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水産庁

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水産業・漁村地域の活性化を目指して―平成30(2018)年度農林水産祭受賞者事例紹介―

天皇杯受賞(水産部門)

産物(水産加工品)
有限会社 西尾にしお商店(代表:西尾にしお 公伸きみのぶ 氏)

静岡県は、削り節に携わる企業が多く、明治時代に広島県で製造された1台の削り節製造機が蒲原かんばらに運ばれ、そこから静岡県の削り節産業が盛んになったと言われています。

その1台の削り節製造機を導入した会社が(有)西尾商店です。

いわしの削り節は、静岡県では静岡おでんや富士宮ふじのみややきそばなどのトッピングに欠かせないものであり、蒲原やその周辺地域では、毎日食べるごはんやおかずのトッピングとして100年経った今も庶民に愛されています。

(有)西尾商店のこだわりは、製品の「品質と技術」、そしてそれを基にした削り節やだし文化を後世に伝え残すことです。

いわし削り節の原料となるカタクチイワシやウルメイワシの煮干しは、削り節に最適な品質のものを時期及び地域等を厳選して確保し、雑味が出る部分を内臓以外全て手作業で取り除き使用しています。

また、切削せっさくする工程では、ふんわりとした食感と良好な旨味・風味を引き出すため、原料や天候等を考慮しながら、独自開発した専用の削り機の刃を1日に数回加工し、より薄く均一に削り出すような工夫を施して、年間を通じて良質で安定した品質の削り節を生産しています。

また、消費者向けに「だしの魅力を伝えるスクールスタイルの体験プログラム」(だしの学校)を実施するなど、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」の基本であるだし文化やその良さを広く発信する取組を行っています。

有限会社 西尾商店の写真

内閣総理大臣賞受賞(水産部門)

産物(水産加工品)
焼津やいづ冷蔵株式会社(代表:原﨑はらざき 太輔だいすけ 氏)

静岡県焼津市は、静岡県の中部に広がる志太平野の南部に位置し、温暖な気候で大井川を水源とする豊かな水など自然条件に恵まれています。

また、節類や練り製品、冷凍食品など、県内有数の加工品生産高を誇っており、100年以上も続くといわれる焼津の塩鯖製品は、伝統品として全国から高い評価を得ています。

昭和41(1966)年創業の焼津冷蔵(株)は、国産原料にこだわった鯖、鰻、穴子の加工品の製造・販売をしています。

受賞品である「静岡茶しめさば」は、静岡県内の農業協同組合が平成25(2013)年から栽培しているサンルージュ茶を使用して製造された農商工連携の商品です。

原料のマサバは、脂質・身質・鮮度を重視して、良質なものが漁獲される特定の漁場の限られた期間のものを厳選し、かつ、年間を通じて高品質な原料を安定的に確保するようにしています。

「静岡茶しめさば」は、魚の素材が持つ美味しさを残しつつ、サンルージュ茶の特性を生かした製造方法により消臭効果やきれいな発色が得られており、かつ添加物を使用せず、食感を考慮して薄くスライスするなど、子供にも食べやすく仕上げており、魚食文化を継承するコンセプト商品として注目されています。

焼津冷蔵株式会社の写真