水産庁公式ブログ「アワビのステーキ食べてみたいよね」2022年2月
【2月21日 魚の呼吸法】
「呼吸法」と聞くと、今大人気の「鬼滅の刃」の「全集中の呼吸」をイメージするかもしれないが、
私は鬼滅の刃に出てくるような「剣士」ではなく、単なる「市民ランナー」なので、呼吸法といえばランニング時にいかに苦しまないようにするかである。
呼吸法は、肋骨(ろっこつ)を動かす「胸式呼吸」と、横隔膜(おうかくまく)を動かす「腹式呼吸」に大きく分けられるが、ランニングに向いているのは深く呼吸できる腹式呼吸である。
同様に心がけているのは、口呼吸ではなく鼻呼吸である。
これは鼻呼吸の方が多くの酸素を取り込むことができるとともに、ごみが体に入ることや喉の乾燥を防ぐといったメリットもある。
さて、我ら水産庁職員が愛する魚は「えら呼吸」であり、ご存じの通り空気中の酸素を直接取り込むことはできない。
ところが、子供の頃、飼っていた金魚が水面近くに集まって口をパクパクしている姿を何度も見たことがある。
子供心ながら、「もしかしたら金魚は空気を吸っているのではないか?」と疑問に思い、後にこれについて調べたことがある。
この行動、実は「水面呼吸」と呼ばれるもので、酸素不足に対処するための魚の呼吸法の一つである。
ただ、これは空気中の酸素を吸っているのではない。水の表面と空気が接する部分では空気中から酸素が溶け込むため、
水面直下の層には魚の呼吸に必要な酸素が十分存在しており、金魚はまさにこれら酸素を必死に取り入れていたのである。
今にして思えば、飼っていた金魚が水面でパクパクしていたのを漠然と眺めていたが、
この事実を知った時、「そういえば、エアレーションを付けていなくてごめんなさい。」と今更ながら謝ったものである。
それだけではない。さらに調べていくと、驚くべきことに魚にも空気中の酸素を吸収する「空気呼吸」ができるものがいた。ドジョウである。
(出典:農林水産省 うちの郷土料理「ドジョウのけんちんじる」 )
ドジョウも通常は「えら呼吸」なのだが、水中の酸素が足りなくなると水面まで上がり、なんと水面上の空気を吸うのである。
空気を腸に取り込んで呼吸をするので「腸呼吸」とも呼ばれている。
加えて、ドジョウは冬眠のため泥に潜っている時は皮膚でも呼吸するそうだ。
まさに、様々な呼吸法を身に付けた呼吸の達人である。
その事実を知ってから、私はドジョウを敬いながら、故郷福岡の柳川鍋(ドジョウを使った鍋料理)を食べるのである。
(出典:農林水産省 うちの郷土料理「柳川なべ」 )
水中でしか暮らせない魚だからこそ、死活問題となる酸素不足への対処も様々である。呼吸法の一つをネタにしても、やはり魚は奥が深い。
ということで、私は今日も魚に負けまいと、苦しい時は腹式呼吸で必死に酸素を取り込みながらランニングに励むのである。
【2月14日 佃煮の世界~ 佃煮百景31品目-35品目】
水産庁職員は仮の姿、佃煮エージェントKがお送りする「佃煮の世界」!
今回は「佃煮百景」!(過去の佃煮百景はこちら)
宮城県、富山県、滋賀県の佃煮をご紹介します。
31品目~35品目を一気にどうぞ!
31品目「青のり佃煮」
商品名:青のり佃煮
食 材:ヒトエグサ、スサビノリ
製造元:(株)横田屋本店(宮城県 気仙沼市)
購入金額:540円
コメント:冬季に三陸で養殖される青のり(ヒトエグサ)を使った佃煮。
トロリと柔らかく、甘口に仕上がっています。
青のりの風味豊かでご飯に合います!
32品目「白えびのり」
商品名:白えびのり
食 材:白えび(富山県産)、ヒトエグサ、アオサ
製造元:トナミ醤油(株)
購入金額:702円
コメント:富山県の醤油屋さんが丁寧に仕上げた佃煮です。
醤油、磯の香り、白えびの風味が絶妙に合わさった逸品。
ご飯はもちろん、ちょっとずつ舐めながらお酒を嗜むのもおすすめです!
