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水産庁

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(3)責任ある漁業国・水産物消費国としての日本


今日においても、我が国は主要な遠洋漁業国の一つです。また、我が国周辺水域の水産資源の利用に関しても国際的な資源管理との関係が強まっています。加えて、我が国は水産物の世界的な大消費国です。1人当たりの水産物の消費量は、減少傾向にあるとはいえ世界平均の約3倍に及び、我が国の魚食文化から生まれたすしや刺身は、今や魚食の新しいスタンダードとして世界中で愛されています。さらに、我が国は単独の国としては世界最大の水産物の純輸入国であり、世界中で漁獲された大量の水産物が流通します。こうした中で、我が国は、責任ある漁業国・水産物消費国として、国際的な資源の管理と持続的な利用に大きな責務を負っています。

まず第一に求められるのは、引き続き、漁船の旗国としての責任を的確に果たすことです。我が国では、国内の法制度に基づいて地域漁業管理機関で定められた規則の実施を確保しています。また、VMSによる監視や操業水域への漁業取締船の派遣、陸揚時の漁獲物の検査等により、遵守の監視・取締りを実施しています。特に、沿岸漁業を含めて多数の漁業者が漁獲に関わる太平洋クロマグロの管理においては、関係者の意見を聞いて管理手法の改善を図りつつ、WCPFCの措置を着実に実施していくこととしています。今後とも、こうした取組により、我が国漁船による遵守の徹底を図っていくことが重要です。

また、違法に漁獲された漁獲物の流通の防止に努めることも重要な課題です。このため、我が国では、地域漁業管理機関によるマグロ類等の漁獲証明制度を厳格に運用しています。さらに、各国と協力してIUU漁業対策を推進するため、「違法漁業防止寄港国措置協定」の早期締結を目指しているところです。

加えて、消費面においては、消費者を含む関係者の一人一人が、資源の持続性を考慮した水産物の消費を心がけることも重要です。そのための判断材料を消費者に与える水産エコラベル認証等の動きが広がりつつあります。また、漁獲から消費に至る各段階で水産物の食品ロスを削減し、漁獲された資源を無駄なく効率的に活用することも必要な取組です。

我が国は、我が国漁船の操業水域や漁獲対象魚種に関して設立された地域漁業管理機関には原則として加盟し、適切な資源の管理と持続的利用のための活動に積極的に参画してきました。今後、世界的に水産物に対する需要が増大していく中で、水産資源を持続的かつ有効に利用していくことは、ますます重要な課題となっていくと考えられます。今後とも、地域漁業管理機関の枠組みの中で主導的な役割を果たすことにより、適切な資源管理と持続的利用の実現に貢献していくことが、我が国に期待されています。


コラム:「SH"U"N(しゅん)プロジェクト」が始動((研)水産研究・教育機構)

責任ある水産物消費国として水産資源の持続的な利用に貢献していくためには、消費者一人一人が店頭に並んだ水産物の資源と漁獲の現状を理解し、持続性に配慮した消費活動を行うことが重要です。消費者が水産物を購入する際の判断の参考となる情報を提供するため、平成28(2016)年7月、(研)水産研究・教育機構は、「SH"U"N(Sustainable, Healthy and "Umai" Nippon seafood)プロジェクト」を始動させました。

SHUNプロジェクトの評価軸

このプロジェクトでは、我が国で漁獲されている水産物のうち、安定供給のニーズが高い魚種、消費者になじみのある魚種、保護の必要性が高い魚種等を対象として、<1>資源の状態、<2>生態系・環境への配慮、<3>漁業の管理、及び<4>地域の持続性の4つの項目で評価を行い、各項目ごとに5点満点で採点していきます(図)。評価に当たっては、外部レビュー委員会による審議、関係者からの意見聴取やパブリックコメントを実施し、透明性を確保します。こうした評価を経て、各項目の点数の合計が高い魚を「おさかな推奨リスト」に取りまとめる予定です。また、健康と安全・安心といった食べ物としての価値に関する情報も加え、評価結果を分かりやすい形でウェブサイトに公表していくこととしています。

(研)水産研究・教育機構では、平成29(2017)年4月より、評価結果を順次公表し、平成31(2019)年末までに50種程度の公表を目指しています。同機構は、この情報を消費者だけでなく水産業関係者にも広く活用してもらうことで、日本の食文化の維持に寄与し、資源の持続的な利用の推進にも役立つものと考えているとのことです。

 

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