2 鯨類の持続的な利用に向けて (HP1) (HP2)

(第59回国際捕鯨委員会年次会合)

 19年5月に開催された国際捕鯨委員会(IWC)の年次会合において、我が国は「対立の回避」、「対話の促進」の方針で総会に臨み、「鯨類の適切な保存と捕鯨産業の秩序ある発展」を目的に設立されたIWCの正常化を求めましたが、反捕鯨国は鯨の保護を訴えて譲らず、根本問題の解決は進展がありませんでした。

 我が国の沿岸小型捕鯨について、先住民生存捕鯨と同様の観点から捕獲枠(ミンククジラ)を要求しましたが、合意が得られず投票を取り下げました。また、19年に我が国の鯨類捕獲調査船に対し、反捕鯨団体が船による体当たりなどの危険かつ不当な妨害を行ったことを受け、我が国はニュージーランドとともに、反捕鯨団体による危険な妨害活動に対し加盟国が責任ある対応をとることを促すこと等を盛り込んだ決議(案)を提案し、採択されました。

 今次総会の結果を受けて、我が国としては、これまで商業捕鯨モラトリアム(一時停止)の撤廃を図るため行ってきた(ア)鯨類の資源状況の調査、(イ)持続的利用に対する支持拡大のための関係国に対する我が国の立場の説明、(ウ)IWCの機能回復のための関係国への協力要請に加え、今後、IWCの正常化が見込まれない場合には、IWCへの対応の見直しについても検討することとしています。

(国際捕鯨委員会の将来に関する中間会合)

 20年3月には、次回年次会合で有意義な対話と交渉を行うことを目的として、中間会合が開催されました。まず、IWCにおける意思決定にあたっては合意形成を目指すため、安易に投票に持ち込まず、これまで以上に対話・交渉を行う等の改善策が挙げられました。また、20年1月以降、反捕鯨団体シーシェパードが鯨類捕獲調査に対して行っている妨害行為について、「国際捕鯨委員会とその締約国は、海上での船舶活動に関する人命と財産に危険を及ぼす活動は受け入れられない」と厳しく非難した声明を出すことが採択されました。各国はこのような危険な活動に対し、国際法及び国内法に基づき協力して対処することとなりました。

第21次南極海鯨類捕獲調査に対する妨害について

 20年1月15日、南極海で鯨類捕獲調査に従事していた第二勇新丸に対し、昨年も体当たり等の妨害活動を行った反捕鯨団体シーシェパード(以下、「SS」)がゴムボートを用いて、酪酸と思われる瓶の投げ込みやプロペラに絡めることを目的にロープを流す等の危険な妨害活動を行い、さらに、SS活動家2名が同船舶内に侵入しました。その後も1月18日には第三勇新丸に、3月3日及び7日には調査母船の日新丸に酪酸瓶等が投げ込まれる妨害が発生しています。

 我が国の合法な調査活動に対するこのような妨害活動は、断じて許すことのできない危険な行為です。IWCにおいても、このような行為は厳しく非難されており、過去2年の年次会合で連続して、危険な妨害活動を防止する決議が全会一致で採択され、かかる行為を抑制するために関係国が協力することが求められています。我が国は今後このような事態を発生させないように船籍国等の関係国に対し責任ある対応を求めるとともに、国内では関係省庁が連携し、調査が安全に実施できる体制確保に努めることとしています。

写真1