このページの本文へ移動

水産庁

メニュー

(1)増加し続ける世界の水産物需要


(1人当たりの水産物消費量の増加)

魚介類は、世界の動物性たんぱく質供給量の16%を担う重要な食料資源です。世界の1人当たりの食用魚介類の消費量は過去半世紀で約2倍に増加しました(図1−1−1)。国際連合食糧農業機関(FAO)は、世界的な魚介類の消費量の増加の要因として、輸送技術等の発達により食品流通の国際化が進展し、都市人口の増加を背景に国際的なフードシステムとつながったスーパーマーケット等での食品購入が増えていること、また、この結果として経済発展の進む新興国や途上国では芋類等の伝統的主食からたんぱく質を多く含む肉、魚等を中心とした食事へと食生活の移行が進んでいることなどを挙げています。さらに、健康志向の高まりも魚介類の消費を後押ししているものとみられています。

1人当たりの魚介類消費量の増加は世界的な傾向ですが、とりわけ、元来より魚食習慣の強いアジア地域では、生活水準の向上に伴って顕著な増加を示しています。特に、中国では過去半世紀に約8倍、インドネシアでは約3倍となるなど、新興国での伸びが目立ちます(図1−1−2)。

一方、動物性たんぱく質の摂取が既に十分な水準にあるヨーロッパ及び北米地域では、その伸びは鈍化傾向にあります。我が国の1人当たりの魚介類消費量は、高水準ではあるものの、50年前と同水準まで減少してきており、世界の中では例外的な動きをみせています。



(世界人口の増加と水産物需要の増大)

1人当たりの魚介類消費量の増加と並行して、世界の人口も増え続けています。この結果、世界全体での魚介類消費量は、過去半世紀の間に約5倍となりました(図1−1−3)。

世界人口は今後も増加し続け、2040年には90億人、2060年には100億人を突破すると予想されています(図1−1−4)。1人当たりの魚介類消費量が急激に伸びているアジア地域においては、今後40年間ほどにわたり人口増加が続くとみられています。また、最大の人口増加が予想されるアフリカ地域でも、経済成長に伴う動物性たんぱく質摂取量の増加が見込まれます。このため、今後も世界の水産物に対する需要の増大は続くものと考えられます。



コラム:中国における食料消費の変化

世界人口の約2割を占める中国では、経済成長に伴う食料消費の増加と食生活の変化が続いています。1人当たりの消費量でみると、伝統的な主食である穀類の消費量がピーク時から2割近く減少し、反対に、肉類の消費量が大きく伸びています(図)。こうした変化は、飼料としてのトウモロコシや大豆への中国の需要を大きく増加させ、ブラジルで生産される大豆の多くが中国に向かうなど、世界の食料供給にも大きな影響を与えています。魚介類についても中国の消費増大は顕著です。

一方、中国では、いまだに、都市部と農村部の食生活に大きな違いがあるものとみられています。今後、経済発展が続けば、穀物に頼って生活する農村部にも食生活の変化が及び、魚介類の消費が更に増加することも予想されます。また、現在の中国の魚介類消費量の5割ほどは、手に入りやすい淡水魚ですが、都市部では、高級品である海水魚へと需要がシフトしていく可能性もあります。

1人当たりの消費量の増加に加え、中国の人口は平成42(2030)年頃までは増加を続けるものと予測されていることも、今後しばらくの間の中国の魚介類消費量の増加につながると考えられます。

既に、一部の魚種では、中国の流通業者が我が国の流通業者より高い価格で買い付けを行うケースも生じており、今後とも、中国の食料消費の動向を注視する必要があります。

 

(国際商材としての水産物)

現代では様々な食料品が国際的に取引されており、多くの国において食料品の輸出入なくしては人々の生活は成り立ちません。中でも水産物は特に国際取引に仕向けられる割合の高い国際商材であり、世界の漁業・養殖業生産量の3割以上が輸出に仕向けられています。また、輸送費の低下と流通技術の向上、人件費の安い国への加工場の移転、貿易自由化の進展等を背景として、水産物貿易は、量・額ともに大幅に増加してきています(図1−1−5)。

多くの国・地域が水産物の輸出入を行っていますが、このうち輸出量では欧州連合(EU)、中国、ノルウェー、ロシア等が、輸入量ではEU、中国、米国、日本等が上位を占めています。特に中国による水産物の輸出入量は大きく増加しており、2000年代半ば以降、単独の国としては世界最大の輸出国かつ輸入国となっています。ただし、輸出入金額では中国は世界最大の純輸出国であり、EU、日本、米国等が主な純輸入国・地域です(図1−1−6)。



図1-1-6 主要国・地域の水産物輸出入額及び純輸出入額

水産物の多くは、冷凍の状態で輸出入されていますが、生鮮や、缶詰等の加工品の輸出入量も、貿易量全体の増加に伴って増えています(図1−1−7)。また、漁獲国から第三国へ輸出され、カットや調理等の加工を経て、再び元の漁獲国や、あるいは更に別の国へ輸出されるといった加工貿易も、盛んに行われています。



PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader