における人口増加や経済成長に伴う生活水準の向上等を背景に拡大傾向で推移。
 
(2)我が国漁業をめぐる国際動向
 
ア 韓国、中国との漁業関係
(日韓間の状況)
 平成11年1月、我が国と韓国との間で、新たな漁業協定が発効し、両国漁船はともに相手国から受けた許可及び漁獲割当ての範囲で、相手国水域における操業を実施。
 
(日中間の状況)
 9年11月に新たな漁業協定が署名されたが、操業条件等の協議が難航。その後、協議が進められた結果、中間水域の設定、中間水域の外側水域における操業条件等について意見が一致し、12年6月、我が国と中国との間で、新たな漁業協定が発効。両国漁船はともに相手国の決定した条件の下、相手国水域における操業を実施。
 
イ 国際連合食糧農業機関(FAO)
 我が国は、12年6月、公海において操業する漁船に関する旗国の責任を明確化し、保存及び管理のための国際的な措置の実効性を確保することを目的とした「保存及び管理のための国際的な措置の公海上の漁船による遵守を促進するための協定(FAOフラッギング協定)」を受諾。
 
ウ 地域漁業管理機関をめぐる動き
 
(便宜置籍漁船等IUU漁船による操業の廃絶に向けた取組)
 近年、地域漁業管理機関では、便宜置籍漁船等IUU漁船による無秩序な操業の廃絶に向けた動きが活発化。
 我が国は、国際的な資源管理を推進する観点から、ICCATの勧告等に沿い、便宜置籍漁船対策を強化。12年12月には、まぐろ資源の保存及び管理の強化を目的とした「社団法人責任あるまぐろ漁業推進機構」を設立。
 
(みなみまぐろの保存・管理をめぐる動き)
 みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)では、1998年以降、総漁獲可能量を設定できない状況にあったことから、我が国は、1998年及び1999年に自主的な調査漁獲を実施。1999年7月、オーストラリア及びニュー・ジーランドは、これを国連海洋法条約上の協力義務違反であるとし、我が国を相手取り仲裁裁判の手続きを開始。2000年8月、仲裁裁判所は、本案を審理する管轄権を有さないとする我が国の主張を受け入れた判決。11月には、CCSBTの特別会合において、毎年1,500トンを上限とする今後2年間の科学調査計画の策定が合意。また、韓国が正式に加盟の意思を表明。
 
エ 国際捕鯨委員会
 国際捕鯨委員会(IWC)では、我が国は、科学的根拠に基づいた鯨資源の保存と持続的利用の必要性を一貫して主張。このような中、12年の北西太平洋鯨類捕獲調査は、資源の極めて豊富なみんくくじらのほか、にたりくじら及びまっこうくじらによるさんま、すけとうだら、するめいかなどの海洋生物資源の捕食量を把握し、増加しつつある鯨類資源の漁業資源への影響を研究することを主目的とし、我が国周辺水域の漁業管理に貢献するもの。
 
オ ワシントン条約(CITES)
 我が国等は、資源の豊富な一部鯨類資源のダウンリスティング提案を行ったが否決。
 
カ 我が国漁船の外国200海里水域内等での操業
 外国200海里水域内における操業については、漁獲割当量の削減等により漁獲量は減少。
 公海においては、地域漁業管理機関の定める資源管理措置等の下で、まぐろはえ縄漁船等が操業。
 
キ 国際漁業協力の現状
 我が国は、漁業に関する多くの優れた技術や知見を有しており、これらを基に開発途上国に対して、水産無償資金協力や各種の技術協力等を実施。こうした漁業協力は我が国の水産物安定供給の確保にも寄与。
 
 
4 漁業生産構造と漁業経営 [報告 P83〜110]
 
