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水産庁

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(2)水産物消費の状況


(水産物消費の動向)

我が国における魚介類の1人当たりの消費量は減少を続けています。「食料需給表」によれば、食用魚介類の1人1年当たりの消費量(*1)は、平成13(2001)年の40.2kgをピークに減少しており、平成27(2015)年度には、前年より0.8kg少ない25.8kgとなりました(図2−3−3、純食料ベース)。これは、昭和30年代後半とほぼ同じ水準です。我が国では、近年、1人当たりのたんぱく質の消費量自体も減少傾向にあり、この背景には、高齢化の進行やダイエット志向等もあるものと考えられます。

また、「国民健康・栄養調査」に基づいて年齢階層別の魚介類摂取量をみてみると、若い層ほど摂取量が少なく、特に40代以下の世代の摂取量は50代以上の世代と比べて顕著に少なくなっています(図2−3−4)。ただし、近年では、40~60代の摂取量の減少が大きくなっている一方で、15~19歳及び70歳以上の年齢階層の摂取量はここ数年横ばいから漸増傾向で推移しているなど、年齢階層によって下げ止まりの兆しもみられます。


*1  農林水産省では、国内生産量、輸出入量、在庫の増減、人口等から「食用魚介類の1人1年当たり供給純食料」を算出している。この数字は、「食用魚介類の1人1年当たり消費量」とほぼ同等と考えられるため、ここでは「供給純食料」に代えて「消費量」を用いる。


生鮮魚介類の1世帯当たりの年間支出金額と購入量では、購入量が一貫して減少する一方、近年、支出金額は横ばいから漸増傾向となっています。水産物の価格が上昇傾向にある中で、購入量は減少しているものの、消費者の購買意欲自体が衰退しているわけではないとも考えられます(図2−3−5)。


図2-3-5 生鮮魚介類の1世帯当たり年間支出金額・購入量の推移

(水産物に対する消費者の意識)

水産物消費量は減少し続けていますが、消費者の間にはもっと魚を食べたいという意識も根強くあります。主菜となる各食材について、今後の摂取量に関する意向を尋ねた株式会社日本政策金融公庫による調査では、魚介類の摂取量を増やしたいとの回答が肉類を大きく上回りました(図2−3−6)。

その反面で、調理する際の考え方では、「できるだけ簡単にしたい」との回答が「おいしいものを作りたい」等を上回って最も多くなり、簡便化志向が強いことがうかがわれます(図2−3−7)。


図2-3-6 主菜となる食材の今後の摂取量に関する消費者の意向
図2-3-7 消費者の「調理すること」に関する考え方
 

また、農林水産省が平成28(2016)年12月~29(2017)年1月に実施した「食料・農業及び水産業に関する意識・意向調査」において、子どもの頃と比べて魚介類を食べる量が増えたか減ったかを尋ねたところ、およそ3割が「増えた」、4割が「減った」、3割が「変わらない」との回答でした(図2−3−8)。このうち、子どもの頃と比べて魚介類を食べる量が減ったとした消費者に複数回答でその理由を尋ねたところ、「価格が高くなったと感じるから」という回答が最も多くなりました。これに加え、「調理が難しい・面倒だから」「生ごみの処理等片付けが面倒だから」等、魚介類の調理・利用面における問題を挙げた消費者も多く、調理の簡便さが求められる中、こうした課題が魚介類の消費量の減少につながっているものとみられます。他方、子どもの頃より魚介類を食べる量が増えたとした消費者にその理由を尋ねたところ、「健康に気を遣うようになったから」及び「おいしいと思うようになったから」という回答がそれぞれ6割以上となり、魚介類が持つ健康効果やおいしさについては、高く評価している消費者が多いことがうかがわれます。


図2-3-8 子どもの頃と比べて魚介類を食べる量が増えたかどうかとその理由

(水産物の健康効果)

