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水産庁

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3  持続可能な漁業・養殖業の確立


(1)総論

漁船の高船齢化による生産性等の低下や、メンテナンス経費の増大に加え、居住環境等が問題となっており、高性能化、大型化による居住環境の改善や安全性の向上等が必要となっています。造船事業者の供給能力が限られている現状も踏まえ、今後、高船齢船の代船を計画的に進めていくため、漁業者団体が代船のための長期的な計画を示すとともに、国としても必要な支援の検討を行います。

具体的な職場環境の改善の一つとして、高速インターネットや大容量データ通信等が利用可能となり、船舶の居住環境の改善に資する高速通信の整備状況について、関係府省庁が連携して、情報交換を行い、高速通信の効率的な普及に向けた検討を行います。


(2)沿岸漁業

沿岸漁業については、浜プランによる所得向上の取組に加え、市場統合や生産体制の効率化・省コスト化、流通・販売の合理化を進めるため、複数の漁村地域が連携し広域的に浜の機能再編や水産関係施設の再編整備、中核的担い手の育成に取り組むための広域浜プランの策定・取組を支援します。

また、沿岸漁業の有する多面的機能や集落維持機能を踏まえ、離島漁業再生支援交付金や水産多面的機能発揮交付金等による支援を実施するとともに、漁村地域が有する豊富な観光資源、地域産品、郷土料理等の活用や、漁観連携、地域ブランド、マーケットイン、インバウンド、交流活動等といった取組を推進します。


(3)沖合漁業

沖合漁業については、合理的・効率的な操業体制への移行等、漁船漁業の構造改革を引き続き推進するとともに、資源変動に対応した操業・水揚げ体制及び漁業許可制度を検討します。

また、生産のみならず、加工・流通・販売・輸出を含めた包括的な構造改革を推進します。


(4)遠洋漁業

遠洋漁業については、世界各地に展開する我が国遠洋漁業の資源及び漁場を確保するため、国際機関における資源管理において引き続きリーダーシップを発揮し、公海域における資源の持続的利用の確保を図るとともに、海外漁業協力等の推進や入漁国の制度等を踏まえた多様な方式での入漁等を通じ海外漁場での安定的な操業の確保を推進します。

また、新たな操業・生産体制の導入、収益向上、コスト削減、及びVD(隻日数)の有効活用により、競争力強化を目指した漁船漁業の構造改革を推進します。

さらに、乗組員の安定的な確保・育成に向けて、漁業団体、労働組織等の間での協議を推進します。


(5)養殖業

ア  漁場環境や天然資源への負担の少ない養殖

養殖業者が、持続的養殖生産確保法(平成11(1999)年法律第51号)第4条第1項の規定に基づく漁場改善計画において設定された適正養殖可能数量を遵守して養殖を行う場合に、漁業収入安定対策事業によって減収の補填等の支援を行うことにより、適正養殖可能数量の設定及び遵守を促進し、漁場環境の改善を推進します。

また、資源の保存に配慮し安定的な養殖生産を実現するため、主に天然種苗を利用しているウナギ、ハマチ、カンパチ、クロマグロ等について人工種苗の生産技術の開発や人工種苗への転換を促進するとともに、環境の変動による影響を受けやすい沿岸域の特性を踏まえ、沖合漁場への展開や陸上施設等養殖場の多様化を図ります。

イ  安定的かつ収益性の高い経営の推進

養殖経営の安定を図るべく、引き続き、養殖用配合飼料の価格高騰対策や生餌の安定供給対策を適切に実施するとともに、魚の成長とコストの兼ね合いがとれた養殖用配合飼料の低魚粉化及び配合飼料原料の多様化を推進します。

さらに、養殖水産物の安定供給のため、国内向けには需要の拡大を図るとともに、需要に見合った生産を行い、積極的な輸出拡大を目指す取組を進めつつ、消費者ニーズに合致した質の高い生産物の供給や6次産業化による養殖業の成長産業化を推進します。

また、養殖生産の多様化、優れた耐病性や高成長などの望ましい形質を持った人工種苗の導入など、養殖生産効率の底上げを図り、収益性を重視した養殖生産体制の導入を図ります。