(1)漁業生産構造
 
ア 漁業経営体の動向
 海面における漁業経営体数は、経営主の高齢化、後継者不足等により減少を続けており、成11年の漁業経営体数は、15万228。
 
イ 漁業就業者の動向
(漁業就業者の現状)
 漁業就業者は減少傾向が続いており、11年には27万人に。
 男子漁業就業者に占める60歳以上の割合は44%で、高齢就業者の割合は年々上昇。
 女性の漁業就業者数は4万6千人で、全漁業就業者の17%。
 
(新規漁業就業者の動向)
 12年の新規漁業就業者数は、前年に比べ7%増加し1,370人。うち、約8割が海面漁業に就業。
 近年、新規漁業就業者は、若干の増加傾向とはなっているものの、漁業就業者の減少に比べ低水準にとどまっており、就業者の減少傾向に歯止めをかけるまでには至っていない状況。
 
(漁業就業者の確保・育成対策)
 海面漁業の個人経営体において漁業後継者のいる割合は低水準。今後、漁家出身者はもちろん、他産業からの参入者も含め、漁業に取り組もうとする意欲ある担い手を積極的に確保・育成していくことが必要。
 新規参入者の拡大及び定着を図るため、情報提供や漁業技術、経営技術の習得等のための研修を実施。
 
ウ 高齢漁業就業者の役割
 高齢就業者は、豊富な知識、経験や熟達した技術を持っていることから、生涯現役として生きがいを持って漁業に従事できるよう、地域の漁業における技術指導をする等の役割の明確化を図ることが必要。
 
エ 女性漁業就業者の役割
 漁業就業者の高齢化の進行や後継者不足が深刻化する中で、女性の役割は従来にも増して重要。今後とも、女性が安定的に漁業に就業できるように労働環境の整備を図るとともに、地域社会におけるさまざまな方針決定の場への参加を促進するための具体的な取組を進めることが重要。
 
(2)漁業経営
 
ア 沿岸漁船漁業の経営
 11年の沿岸漁船漁業の漁業所得は、漁業収入が前年に比べ2%増加したものの、雇用労賃等の漁業支出が増加したことから前年並みの217万円。
 
イ 海面養殖業漁家の経営
 11年度の海面養殖業漁家の漁業所得は、のり養殖業漁家及びたい類養殖業漁家では前年度を下回ったものの、その他の養殖業部門では前年度を上回ったため、前年比6%増の638万円。
 
ウ 漁家の所得
 11年の漁家(10トン未満の漁船漁家、小型定置網漁家及び海面養殖業漁家)所得は、沿岸漁船漁業の漁家所得、海面養殖業の漁家所得がともに増加したことにより、前年比1%増の656万円。
 
エ 中小・大規模漁業の経営
 
(ア)中小漁業の経営
 11年度の中小漁業の漁業利益は、漁業収入の減少等により前年度に引き続き赤字に。
 漁業種類別の売上利益率は、沖合底びき網漁業、遠洋まぐろはえ縄漁業等で上昇、いか釣漁業で低下。 
 
(イ)大規模漁業の経営
 11年度の1社当たりの売上高は、加工部門で減少したものの商事部門で増加したため前年比6%増の1,018億円。
 売上高に占める漁労部門の割合は前年度と同水準の3%。
 
(3)漁船労働
 長期にわたる航海や洋上作業等の漁船労働の特殊性、雇用労賃の他産業に対する相対的な低下等から漁船船員の減少・高齢化が進行しており、漁船船員の不足が懸念。日本人の漁船部員不足に対応するため、「マルシップ方式」の導入等により、一定の条件の下での外国人漁船部員の乗船が行われているところ。
 漁船海難隻数、死亡・行方不明者数はともに増加。海難防止のため、事故防止安全マニュアル等の作成・配布、救命衣の常時着用指導、衝突予防装置の技術開発等の取組を実施。
 
(4)漁業協同組合
 
ア 漁業協同組合の現状
 漁協は水産業の振興、資源や漁場の管理、漁業地域の活性化等に広範な役割。
 漁協の実施する事業は、50年代後半以降、おおむね各事業とも横ばい又は縮小傾向で推移。
 
