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水産庁

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(4)世界の漁業生産構造


(世界の漁業生産構造)

FAOによれば、平成26(2014)年時点で、世界全体には推定約461万隻の漁船が存在しており、このうち、動力船が64%、無動力船が36%を占めています。また、全動力船の85%は全長12m以下の小型船であり、全長24m以上の大型船は2%に過ぎません(図1−1−17)。

平成26(2014)年時点の世界の漁業・養殖業従事者は、約5,700万人です。このうち、3分の2に当たる約3,800万人が漁船漁業の従事者、約1,900万人が養殖業の従事者です(図1−1−18)。漁業・養殖業従事者は増加してきていましたが、近年、その増加には頭打ちの傾向がみられます。


図1-1-17 世界の漁船の規模別の割合
図1-1-18 世界の漁業・養殖業従事者数の推移
 

コラム:世界の遊漁(*1)

釣りをはじめとする遊漁は、世界中で親しまれている余暇の楽しみです。遊漁に関してはデータが乏しいため、世界中でどのくらいの人々が遊漁を行っているのかを推定するのは困難ですが、統計が入手できる国々ではそれぞれの人口の4.5~16.7%が遊漁を行っているとの報告があります。また、フィンランドでは人口の4割に当たる約200万人が、少なくとも年に1回は遊漁を楽しんでいるそうです。ちなみに、我が国の遊漁人口は約750万人、総人口の6%程度に当たると推定されています(*2)。

FAOによれば、一般的に、遊漁は経済発展に伴い発達します。これは、経済が発展するにしたがって、生きるためあるいは必要な栄養を満たすためではなく、楽しむことを目的として水生生物の採捕を行う余裕が出てくるからです。実際に、遊漁は、アジアや南米、アフリカ等の経済発展が進む国々において、急速に発達しつつあるそうです。また、経済の発展に伴い、水産資源の利用主体は、自給的漁業者から商業漁業者へと変わり、更に遊漁者が加わります。特に、先進国の内水面においては、遊漁者が資源の主な利用者となっている場合もよくみられます。しかしながら、経済発展に伴う遊漁の発達は、ずっと続くわけではありません。都市化が進んで自然と触れ合う機会が減ると、人々の釣りや魚への興味は薄れていくためです。

遊漁は、自然体験学習の機会でもあり、人々が魚やその生息環境への関心を深める貴重なきっかけとなります。一方で、遊漁者により放流された外来魚が在来の魚種を脅かしたり、遊漁者が軽い気持ちで捨てた釣り糸や釣針が海洋生物に思わぬ影響を与えたりといった問題も生じています。さらに、遊漁者と漁業者の間の軋轢(あつれき)や、水産資源への影響も課題となり得ます。資源管理ルールの啓発・普及と実施の徹底等を通じ、遊漁を含めて持続的な漁業を実現していくことが重要です。


*1  このコラムは、主に、FAO「FAO Technical Guidelines for Responsible Fisheries 13: Recreational Fisheries」及び「The State of World Fisheries and Aquaculture 2010、2012」を参考に記述した。
*2  (公財)日本生産性本部「レジャー白書2016」による。
 

(世界の地域・国ごとの漁業生産構造の違い)

漁業生産構造は、それぞれの国や世界における地域の自然環境的及び社会経済的条件により様々です。

一般的に、中・低緯度地域は高緯度地域と比べて生物多様性が高いことが知られています。また、沿岸や海底の地形、水深、海流等の様々な環境要因により、各海域の生態系は異なります。世界の海域ごとの漁獲物の大まかな組成をみると、世界の中でも生物多様性が高いとされる我が国周辺水域を含む太平洋北西部海域では、底魚及び浮魚をはじめとして甲殻類、軟体類等様々な分類群に属する魚介類が漁獲物を構成しています(図1−1−19)。一方、ペルーカタクチイワシが大量に漁獲されるペルー沖等の太平洋南東部では浮魚が、北米大陸の西側の太平洋北東部では底魚が漁獲物の大半を占め、ノルウェー沖等の大西洋北東部では浮魚と底魚が漁獲物のおよそ半分ずつを占めるなど、漁獲物の魚種構成には海域による特色があります。

さらに、主要な漁業国について、漁獲量の8割を構成する魚種の数を緯度帯ごとに比較すると、高緯度地域に位置するアイスランド及びノルウェーではそれぞれ5魚種及び5魚種であるのに対し、中緯度地域に位置する我が国及び韓国ではそれぞれ16魚種及び20魚種、低緯度地域のインドネシアでは43魚種となっており、各海域における魚種の多様性がその漁獲物にも反映されているものと考えられます(図1−1−20)。


図1-1-19 海域ごとの漁獲物の構成

図1-1-20 漁獲量の8割を占める魚種の数

こうした自然環境上の条件に基づく資源の特性に加えて、沿岸のコミュニティの在り方、歴史的に育まれたそれぞれの食文化、経済的・技術的な発展度合い、政策等が複合的に関わり、各国・地域で営まれる漁業の規模や特性は様々です。

世界の漁業者数、漁船数及び漁獲量のそれぞれに占める世界の各地域の割合を比較すると、アジアは漁業者数及び漁船数では約8割と圧倒的な割合を占めていますが、漁獲量に占める割合は5割程度です(図1−1−21)。これは、沿岸域を中心として、多数の漁業者が、多様な資源を対象とする小規模な漁業に携わっているからだと考えられます。このような地域において、漁業は、沿岸のコミュニティの食料供給、食文化や経済活動を支える重要な役割を果たします。

一方、ヨーロッパと北米はわずかな漁業者と漁船で世界全体の漁獲量の合わせて2割ほどを生産しています。特に高緯度地域においては、単一資源を対象とした大規模な漁業が営まれており、主に輸出産業として重要な地位を占めています。


図1-1-21 漁業者数、漁船数及び漁獲量に占める世界の地域ごとの割合

主要国別に漁業構造をみてみると、アジアの新興国であるインドネシアや中国は多数の漁業者と漁船を抱え、生産量は多いものの、漁業者1人当たりの生産量でみれば漁業の生産性は概して低いものとなっています(表1−1−1)。これらの国々では大規模漁業も発達しつつあるものの、沿岸の零細漁業に従事する圧倒的多数の漁業者が存在しているものと考えられます。

これに対し、ノルウェーやアイスランドでは、高度に産業化された漁業が非常に高い生産性を実現していますが、それに携わる漁業者の数は多いものではありません。

我が国や韓国の漁業の生産性は両者の間に当たります。これは、多様性に富む海域特性や沿岸のコミュニティに根ざした小規模な漁業と、沖合・遠洋における比較的大規模な漁業の双方が営まれていることによるものと考えられます。


表1-1-1 各国の漁業構造の比較

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