さらに、養殖業への参入を希望する企業と地元漁業者や地域の双方がメリットを享受できるよう、両者のマッチングを推進します。

ウ  安全・安心な養殖生産物の安定供給及び疾病対策の推進

<1>
水産用医薬品の適正使用を確保するため、養殖衛生管理技術者の育成や養殖業者に対する巡回指導を行うとともに、養殖水産物の安全性向上のための生産工程管理の取組の推進を支援します。

<2>
生産段階での水産物の安全性の向上を図るため、貝毒やノロウイルスの監視体制の実施に対する指導・支援を行うとともに、貝毒のリスク管理に関する研究を行います。
また、有害化学物質の汚染状況を把握するため、ダイオキシン類等について含有実態調査を実施します。

エ  真珠養殖及び関連産業の振興

平成28(2016)年6月7日に制定された真珠の振興に関する法律(平成28(2016)年法律第74号)に基づき、幅広い関係業界や研究機関による連携の下、宝飾品のニーズを踏まえた養殖生産、養殖関係技術者の養成、研究開発の推進等の施策を推進します。


(6)内水面漁業・養殖業

内水面漁業施策の推進に当たっては、内水面資源の維持増大を図ること、漁場環境の保全・管理のための活動の核として内水面漁業協同組合が持続的に活動できるようにすること、及び遊漁や川辺での自然との触れ合いが促進され水産物の販売や農業・観光業との連携による地域振興が進展することを旨として、関係府省庁、地方公共団体、内水面漁業協同組合等が連携し、必要な施策を総合的に推進することとし、具体的には、内水面漁業の振興に関する法律(平成26(2014)年法律第103号)第9条第1項に定める内水面漁業の振興に関する基本的な方針に基づき、次に掲げる施策を推進します。

<1>
近年特に被害が広域化・深刻化しているカワウについて、「カワウ被害対策強化の考え方」(平成26(2014)年4月23日環境省・農林水産省公表)に掲げる被害を与えるカワウの個体数を平成35(2023)年度までに半減させる目標の早期達成を図ります。

<2>
外来魚について、効率的な防除手法の技術開発を進めるとともに、電気ショッカーボート等による防除対策を推進します。

<3>
冷水病等の伝染性疾病の予防及びまん延防止のため、内水面水産資源に係る伝染性疾病に対する迅速な診断法及び予防・治療技術の開発及び普及を推進します。

<4>
内水面水産資源の増殖技術の研究開発を推進するとともに、得られた成果の普及を図ります。

<5>
浜プラン等の策定及びそれらに基づく内水面水産資源の種苗生産施設等の整備を推進します。

<6>
水産動植物の生態に配慮した石倉増殖礁の設置や魚道の設置・改良、水田と河川との連続性に配慮した農業水路等の整備、さらにそれらの適切な維持管理を推進するとともに、河川等が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境等を創出することを全ての川づくりの基本として河川管理を行います。
また、これらの実施に当たっては、各施策の効果を高められるよう関係者間の情報共有や活動の連携を図ります。

<7>
内水面漁業者が行う内水面漁業の意義に関する広報活動及び放流体験等の川辺における自然体験活動並びに漁業体験施設等の整備を推進します。

<8>
内水面漁業の振興に関する法律第35条第1項の規定に基づく協議会が設置された場合には、漁場環境の再生等内水面漁業の振興に向けた効果的な協議が円滑に行われるよう、関係者間の調整等を行い、それを踏まえた必要な措置を講じます。

<9>
内水面漁業の有する多面的機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるよう、内水面漁業者と地域住民等が連携して行う内水面に係る生態系の維持・保全のための活動等の取組を支援します。

<10>
ウナギの持続的利用を確保していくため、国際的な資源管理の取組については、我が国が主導的な役割を果たし、中国、韓国及び台湾との4国・地域での、養殖用種苗の池入れ量制限をはじめとする資源管理を一層推進するとともに、官民一体となって資源管理に取り組みます。
また、国内においては、河川や海域におけるウナギの生息状況や生態等の調査、効果的な増殖手法の開発に取り組むとともに、シラスウナギ採捕、ウナギ漁業及びウナギ養殖業に係る資源管理を三位一体として推進します。
また、養殖用種苗の全てを天然採捕に依存していることから、種苗の大量生産の早期実用化に向けた研究開発を推進します。