イ 漁協合併を中心とした漁協の組織体制の整備と強化
 漁協の規模は依然として零細であり、合併等による組織体制の整備と強化が必要。合併等の推進に当たっては、漁協自らの主体的な努力が求められ、漁協役職員等の関係者が指導的役割を果たしながら、地域の実態に応じた形で積極的に推進していくことが重要。
 
(5)漁業金融
 漁業関係融資残高は、経営の悪化に伴う漁業経営体の信用力の低下を背景として減少。また、主要制度資金の融資残高も、厳しい漁業経営環境の影響を受け、新規借入れが進まず減少傾向。
 
 
5 海洋環境の保全 [報告 P110〜118]
 
(1)漁業と環境とのかかわり
 漁業は、海洋及び内水面の生態系を構成する生物の一部を利用する産業であり、環境及び生態系を良好な状態に保全していくことは、漁業の健全かつ持続的な発展を図り、安全な水産物の生産と供給を行っていく上で極めて重要な課題。
 
(2)漁場環境の現状
 藻場・干潟、砂浜等は、依然として減少傾向。
 ダイオキシン類、内分泌かく乱物質等については、発生源対策や魚介類に蓄積されるメカニズム等に関する調査・研究の強化が必要。
 赤潮、油濁等の漁業被害は引き続き発生。12年7月、コックロディニウム赤潮によって八代海でかんぱち養殖等に甚大な被害発生(被害金額約39億8千万円)。
 
(3)海洋環境の保全に向けた取組
 漁協系統団体等による海浜清掃活動や漁業者による植林活動等が活発に展開。
 
 
6 漁村の現状と活性化への取組 [報告 P118〜122]
 
(1)国民生活と漁村
 漁港を中心として形成されている漁村は、国民に対する水産物の供給基地としての役割のほか、国民への健全なレクリエーションの場の提供など多面にわたる役割。
 漁村の活力の低下が懸念される中、これらの役割・機能について調査を進めるとともに、国民的な理解の増進を図るため、情報提供や普及活動等の取組が必要。
 
(2)漁村の生活環境の改善と活性化への取組
 
 ア 漁村の生活環境の改善
 漁村は、都市と比較して道路、下水道、廃棄物処理施設等の生活関連公共施設の整備は低い水準。
 このような中、漁村の生活環境の積極的な改善を図るため、平成12年度から、生活環境の改善の必要性についての啓発活動や、生活環境の改善方向についての合意づくり等を行う漁村生活環境改善推進運動(漁村リフレッシュ運動)を展開。今後、官民一体となった生活環境改善のための施設整備等を推進。
 
 イ 漁村の活性化への取組
 
(地域資源の活用による活性化)
 漁村では、漁業世帯数、世帯員数ともに減少傾向。また、漁業世帯員の3割が60歳以上となるなど高齢化が進行し、漁村の活力の低下が懸念されている状況。
 このような中、漁村の活性化を図るため、新鮮な魚介類、豊かな自然や景観等の地域資源を見直し、これらを活用したさまざまな取組が展開。
 
(交流等による活性化)
 漁村においては、体験学習の場の提供等による都市住民との交流により地域の活性化を図ろうとする取組も。
 地引き網体験、水産加工品の製造等漁業に関する体験ができる民宿のほか、体験学習活動や漁村滞在型余暇活動(ブルー・ツーリズム)への取組も増加。
 
 
 
7 試験研究と技術開発の推進 [報告 P123〜126]
 
(1)近年の試験研究と技術開発
 
 近年、我が国の水産に関する研究開発は、水産資源の持続的な利用に関する研究や技術開発等、重要性が高まっている政策課題に対応した研究開発を重点的に実施。
 また、水産分野の技術にこだわらず幅広く民間企業から技術開発についての提案を公募し、事業化の高い技術開発に対する支援を実施。このことにより、民間企業の技術開発力を活用し、事業化に向けての技術開発が加速されることで水産業全般における産業の活性化のための大きな原動力となることが期待。
 