水産物の摂取が健康に良い効果を与えることが、様々な研究から明らかになっています(図2−3−9)。

魚肉は水分のほか、たんぱく質、脂質等で構成されていますが、このうち魚肉たんぱく質は、畜肉類のたんぱく質と並び、私たちが生きていく上で必要な9種類の必須アミノ酸をバランス良く含む良質のたんぱく質です。大豆たんぱく質や乳たんぱく質と比べて魚肉のたんぱく質は消化されやすく、たんぱく質が体内に取り込まれやすいという特徴もあります。また、魚肉のたんぱく質は、栄養素として優れているだけでなく、健康上の機能も有している可能性が示唆されています。例えば、魚肉たんぱく質を主成分とするかまぼこをラットに与える実験では、血圧や血糖値の上昇の抑制等の効果が確認されています。さらに、鯨肉に多く含まれるアミノ酸物質であるバレニンは疲労の回復に、イカやカキに多く含まれるタウリンは肝機能の強化や視力の回復に効果があることなどが示されています。

魚の脂質には、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)といったn-3系多価不飽和脂肪酸が多く含まれています(図2−3−10)。これらの物質については、すい臓がん、肝臓がんや男性の糖尿病の予防、肥満の抑制、心臓や血管疾患リスクの低減等、様々な効果があることが数々の研究で明らかにされており、その幅広い健康効果が知られています。

さらに、小魚を丸ごと食べることで不足しがちなカルシウムを摂取することができるほか、海藻類はビタミンやミネラルに加え食物繊維にも富んでいます。水産物は、優れた栄養特性と機能性を持つ食品であり、様々な魚介類をバランス良く摂取することにより、健康の維持・増進が期待されます。


図2-3-9 水産物の摂取による健康効果に関する研究例

図2-3-10 DHA、EPAを多く含む食品の例

(魚食普及に向けた取組)

○学校給食等での食育の重要性

近年、若年層の魚介類の摂取量が減少していることが問題となっています。食に対する簡便化・外部化志向が強まり、家庭において食育の機会を十分に確保することが難しくなる中で、若いうちから魚食習慣を身につけるためには、学校給食等を通じ、子どものうちから水産物に親しむ機会をつくることが重要です。

しかし、水産物の利用には、一定の予算内で提供しなければならないといった費用の問題に加え、事前に献立が決められていたり、大量の材料を利用したりするために水揚げが不安定な魚介類をその日に確実に提供できるのかという供給の問題や、調理に一定の設備や技術が必要となること等の問題があることから、安価で安定供給が期待でき、規格の定まった食材が求められ、輸入水産物も使われているのが現状です。

これらの問題を解決し、おいしい国産の魚介類を給食で提供するためには、地域の水産関係者と学校給食関係者が連携していくことが必要です。そこで、近年では、漁業者や加工・流通業者等が中心となり、食材を学校給食に提供するだけでなく、魚介類を用いた給食用の献立の開発や、漁業者自らが出前授業を行って魚食普及を図る活動が活発に行われています。

また、「第3次食育推進基本計画」においては、学校給食における地場産物の使用割合を30%以上にする目標値が定められるなど、地産地消の取組が推進されています。この方針の下、地元産の魚介類の使用に積極的に取り組む自治体も現れ、学校給食の栄養士、調理師等から漁業者や加工・流通業者へ地元の魚介類の提供を働きかける例も出てきています。


事例:楽しくおいしい給食で「ぎょしょく教育」(愛媛県愛南町(あいなんちょう))

学校給食を通じて若い世代に魚になじんでもらおうという取組が広がっていますが、子どもたちが魚食習慣を身に付けるためには、「体に良いから食べなさい」、「何でも残さず食べなさい」といった価値観を押し付けるのではなく、心から「魚を食べたい」と思うような、楽しく、おいしい給食を提供することが大切です。

愛南漁業協同組合、久良(ひさよし)漁業協同組合、愛媛大学及び愛南町が一丸となって始めた「ぎょしょく教育」では、幅広い魚食普及活動が行われていますが、その一環として、子どもたちと一緒に魚介類について学んだり、調理をして食べたりすることで、楽しく、おいしい給食を提供する活動が実施されています。

漁業協同組合職員等が郷土料理の鯛(たい)めしを地元の子どもたちと作り、一緒に給食を食べたり、年中行事で節分の日に魔よけにイワシを使うことや、人生行事としてお食い初めでタイを食べることを学んだり、民謡などを口承する取組を行っています。

また、愛南町ではマダイの養殖やカツオの一本釣りが盛んです。そこで、天然マダイと養殖マダイの違いを実物のマダイを使って学んだり、実物の竿(さお)を使ってカツオの一本釣りを模擬体験したりする出前授業を、県内だけでなく、東京都等の都市部でも幅広く行っています。このような体験は子どもたちにとって「食」の意義を考えるきっかけになり、給食の残食率が大幅に低下したり、朝食を食べる率が増加したりといった効果も出ているとのことです。

