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水産庁

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(2)資源状況の把握

(計量魚探の活用)

水産資源の資源状況を把握する一連の過程を資源評価と呼びますが、資源評価は資源を適切に管理し、漁業を持続的に行う上で非常に重要です。資源状況が悪ければ、漁獲を調整することにより資源状況を回復させ、また、資源状況が良ければその状況を維持できるよう適切に漁獲する必要があるからです。資源評価を実施する上で基礎となる情報が、漁業によって得られる漁獲量等のデータです。

一方、漁業から得られる情報にはいくつかの制約があり、例えば漁場以外の海域における情報や、漁獲対象となるサイズ以外の情報については基本的に入手できません。また、禁漁措置が取られた場合には、漁業からは情報が原則入手不可能となります。そのため、調査船による調査を実施することによって、漁業とは独立した情報を収集しています。近年、資源評価に関する調査船調査として、魚群探知機(魚探)調査が行われています。

魚探調査は、計量魚探と呼ばれる高性能の魚探を用いて対象種の資源量等を推定する調査です。魚探は、船から水中に向けて超音波パルスを発射し、魚群や海底等から跳ね返ってきたエコーの反射強度を受信・測定するシステムです。しかしながら、反射強度のみからは魚群を構成する魚の種類や個体数は分かりません。そこで、魚探によって魚群が見つかった場合には、魚群の一部をトロール網等によって漁獲し、魚群を構成する魚の種類と体長分布を調べます。それらが分かれば、魚群中の「魚1個体当たりの反射強度(ターゲットストレングス:TS)」の平均値が求められるため*1、魚群全体から跳ね返ってきた反射強度の総量を除することによって、魚群に含まれる魚の平均個体数密度が分かります。魚探調査は、この魚探を稼動しながら、調査海域内に設けられた複数の定線上を航走することによって、各定線下における対象種の分布密度を求め、それを基に資源量等を推定します。

  1. TSについては、予め室内実験等により、魚種ごとに体長とTSの関係式が求められているため、その式に観測された魚種の体長分布を当てはめることによってTS分布に変換し、それから各魚群の平均TSを算出する。