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水産庁

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(1)「獲る道具」の技術から「海を把握する」技術へ

これまでみてきたように、我が国の漁業は、明治期以降、欧米の技術を学びながら、魚をどうやって獲るか、そして船上でどのように扱うのかということについて、効率性、安全性等を追求して技術を発展させてきました。漁船の動力化やそれに伴う大型化、漁具素材の耐久性の向上、冷凍技術等による水産物の長期保存の実現など、魚を多く獲り、流通させるための「道具」を発展させてきたともいえます。

一方で、直接見ることができない魚をどこで獲るのかという判断は、かつては、専ら漁業者の勘と経験によるものでした。

海の状況を把握することによって漁業の効率化を図るという考え方は100年以上前からあり、従来から海洋観測を続けてきましたが、通信機器の技術が発展し、海中にセンサーを入れて水温等を把握したり、人工衛星が取得する情報を利用して海洋の状況をリアルタイムで把握したり、更には予測したりする技術が進み、海洋の状況をより的確に把握することができるようになりました。

また、魚群探知機等の開発を含め、魚がどこにいるのか、あるいは海洋の状況から魚がいる場所をいかにして推測するのかといった技術開発が次第に進んできました。インターネットやコンピューターが普及した近年は、IoTやAIを活用して、例えば、現在の海洋情報と過去の漁場・漁獲データとを組み合わせ、魚のいる海域や漁獲量を予測するといった技術の開発も始まっています。いわば、「海を把握する」技術の開発がより進展していくと考えられます。

このように、従来から漁業者が培ってきた漁業現場での勘と経験に、このような技術が加わることにより、従来にも増して効率的な操業が可能になっていくと考えられます。