こうした取組は採算が取りづらい上に効果も測りづらいため、継続することが難しいものではあります。しかしながら、子どもたちが大人になって親となったとき、この体験を思い出して今度は自分の子どもたちに伝える、そういった連続性を生み出す原動力となります。長い目で見たとき、その効果は現在の魚食普及や食育にとどまらず、日本の魚食文化の世代を超えた継承につながるなど、未来に向けても貴重なものとなるでしょう。


一緒に郷土料理を作って味わう
一緒に郷土料理を作って味わう
(写真提供:愛南町)
都内で天然マダイと養殖マダイの違いを説明
都内で天然マダイと
養殖マダイの違いを説明
(写真提供:愛南町)
 

事例:赤ちゃん時代から魚食の習慣を

赤ちゃんが人生で最初に食べる離乳食。その時期から魚に親しんでもらおうという取組も行われています。低脂肪で柔らかく、消化されやすい魚は、離乳食にうってつけの食材です。離乳食期は味覚が形成されるとともに、一生の嗜好(しこう)を決める大切な時期だといわれています。赤ちゃんのときから旬のおいしい魚に親しむことにより、魚食習慣が根付くことが期待されます。


1.離乳食のための魚の通販(三重県紀北町(きほくちょう)  (株)ディーグリーン)
離乳食のための魚の通販
(写真提供:(株)ディーグリーン)

三重県の(株)ディーグリーンでは、地元長島(ながしま)港と尾鷲(おわせ)港で水揚げされる旬の魚を使った離乳食と幼児食材の通販サービスを行っています。地元の旬の魚の中から、管理栄養士が離乳食向けの魚を選定。新鮮なうちにカットし、手作業で骨を取って、1食分ごとに真空包装し、離乳食や幼児食作りの負担を軽減する工夫をしています。特徴は皮付きのままの製品があることです。皮と身の間の脂はうまみがたっぷりで、脳の発達に必要だといわれるDHAやEPA等を豊富に含んでいます。皮はまだ食べられなくとも、身と皮を一緒に調理することでこれらの栄養素もとることができます。


2.「フィッシュスタート」の取組(長崎県長崎市)
「フィッシュスタート」の取組
(資料提供:長崎市)

長崎市では、地元のおいしい魚を赤ちゃんの頃から食べ、大好きになってほしいという思いから、魚食普及による市民の健康増進を目指す「魚のまち長崎応援女子会」と連携して、長崎の豊富で新鮮な魚を使った離乳食レシピ集を制作し、市の4か月児検診で配布する「フィッシュスタート」の取組を行っています。このレシピ集に掲載されたレシピの特徴は、大人の料理から材料を少しだけ取り分けて離乳食作りができることです。簡単かつ経済的で、時間のない子育て世代のニーズにぴったりマッチしています。また、「魚のまち長崎応援女子会」の協力の下、「おさかな離乳食教室」も開催し、広く普及に努めています。

 

○「魚の国のしあわせ」プロジェクト

「魚の国のしあわせ」プロジェクト

「魚の国のしあわせ」プロジェクトは、漁業者、水産関係団体、流通業者、食品製造業者、教育関係者、行政等、水産物に関わるあらゆる関係者による官民協働の取組として、平成24(2012)年8月に開始された魚食普及のための取組です。

このプロジェクトの下、水産物の消費拡大に資する様々な取組を行っている企業・団体を登録・公表し、魚食普及という共通の目的に向かい個々の活動の連携を図る「魚の国のしあわせ」プロジェクト実証事業を行っています。平成29(2017)年3月末までに114事業の取組が登録され、優良な取組は「魚の国のしあわせ」推進会議によって魚の国のしあわせ大賞実証事業部門として表彰されています。

また、全国各地で魚食文化の普及・伝承に努めている方々を後押しするため、水産庁長官による「お魚かたりべ」の任命も行われており、平成29(2017)年3月末までに140名の「お魚かたりべ」が任命されています。学校での出前授業や親子料理教室を開催するなどして、子どもやその家族に魚のおいしさを伝えるとともに、魚料理に関する書籍の出版やテレビ番組の企画、出演等、メディアを活用した一般消費者への日常的な魚食の普及など、様々な魚食普及活動を展開しています。

