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サンゴ礁の働きと現状


sango

サンゴ礁は、生物多様性の保全上、特に重要な生態系であるといえます。 世界のサンゴ礁の総面積は60万km2。地球表面のわずか0.1%に過ぎませんが、確認されている生物種は9万種をこえています。サンゴを中心とした生物が長い間かかってつくった地形がサンゴ礁です。周辺では昔から漁業も営まれ、人々の生活と深いかかわりが育まれてきました。

 

さまざまなサンゴ礁の役割

  1. 多様な生物を共存可能にする機能
  2. 防災機能
  3. 二酸化炭素の循環機能
  4. 保養・学習の場

 

サンゴ礁の種類

サンゴ礁地形ができることにより、波の強い外海と白波が砕ける砕波帯、その内側の波の穏やかな海域というように、細分化した様々な環境によって、多様な生物群集がサンゴ礁には生息しています。サンゴ礁の地形は、サンゴ礁の生物の多様性を支えています。 サンゴ礁はその立地・形状から概ね3つのタイプに分けられます。

裾礁(きょしょう)  海岸に接して発達したサンゴ礁。浅い礁池をもつことが多く、日本のサンゴ礁は大部分がこのタイプ。
堡礁(ほしょう)    陸地とサンゴ礁の間に深さ数10mの浅い海(礁湖:ラグーン)を挟んだ沖合に発達したサンゴ礁。
環礁(かんしょう)  大洋にリング状に発達し、内部に深い礁湖があるサンゴ礁。
 

サンゴ礁の現状

サンゴ礁を取り巻く状況は近年において大きく変化しています。

世界のサンゴ礁の58%が潜在的に私たち人間の活動(沿岸開発、生物資源の乱獲、海洋汚染、森林伐採や農地開発に起因する表土の流出など)によって脅かされているという調査報告もあります。また、温暖化等による大規模な白化現象や、台風によるサンゴ礁の破壊、食害動物による被害などもサンゴを死滅させる原因となり、サンゴ礁の存亡は国内でも各地で深刻化しています。

 

白化現象

サンゴの白化現象は、サンゴ礁の衰退を招く大きな原因の一つとされています。白化現象とは、造礁サンゴに共生している褐虫藻が失われることで、サンゴの白い骨格が透けて見える現象です。白化した状態が続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取ることができず、壊滅してしまいます。

サンゴの白化の原因は、温暖化等による海水温の上昇と考えられています。大規模な白化現象は1980年代以降急激に増加し、特に1997年から1998年にかけての世界的な海水温の上昇によって、それまでに例をみない大規模な白化現象が起こって世界中のサンゴ礁が大きな打撃を受けました。

 

オニヒトデによる食害

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ナマコやウニと同じ棘皮動物の1種であるオニヒトデは、サンゴの生息する低緯度の海域に分布しています。サンゴを好んで食べるため、オニヒトデの大量発生が繰り返されることで、サンゴ礁は危機的な被害を受けるに至ります。

1950年代後半から1990年代中頃にかけて、沖縄島、宮古島、八重山諸島など各地でオニヒトデの大量発生し、サンゴ礁が被害を受けました。その後、オニヒトデの密度は正常化しサンゴ礁の回復もみられましたが、1996年に再び沖縄島恩納村の沿岸に高密度でオニヒトデが発生、漁業者が約18万尾を駆除しました。1983年以来、最多の駆除数だったといいます。

近年、奄美群島などでは再びオニヒトデが大量発生し、現在、緊急にその対策が求められています。