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水産庁

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(4)漁村の活性化


四季折々の新鮮な水産物、豊かな自然環境、特徴的な加工技術、伝統文化、親水性レクリエーションの機会等、漁村は様々な地域資源を有しています。漁村の活性化のためには、それぞれの地域が有する地域資源を見つけ出して最大限に活用していくことが重要であり、各地では、水産加工や直売等の6次産業化、体験漁業や漁家民宿等の都市漁村交流等、様々な取組が行われています。こうした取組が、地域における雇用の創出や漁家所得の向上だけでなく、生きがい・やりがいの創出や地域の知名度の向上等を通して、地域全体の活性化につながることが期待されます。

地域資源の活用に当たっては、どのような地域資源が存在するのか、また、都市部からのアクセスのしやすさや地元の人口規模などの地理的条件はどうかといったそれぞれの地域の特性を把握した上で、具体的な取組内容を選定することが求められます(図2−4−5)。また、取組内容に応じ、水産加工業や流通業、外食産業、観光業等、関連産業との連携を図っていくことも重要です。

平成28(2016)年3月に決定された「明日の日本を支える観光ビジョン」においては、美しい農山漁村において日本の自然や生活を体感し満喫してもらうため、滞在型農山漁村の確立・形成を推進していくことが位置付けられました。国では、このことに基づき、漁村地域において伝統的な生活体験や地域の人々との交流を楽しむ「渚泊」を、持続的に観光ビジネスとして推進することができる体制づくりや、漁業体験施設等の整備を支援していくこととしています。

さらに、地域の漁業所得向上を目指して行われている「浜の活力再生プラン」及び「浜の活力再生広域プラン」の取組により、漁業振興を通じた漁村の活性化が図られることも期待されます。


図2-4-5 漁村の特性と取組例

事例:高校生水産会社が6次産業化にチャレンジ!(新潟県糸魚川市(いといがわし)  シーフードカンパニー能水商店(のうすいしょうてん))

高校生が低利用だったサケを活用して、6次産業化に取り組んでいます。新潟県糸魚川市内を流れる川に遡上するサケは、急峻(きゅうしゅん)な流れを遡る中で体力を消耗し、脂が落ちていきます。このため、従来はイクラのみが珍重され、魚体の多くが廃棄されてきました。糸魚川で最後を迎えるサケを大切に使いたいとの思いから、新潟県立海洋高校では食品研究部の部員を中心として生徒たちがこのサケを利用した商品開発に取り組み、鮭魚醤「最後の一滴」を開発しました。脂の抜けたサケは、癖のない豊かなコクを持つ魚醤へと生まれ変わったのです。

同校では、これまでも地元の水産資源を活用して商品開発を行っていましたが、商品化については市内の加工業者に依頼していました。しかし、このサケ魚醤の販売を通じてキャリア教育と地域振興を推進するため、平成27(2015)年4月に、同校、糸魚川市及び同窓会が連携して「シーフードカンパニー能水商店」を立ち上げ、生徒らが製造から販売までを一貫して行う体制を整えました。生徒たちは、「水産流通」や「総合実習」の科目実習として、販売やマーケティングにも積極的に取り組み、地元の観光施設のほか、県外の小売店やインターネットを通じた販売も行っています。さらに、海外での販売を目指して活動し、市場調査に挑戦しているところです。

高校生が商品開発、製造からマーケティングに至る企業活動を学ぶ絶好の場ともなるこの活動は、内閣官房及び農林水産省が選定する「第3回ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の優良事例に選定されました。


鮭魚醤「最後の一滴」と生徒によるびん詰め作業
鮭魚醤「最後の一滴」と
生徒によるびん詰め作業
(写真提供:新潟県立海洋高等学校)
ペナンハラルエキスポでのPR活動
ペナンハラルエキスポでのPR活動
(写真提供:新潟県立海洋高等学校)
 

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