<11>
国際商材として輸出拡大が期待されるニシキゴイについて、「農林水産業の輸出力強化戦略」(平成28(2016)年5月農林水産業・地域の活力創造本部決定)に基づき、輸出促進を図ります。

(7)栽培漁業及びサケ・マスふ化放流事業

ア  種苗放流による資源造成の推進

漁獲管理や漁場整備と一体となった種苗放流を推進するとともに、種苗放流の効果を高めるため、遺伝的多様性に配慮しつつ、成長した放流種苗を全て漁獲するのではなく、親魚を取り残し、その親魚が卵を産むことにより再生産を確保する「資源造成型栽培漁業」の取組を一層推進します。

また、種苗放流尾数が減少傾向にある広域種について、海域栽培漁業推進協議会が策定した「広域プラン」を勘案し、関係都道府県が行う種苗生産や放流等への取組を推進するとともに、消費者ニーズが高く、漁業者からの大量種苗生産技術の開発に対する要望が強い新たな栽培漁業対象種の技術開発を推進します。

さらに、地球温暖化や貧栄養化等により沿岸域の環境が変化する中で、栽培漁業を環境変化に適応させながら実施していくため、対象種の変更や放流手法の見直し等必要な技術の開発に努めます。

二枚貝資源の増殖に向けた緊急的な対策として、人工種苗生産の技術が確立しておらず、天然採苗も難しいタイラギ等の貝類を対象とした貝類の人工種苗生産の技術開発を行うとともに、垂下式養殖の技術等を用いた増殖手法の実証化の取組を支援します。

イ  対象種の重点化等による効率的かつ効果的な栽培漁業の推進

地域の実情、海域の特性等を踏まえ、漁獲量に有意な変化を見込める規模による種苗の放流、対象種の重点化や放流適地への集中化に取り組みます。

また、目標とする安定した資源状況が達成された際には漁獲管理に重点を移す等、柔軟な対応を図ります。

ウ  サケの漁獲量の安定化

近年放流稚魚の回帰率低下によりサケ資源が減少していることから、回帰効果を向上させる放流手法の改良の取組を支援するとともに、放流後から沿岸域におけるサケ稚魚の移動や成長及び生残に与える影響等を分析することで稚魚の減耗要因の究明に取り組みます。

また、高品質なサケ親魚の放流場所の調査等の取組を推進します。


(8)漁業と親水性レクリエーションとの調和

ア  遊漁者の資源管理に対する取組の促進

漁業者が取り組む資源管理計画等について、都道府県と協力して遊漁者への啓発を実施するとともに、各地の資源管理の実態を踏まえ、必要に応じて海面利用協議会等の場を活用した漁業と遊漁が協調したルールづくりを推進します。

イ  漁業と親水性レクリエーションとの調和がとれた海面利用の促進等

各地の資源管理の実態を踏まえ、必要に応じて海面利用協議会等の協議の場を活用し、漁業と親水性レクリエーションが協調したルールづくりに向け、都道府県による漁業と遊漁を含む親水性レクリエーションとの円滑な調整に向けた関係者への働きかけを推進します。

また、遊漁者等に対し、水産資源の適切な管理や漁場環境の保全への理解向上のため、水産庁ホームページ、講演会、イベント、釣り関連メディア等を活用した普及・啓発を実施します。

さらに、都道府県や関係業界等と協力して、未成魚の再放流や漁場の清掃等の遊漁者等が参画しやすい取組の推進や安全講習会や現地指導を通じて、遊漁船、遊漁船利用者等の安全対策を推進するとともに、漁船とプレジャーボート等の秩序ある漁港の利用を図るため、周辺水域の管理者との連携により、プレジャーボート等の収容施設の整備を推進します。

加えて、内水面漁業の振興に関する法律に基づく協議会において、内水面水産資源の回復や親水性レクリエーションとの水面利用に関するトラブル防止等について協議が円滑に行われるよう、関係者との調整に取り組みます。


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