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水産庁

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(4)資源を積極的に増やすための取組


(種苗放流の取組)

長期的に漁獲の安定化と増大を図っていくためには、実効ある資源管理により資源の持続的な利用を確保するとともに、種苗放流等の資源を積極的に増やす取組を講じていくことが重要です。

現在、都道府県の栽培漁業センター等を中心として、ヒラメ、マダイ、ウニ類、アワビ類等、全国で約70種を対象とした水産動物の種苗放流が実施されています(表2−1−1)。

国では、平成27(2015)年に「第7次栽培漁業基本方針」を策定し、計画的かつ効率的な種苗放流を推進しています。この方針においては、放流された種苗を全て漁獲することを前提とするのではなく、親魚となったものの一部を獲り残して次世代の再生産を確保する「資源造成型栽培漁業」の取組を引き続き推進することとしています。また、ヒラメ、マダイ及びトラフグのように都道府県の区域を越えて移動する魚種については、全国に6地区に分けて設立された「海域栽培漁業推進協議会」の下、放流適地や関係都道府県の連携による種苗生産の在り方などを定めた「広域プラン」を策定し、それぞれの海域で効率的かつ効果的な種苗生産と放流を進めていくこととしています。


表2-1-1 種苗放流の主な対象種と放流実績

また、「秋鮭(さけ)」として親しまれている我が国のシロザケは、親魚を捕獲し、人工的に採卵、受精、ふ化させて稚魚を河川に放流するふ化放流の取組により資源が造成されています。しかしながら、近年、放流した稚魚の回帰率が低下し、このことが漁獲量の減少につながっています(図2−1−9)。気候変動による海洋環境の変化が、海に下った後の稚魚の生残に影響しているとの指摘もあり、国では、環境の変化に対応した放流手法の改善の取組等を支援しています。



(沖合域における生産力の向上)

沖合域は、アジ、サバ等の多獲性浮魚類、スケトウダラ、マダラ等の底魚類、カニ類等、我が国の漁業にとって重要な水産資源が生息する海域です。これらの資源については、種苗放流によって資源量の増大を図ることが困難であるため、生息環境を改善することにより資源を積極的に増大させる取組が重要です。

これまで、各地で人工礁等が設置され、水生生物に産卵場、生息場、餌場等を提供し、再生産力の向上に寄与しています。また、国では、沖合域における水産資源の増大を目的として、保護育成礁や、鉛直混合(*1)を発生させることで海域の生産力を高めるマウンド礁(増殖場)の整備を実施しており、水産資源の保護・増殖に大きな効果がみられています。


*1  上層と底層の海水が互いに混ざり合うこと。鉛直混合の発生により底層にたまった栄養塩類が上層に供給され、植物プランクトンの繁殖が促進されて海域の生産力が向上する。

事例:「フロンティア漁場整備事業」の成果

図1:日本海西部地区の保護育成礁と一般海域とのズワイガニの生息密度差
図2:マウンド礁のメカニズム
図3:五島西方沖のマウンド礁におけるマアジ1歳魚の体重

「フロンティア漁場整備事業」は、EEZにおける水産資源の保護と生産力の向上を目的として、平成19(2007)年度から国が行っている漁場整備事業です。これまでに、兵庫県、鳥取県及び島根県沖の日本海西部地区、長崎県沖の五島(ごとう)西方沖地区、鳥取県及び島根県沖の隠岐(おき)海峡地区の3地区において漁場整備が実施されてきました。

このうち、日本海西部地区においては、沖合の海底に保護育成礁を設置し、資源管理との連携の下でズワイガニやアカガレイの資源の保護と増大が図られています。保護育成礁は、ズワイガニやアカガレイに隠れ場所を提供するとともに、底層の流れに複雑な乱れを生じさせ、礁の周辺に有機物を堆積させます。このことにより、餌となる生物が発生し、資源の育成が図られます。保護育成礁と一般海域とのズワイガニの生息密度差は、目標値の1.6倍となるなどの効果が確認されています(図1)。

また、五島西方沖地区及び隠岐海峡地区においては、マウンド礁の設置によって、マアジ、マサバ及びマイワシといった多獲性浮魚資源の増大を図っています。海底に設置されたマウンド礁に沿って海流が流れることで鉛直混合を発生させ、底層にある栄養塩類が上層に運ばれます。太陽の光が届く上層では、栄養塩類を使って植物プランクトンが増加し、これを餌とする動物プランクトンや魚類も増加します(図2)。マウンド礁周辺には魚が集まり、五島西方沖地区ではマアジの1歳魚の体重が一般海域と比べて1.6倍となっていることが確認されるなどの効果が現れています(図3)。

 

(内水面における資源の増殖と漁業管理)

河川・湖沼等の内水面は、一般に海面と比べて生産力が低いことに加え、遊漁者等漁業者以外の利用者も多く、漁業や遊漁等の活動が資源に与える影響が大きいという特徴があります。このため、内水面において魚類の採捕を目的とする漁業権の免許を受けた漁業協同組合には、種苗放流等により資源を増殖する義務が課されており、その経費の確保のために遊漁者から遊漁料を徴収することが認められています。こうした活動を通じて、内水面においては、内水面漁業協同組合が主体となってアユやウナギ等の種苗放流や産卵場の整備を実施し、資源の維持増大や漁場環境の保全に大きな役割を果たしています。


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