「ファストフィッシュ」

一般に調理が面倒だと敬遠されがちな水産物を、手軽・気軽においしく食べられるようにすることも魚食普及の一つです。電子レンジで温めるだけだったり、フライパンでいためるだけだったりと、ひと手間加えるだけで手軽においしく食べられるような商品及びその食べ方を選定する「ファストフィッシュ」の取組も「魚の国のしあわせ」プロジェクトの一環として行われています。これまでに3千を超える商品が「ファストフィッシュ」として選定され、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの売場に定着してきました。さらに、市場のニーズが多様化してきている中で、単に手軽・気軽というだけでなく、より個々のライフスタイルや嗜好に合う形の商品を提案することにより、魚の消費の裾野を更に広げていくことが期待されます。このため、子どもが好み、家族の食卓に並ぶ商品や食べ方を対象とする「キッズファストフィッシュ」、及び国産魚や地方独特の魚を利用した商品や食べ方を対象とする「ふるさとファストフィッシュ」というカテゴリーを平成28(2016)年度から新たに設け、従来の「ファストフィッシュ」と合わせて3つのカテゴリーで選定を行っています。平成29(2017)年3月末現在で、延べ3,243商品が「ファストフィッシュ」、6商品が「キッズファストフィッシュ」、46商品が「ふるさとファストフィッシュ」に登録されています。


○「プライドフィッシュ」の取組

新鮮な旬の魚を日常的に食べる機会を持たない消費者もいる中で、魚介類の本当のおいしさを消費者に伝えることは、魚食普及に不可欠です。全国漁業協同組合連合会では、平成26(2014)年度より、水産物の消費拡大に向けた取組として、地域ごと、季節ごとに漁師自らが自信を持って勧める水産物を「プライドフィッシュ」として選定・紹介する取組を始めました。全国各地のスーパーマーケットや百貨店でフェアやコンテスト等を開催するとともに、「プライドフィッシュ」を味わえるご当地の飲食店や購入できる店舗をインターネットにより紹介する取組も行っています。


コラム:第4回Fish−1グランプリ

年に1度の魚の祭典「Fish−1グランプリ」が、平成28(2016)年11月20日、国産水産物流通促進センターの主催により東京都内で開催され、全国各地の漁師自慢の旬の魚を使った「プライドフィッシュ料理コンテスト」と、国産魚を使った手軽・気軽に食べられる「国産魚ファストフィッシュ商品コンテスト」の2つのコンテストやステージイベント等が行われました。

「プライドフィッシュ料理コンテスト」では、60件以上の応募の中から予選を勝ち抜いた6団体による本選が行われ、来場者による投票の結果、淡水魚では初めて本選に出場した滋賀県漁業協同組合連合会(滋賀県漁業協同組合連合会青年会)の「天然ビワマスの親子丼」がグランプリを獲得しました。同会は、琵琶湖(びわこ)の固有種であるビワマスを通じて、琵琶湖や滋賀県の食べ物のおいしさを消費者に知ってほしいという思いから、生のビワマスやお米、水を運んだそうです。グランプリ取得をきっかけに、食べてみたいという消費者の声や、取り扱いたいという飲食店の要望が増加しています。

また、「国産魚ファストフィッシュ商品コンテスト」では、静岡県伊東(いとう)港で水揚げされた新鮮なサバのすり身を使用した「いとうナゲット」がグランプリを獲得しました。「いとうナゲット」は魚独特の臭みがなく、地元や県外の学校給食にも採用されるなど、子どもたちに大変人気の商品です。

サケに触れる子どもたち
サケに触れる子どもたち

一方、ステージでは、地元水産物の普及活動を行う水産・海洋高校生による発表や東日本大震災からの復興PR、さかなクントークショーに加え、平成27(2015)年度魚の国のしあわせ実証事業部門最優秀賞を受賞した水産卸売業者の(株)昭和による「親子お魚教室」が行われました。親子お魚教室では、ステージ上に親子連れが招かれ、サケに関するクイズや実物のサケを用いた観察等に挑戦しました。「しっぽの形が違う」と雌雄の違いに気がついたり、「初めて触った」と感動したりと、普段、大きな丸ごとの魚を目にする機会のあまりない子どもたちは目を輝かせていました。