(2)21世紀における試験研究と技術開発の推進
 
 平成12年6月に、21世紀に向けた今後の我が国の水産分野における技術開発・試験研究の一層の効率的な推進を図るため、「水産研究・技術開発戦略」を策定。
 この戦略は、試験研究・技術開発の一層の効率的推進を図るための方向性を明確にするとともに、今後、重点的に実施すべき課題を提示し、概ね10年を見通した期別目標を設定。
 
 
む す び
 
− 沿岸漁業等振興法の今日的評価 −
 
 将来にわたり国民の期待に応え得る水産業や漁村として、その発展を確保していくためには、これまでの水産政策を抜本的に見直し、新たな政策の枠組みに再構築していくことが必要。その際、特に、以下の視点は、現在の沿振法には欠けている又は十分な位置付けがない点。
 
  @ 200海里体制の下で、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本に、国民に対し水産物を安定的に供給していくこと
  A 水産資源は適切な管理を行わなければ枯渇する有限天然資源であり、持続的利用を図っていくことが重要であること
  C 漁業だけでなく水産加工業、水産流通業も含めた水産業全体を食料供給産業としてとらえ、その健全な発展を図り、消費者ニーズに的確に
   対応していくこと
  C 漁村を水産業発展の基盤ととらえ、その振興を図っていくこと
 
 こうした点も踏まえ、今日及び将来において、水産業及び漁村に関し求められている基本的な政策方向を整理すると、以下のとおり。
 
(水産物の安定供給の確保)
 水産物は、国民に対する良質なたんぱく質の重要な供給源であるとともに、優れた栄養特性を有しており、国民の健全な食生活において重要な地位を有している水産物については、良質なものの安定的な供給が必要。その水産物の安定的な供給については、世界の水産物の需給及び貿易が不安定な要素を有していることから、水産資源の持続的な利用を確保しつつ、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本とし、これに、我が国の水産業による生産では需要を満たすことができないものの輸入を適切に組み合わせていくことが必要。
 
(水産資源の持続的利用)
 水産資源については、生態系を構成する有限天然資源であることから、持続的な利用が確保されることが必要。国連海洋法条約において、沿岸国は、自国の排他的経済水域における水産資源の保存管理が義務付けられたが、我が国は四面を海に囲まれ、広大な排他的経済水域を有しており、これを高度に活用していくことが必要。しかしながら、我が国周辺水域の資源状態は過剰漁獲等により悪化しており、資源水準の回復と持続的利用体制の構築が急務。
 
(水産業の健全な発展)
 水産業は、国民に対する水産物の供給という重要な使命を担っているが、その健全な発展のためには、水産資源を持続的に利用し、かつ、多様化する国民の需要に即した漁業生産並びに加工・流通が行われるようにすることが重要。こうした観点に立ち、効率的・安定的な漁業経営を育成するとともに、漁業、水産加工・流通業の連携の確保や漁港、漁場その他の基盤の整備を進めていくことが重要。
 
(漁村の振興)
 漁村は、漁業者を含めた地域住民の生活の場として水産業の発展の基盤としての役割。またこのことが、水産業や漁村が食料供給以外の多面にわたる機能を発揮する基礎条件に。その漁村については、依然として都市部に比べ生活環境の整備が大きく立ち後れている一方で、遊漁等の海洋性レクリエーションに対する新たな期待も。こうした状況を踏まえ、生活環境の整備を含めた総合的な地域振興対策が必要。
 
 今後、こうした視点を踏まえ、今日及び将来において、水産業が我が国経済社会において果たすべき役割と目指すべき方向を国民合意として明確にすることが必要。このため、沿振法に代わる新たな基本法を急ぎ制定することが必要。
 
 
◎ 本件に関するご質問・お問い合わせは、下記までお願いします。
 
水産庁漁政部企画課動向分析班
電話(直通)03−3502−7889
FAX     03−3501−5097