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水産庁

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(6)野生生物による漁業被害と対策


(海面における野生生物による漁業被害)

海洋の生態系を構成する生物の中には、漁具の破損、漁獲物の食害や品質の低下、作業時間の増大など、漁業・養殖業に損害をもたらす野生生物(有害生物)も存在します。近年では、都道府県の区域を越えて広く分布・回遊するトド、ヨーロッパザラボヤ、大型クラゲ等による漁業被害が顕在化しており、地域によっては、漁業経営が深刻な影響を受けています。

特に、北海道周辺では、トドを中心とした海獣類による漁具の破損や漁獲物の食害等の被害が多く発生しています。また、北海道の噴火湾(ふんかわん)から三陸沿岸にかけては、ヨーロッパ原産のヨーロッパザラボヤが養殖ホタテガイに大量に付着し、ホタテガイの成長が阻害されたり、ヨーロッパザラボヤの重さでホタテガイが養殖施設から脱落したりする被害が生じています。大型クラゲについては、平成28(2016)年夏、大規模な漁業被害は発生しなかったものの、7年ぶりに対馬海峡から日本海への大量流入が確認されました。

これらの生物による漁業被害を漁業者の自助努力によって防ぐことは困難です。このため、国では、都道府県の区域を越えて広く分布・回遊する野生生物で、広域的な対策により漁業被害の防止・軽減に効果が見通せるなど一定の要件を満たすものについては、出現状況に関する調査と漁業関係者への情報提供、被害を効果的・効率的に軽減するための技術の開発・実証、駆除・処理活動への支援等に取り組んでいます(図2−1−12)。また、各地域で被害をもたらす野生生物に対しては、都道府県等が被害防止のための対策を実施しています。


図2-1-12 国が行う野生生物による漁業被害対策の例

(内水面における生態系や漁業への被害)

内水面においては、カワウやオオクチバス等の外来魚による水産資源の食害が問題となっています。このため、国では、被害を与えるカワウの個体数を平成35(2023)年度までに半減させる目標の早期達成を目指し、カワウのねぐらやコロニーの除去、捕獲等の防除対策を推進しています。最近では、カワウ被害対策にドローン(無人航空機)を活用する取組も進められています。また、国では、外来魚の効果的な防除手法の技術開発のほか、電気ショッカーボートや偽の人工産卵床の設置等による防除の取組を進めています。


コラム:有害生物を食べて駆除しよう(長崎県長崎市  (一社)マリンアクティブ)

アイゴを用いた寿司
アイゴを用いた寿司
(写真提供:(一社)マリンアクティブ)

漁業への被害や漁場環境の悪化を引き起こす有害生物。駆除すると同時に食料としても有効に利用しようという取組が行われています。

長崎県の(一社)マリンアクティブが取り組んでいるのは、海藻を食い荒らして磯焼けの一因となっているアイゴの食用化です。アイゴは独特の臭いを持つとされ、一部の地域を除いて積極的に食用にはされていません。同社は、漁獲後、エサを与えずに短期間蓄養し、水揚後にはすぐに頭や内臓、毒のある棘等を処理して冷凍することで、アイゴの臭みをとる技術を開発しました。こうすることにより、フライ、バーガー、くん製等の材料となるだけでなく、寿司ネタ・刺身としてもおいしく食べられるようになるとのことです。同社では、更なる販路の拡大を目指しているところです。

食用としての利用の広がりにより、有害生物の捕獲・駆除に向けた活動が促進されれば、漁業や環境への被害の軽減につながります。また、未利用・低利用資源の活用が、漁業経営の改善につながることも期待されます。

 

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