Fish−1グランプリは、魚の本当のおいしさを伝えたり、新たな食べ方を提供したり、子どもの頃から魚に親しむ機会をつくったりと、魚食普及には様々なアプローチの仕方があることを教えてくれる祭典です。こういった様々な関係者による活動の積み重ねが、いつか大きな成果となって現れ、水産物の消費拡大につながっていくことが期待されます。


天然ビワマスの親子丼
天然ビワマスの親子丼
(写真提供:全国漁業協同組合連合会)
「プライドフィッシュ料理コンテスト」の受賞者
「プライドフィッシュ料理コンテスト」の受賞者
(写真提供:全国漁業協同組合連合会)
いとうナゲット
いとうナゲット
(写真提供:全国漁業協同組合連合会)
 

○小売現場での国産魚介類の販売の取組

かつては、街の魚屋さんが魚介類の旬や産地、おいしい食べ方等を消費者に教え、調理方法に合わせた下処理のサービス等も提供して人々の食生活を支えていましたが、鮮魚専門の小売店の数は減少し、消費者の多くはスーパーマーケット等の量販店で魚介類を買うことが多くなっています。大手量販店を中心とする流通では、定量・定時・定規格・定価格での供給が重要とされますが、我が国の国産水産物は、沿岸漁業を中心として、魚種構成やサイズが多様である上、生産量も日により変化します。こうしたことも背景として、量販店の店頭には安定供給が可能な冷凍輸入品が多く並ぶ状況になっています。

しかしながら、南北に長い海岸線を有し、世界でも有数の好漁場に恵まれた我が国では、多種多様な魚介類が水揚げされます。また、四季がはっきりしており、それぞれの魚種ごとに旬もあります。それらが安定供給や規格の面では不利に働きますが、一方で、旬の魚を食べることで季節を感じ、同じ魚でも調理の仕方で食感や風味も変わるなど、食の楽しみにもつながります。そこで、近年では、特色ある売場づくりを目指す地域の食品スーパー等において、国産魚介類の販売拡大を目指した取組が成果を上げる例が出てきています。また、消費者は食べ方が想像できないとなかなか商品を買ってくれないことから、魚介類の調理に詳しい人が店頭に立って、消費者との対面販売を試みたり、地産地消をスローガンに、地域の新鮮な魚介類を提供する曜日を設けたりしているところもあります。こういった様々な関係者による魚食普及の取組が、私たちが健康で豊かな食生活を送る一助となることが期待されます。


事例:都会の新しい魚屋さん(東京都  sakana bacca(サカナバッカ))

都会の新しい魚屋さん1
(写真提供:(株)フーディソン)

都会の新しい魚屋さん2
(写真提供:(株)フーディソン)

魚屋さんときくと「鉢巻きを巻いてゴムエプロンをかけた大将が威勢の良い声でお客さんを呼び込んでいる」というようなイメージがあります。ところが、そのようなイメージを覆すような鮮魚店が注目を集めています。その店の名は「sakana bacca」。「産地のおいしい水産品をもっと楽しく」をモットーに、平成26(2014)年12月に1号店をオープンさせて以来、東京都内に6店舗を展開しています。カフェかインテリアショップを思わせるような店内に、様々な魚が丸ごと陳列され、まるで海外のマルシェのようです。

「sakana bacca」ではITを駆使して各地で獲れる魚をデータ化し、価格決定とマッチングを即時に行い、集荷・分荷、決済を簡略化することで、産地からの商品の迅速な調達を可能にしました。産地から直送されてくる魚は、獲れた翌日には店頭に並ぶような体制を整えています。

また、独自の商品開発も手掛けており、小さくて骨が多いことから需要の少ないコノシロを生ハムやスモークにして売るなど、市場価値の低い魚を加工して付加価値を生み出す取組も行っています。

このようにお店のデザインや経営システムは斬新な一方で、販売する際には従来の魚屋さんのように消費者との対話を重視しています。初めて目にするような魚もたくさん並ぶ中で、消費者はそれぞれの魚に合ったさばき方や調理方法等を店員に教えてもらい、店員は消費者の注文に応じて魚を提供します。そして、その対話の中で得られた消費者の声を産地へフィードバックすることで、消費者の求める魚を生産者から「sakana bacca」に送ることを可能にしています。

 

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