33品目「若鮎」
商品名:若鮎
食 材:鮎(琵琶湖産)
製造元:松井網元商店
購入金額:810円(鮎佃煮セット)
コメント:琵琶湖産の鮎を甘辛く炊いた佃煮。
ほろ苦さと甘辛さがマッチした逸品。
一匹丸ごとなので食べ応えもあります!
34品目「鮎のごま衣」
商品名:鮎のごま衣
食 材:鮎(琵琶湖産)
製造元:松井網元商店
購入金額:810円(鮎佃煮セット)
コメント:鮎にごまが塗されている佃煮です。
ごまの香ばしさとカリっとした鮎が抜群に合います。
食感が楽しく止まりません!
35品目「若鮎山椒」
商品名:若鮎山椒
食 材:鮎(琵琶湖産)
製造元:松井網元商店
購入金額:810円(鮎佃煮セット)
コメント:鮎と山椒の佃煮です。
ピリっとした山椒と甘辛く炊かれた鮎がピッタリ。
山椒がアクセントとなり、おかずにもおつまみにも止まりません!
いかがでしたでしょうか。
地域によって様々な種類の佃煮があり楽しいです!
次回の佃煮の世界もお楽しみに!
いつもの食卓に佃煮はいかがでしょうか。
【2月4日 フロンティア漁場整備事業~保護育成礁編~】
前回は「フロンティア漁場整備事業」で実施している整備漁場の内
「マウンド礁」について紹介しました。(前回の「マウンド礁」編はこちら)
今回はもう一つ実施している「保護育成礁」についてご紹介したいと思います!
まずおさらいですが、水産庁では魚を増やして安定して供給できるようにしたり、魚を集めて漁業を効率的に行ったり、
または獲りすぎないように保護をして将来を見据えて漁業を行えるようにするなど
様々な目的に応じて魚礁や増殖場といった構造物を、石材やコンクリート、鋼材等の適した材料を用いて製作し設置しています。
その内、国が排他的経済水域において水産物を増やす事を目的に行っているのが「フロンティア漁場整備事業」です。
今回紹介する「保護育成礁」は、兵庫から島根の3県にまたがった日本海西部沖の海域で整備を実施しています。
具体的には2km×2kmの範囲に魚たちの隠れ場となる鉄筋コンクリート製の魚礁ブロックや鋼材で製作された鋼製魚礁を配置して、
保護を行おうとしているアカガレイやズワイガニが住みやすい環境を作っており、現在までに27群を整備しています。
更に、この海域で漁業を行っている漁業者の方たちが、整備した範囲では操業しないことなどを取り決め、アカガレイやズワイガニの資源を守っています。
こういった取り組みを行うと、親魚や親ガニが保護育成礁の中で過ごしやすくなることで卵がたくさん産まれるので、稚魚や稚ガニが増えていきます。
そうして保護育成礁の中のアカガレイやズワイガニが増えて成長していくと狭くなっていくので、保護育成礁から外へしみ出し、それらを漁業者の方が漁獲していきます。
こういう取り組みを行うことによって持続的に漁業を行える仕組みです。
こうした整備をすることにより、どの程度効果が出ているか調査を行っていますが、
漁獲調査の結果、保護育成礁の中は外と比べてズワイガニが生息している密度が約2倍になっていることが確認されています。
また、ROVという遠隔操作型の無人潜水機で海中の様子を確認すると、保護育成礁内において親ガニや稚ガニが多数生息し、
魚礁ブロックの表面にウミシダ類やエビ類、海底上にはクモヒトデといった、ズワイガニやアカガレイの餌となる生物も多数生息していることが確認されています。
操業する漁業者の方からは、ズワイガニ、アカガレイだけでなく、バイ貝やエビ類も増加しているなど、いろいろな効果が上がっているとの声もあります。
水産庁では、国民の皆様に安定して水産物を食べて頂くため、こうした取り組みを、これからも継続して行いたいと思っています。
お問合せ先
漁政部漁政課広報班
担当者:松田、北岡、若山
代表:03-3502-8111(内線6505)
ダイヤルイン:03-3502-7987
FAX番号:03-3502-8220