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水産庁

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(1)世界の漁業・養殖業生産

(漁業・養殖業生産量の推移)

世界の漁業・養殖業を合わせた生産量は増加し続けています。平成28(2016)年の漁業・養殖業生産量は前年より2%増加して2億224万トンとなりました(図2-3-1)。このうち漁船漁業生産量は、1980年代後半以降は横ばい傾向となっている一方、養殖業生産量は急激に伸びています。

図2-3-1 世界の漁業・養殖業生産量の推移

海面漁船漁業,内水面漁船漁業,海面養殖業,内水面養殖業の生産量の年次推移を示した図。漁船漁業は横ばい傾向が続いているが、養殖業は増加が続いている。

漁船漁業生産量を主要漁業国・地域別に見ると、EU、米国、我が国等の先進国・地域の漁獲量は過去20年ほどの間、おおむね横ばいから減少傾向で推移してきているのに対し、中国、インドネシア、ベトナムといったアジアの新興国をはじめとする開発途上国による漁獲量の増大が続いており、中国が1,781万トンと世界の19%を占めています。

また、魚種別に見ると、ニシン・イワシ類が1,554万トンと最も多く、全体の28%を占めていますが、多獲性浮魚類は環境変動により資源水準が大幅な変動を繰り返すことから、ニシン・イワシ類の漁獲量も増減を繰り返しています。タラ類は1980年代後半以降から減少傾向が続いていましたが、2000年代後半以降から増加傾向に転じています。マグロ・カツオ・カジキ類、イカ・タコ類及びエビ類は、長期的にみると増加傾向で推移しています(図2-3-2)。

図2-3-2 世界の漁船漁業の国別及び魚種別漁獲量の推移

漁船漁業の国別(中国,インドネシア,EU(28か国)インド,米国,ロシア,ペルー,日本,ベトナム,その他),魚種別(ニシン・イワシ類,タラ類,マグロ・カツオ・カジキ類,イカ・タコ類,エビ類)の漁獲量の年次推移を示した図。国別では、中国,インドネシア,ベトナムなどで増加している。魚種別では、タラ類が近年増加し、マグロ・カツオ・カジキ類,イカ・タコ類及びエビ類が長期的に増加している。

一方、養殖業生産量を国別に見ると、中国及びインドネシアの増加が顕著であり、中国が6,372万トンと世界の58%、インドネシアが1,662万トンと世界の15%を占めています。

また、魚種別に見ると、コイ・フナ類が3,054万トンと最も多く、全体の28%を占め、次いで紅藻類が1,847万トン、褐藻類が1,051万トンとなっており、近年、これらの魚種の増加が顕著となっています(図2-3-3)。

図2-3-3 世界の養殖業の国別及び魚種別生産量の推移

養殖業の国別(中国,インドネシア,インド,ベトナム,バングラデシュ,フィリピン,韓国,エジプト,EU(28か国),豪州,ノルウェー,日本,その他),魚種別(コイ・フナ類,紅藻類(ノリ等),褐藻類(コンブ等),ティラピア類,カキ類,アサリ・ハマグリ類,エビ類,サケ・マス類)の生産量の年次推移を示した図。国別では、中国,インドネシアで増加が続いている。魚種別では、コイ・フナ類,紅藻類,褐藻類で増加が続いている。

(世界の水産資源の状況)

FAOは、世界中の資源評価の結果に基づき、世界の海洋水産資源の状況をまとめています。これによれば、持続可能なレベルで漁獲されている資源の割合は漸減傾向にあります(図2-3-4)。昭和49(1974)年には90%の水産資源が適正レベル又はそれ以下のレベルで利用されていましたが、平成25(2013)年にはその割合は69%まで下がってきています。これにより、過剰に漁獲されている資源の割合は、10%から31%まで増加しています。また、世界の資源のうち、適正レベルの上限まで漁獲されている資源は58%、適正レベルまで漁獲されておらず生産量を増大させる余地のある資源は11%に留まっています。

図2-3-4 世界の資源状況

資源状況について「適正又は低・未利用状態の資源」,「満限利用状態の資源」,「過剰利用又は枯渇状態の資源」の年次推移を示した図。前者2つを合わせた持続可能なレベルにある資源が漸減傾向にあり、平成25年で69%になっている。

(世界の漁業生産構造)

FAOによれば、平成26(2014)年には、世界で漁業・養殖業の従事者は約5,700万人でした。このうち、3分の2に当たる約3,800万人が漁船漁業の従事者、約1,900万人が養殖業の従事者です(図2-3-5)。過去、漁業・養殖業従事者は増加してきましたが、近年は横ばいで推移しています。

図2-3-5 世界の漁業・養殖業従事者数の推移

漁業者,養殖業者の年次推移を示した図。いずれも増加してきたが、近年はいずれも横ばい傾向となっている。