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水産庁

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2 加工・流通・消費・輸出に関する施策の展開

(1)加工・流通・消費に関する施策の展開

ア 多様な消費者ニーズ等に応じた水産物の供給の取組

1) 国産水産物の流通・輸出の促進と消費拡大を図るため、水産加工事業者等向けの現地指導やセミナー等の開催、加工原料を新たな魚種に転換する取組や単独では解決が困難な課題に連携して対処する取組、輸出を促進する取組に必要な加工機器等の導入等を支援します。

2) 生産者、水産関係団体、流通業者及び行政等、官民の関係者が一体となって消費拡大に取り組む「魚の国のしあわせ」プロジェクトを引き続き推進するとともに、地産地消など各地域のニーズに応じた水産物の供給のため、地域の学校や観光分野(郷土料理、漁業体験、漁家民宿など)等とも連携を図ります。

3) 漁業者・漁業者団体が自ら取り組む6次産業化や、漁業者が水産加工・流通業者等と連携して行う農商工連携等の取組について、引き続き支援します。

4) 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける魚種について、漁業者団体等が一時的に過剰供給分を保管する際の取組を支援します。また、インバウンドの減少や輸出の停滞等により、在庫の停滞及び価格の低下が生じている国産水産物等について、業界団体等が行う販売促進の取組を支援します。

イ 加工・流通・消費の各段階での魚食普及の推進への取組

1) 一般消費者向けに、国産水産物の魅力や水産政策の情報発信をするための全国規模の展示・発表会の開催を支援します。

2) 流通事業者向けに、水産物の知識や取扱方法等を伝えるため広域的な研修会等の開催を支援します。

3) 魚食普及に取り組む者向けに効果的な魚食普及活動や学校給食関係者等向けに学校給食での国産水産物の利用を促進するためのノウハウを提供する等の広域的セミナー等の開催を支援します。

4) 水産物の安全性に関する情報を分かりやすく紹介したWebサイトの運営や水産物を含む食品の安全に関する情報のメールマガジンによる配信など、インターネットを活用した情報提供の充実を図ります。

5) 食品表示に関する規定を一元化した「食品表示法」(平成25(2013)年法律第70号)に基づき、関係府省庁の連携を強化して立入検査等の執行業務を実施するとともに、産地判別等への科学的な分析手法の活用等により、効果的・効率的な監視を実施します。また、平成29(2017)年9月に改正された「食品表示基準」(平成27(2015)年内閣府令第10号)に基づく新たな加工食品の原料原産地表示制度については、引き続き、消費者、事業者等への普及啓発を行い、理解促進を図ります。

6) 農林水産省本省や地方農政局等における「消費者の部屋」において、消費者からの農林水産業や食生活に関する相談を受けるとともに、消費者への情報提供を通じて、水産行政に対する消費者の理解を促進します。

ウ 産地卸売市場を含めた加工・流通構造の改革

1) 「食品流通構造改善促進法」(平成3(1991)年法律第59号)に基づき、食品等の流通の合理化を図る取組を引き続き支援するとともに、食品等の取引の適正化のため、取引状況に関する調査の結果を基に、関係事業者に対する指導・助言を実施します。また、令和2(2020)年6月の「卸売市場法」(昭和46(1971)年法律第35号)の改正法施行に向け、卸売市場における取引ルール等の議論を促進します。

2) 生産者・流通業者・加工業者等が連携して水産物バリューチェーンの生産性の向上に取り組む場合には、連携体制の構築や取組の効果の実証を支援します。

また、漁業者においても漁獲「量」から販売「額」へ意識を転換するとともに、浜全体でマーケットインの発想に基づく取組を行うこと等を推進することにより、漁獲物の付加価値向上と所得向上を図ります。

3) 「水産加工業施設改良資金融通臨時措置法」(昭和52(1977)年法律第93号)に基づき、水産加工業者が行う新製品の開発や新技術の導入に向けた施設の改良等に必要な資金を融通する措置を講じます。

4) 漁業生産の安定・拡大、冷凍・冷蔵施設の整備、水揚げ集中時の調整保管による供給平準化等を通じ、加工原料の安定供給を図ります。

5) 全国の主要漁港における主要品目の水揚量、卸売価格、用途別出荷量や、水産物の在庫量等の動向に関する情報の収集・発信を行うとともに、水産物流通について調査・検討を行います。

6) 品質・衛生管理の強化、ICT等の活用、産地市場の統合・重点化、新たな販路の拡大、トレーサビリティの充実などを推進します。

水産物の流通コストの低減と水産物の高付加価値化を進めるため、産地市場の統合に向けた漁港機能の再編整備を推進します。

エ 水産エコラベルの推進

我が国の水産物が持続可能な漁業・養殖業由来であることを消費者に伝えていく水産エコラベルについて、トレーサビリティ確保の観点を含め、国際取引を含めた水産エコラベルの活用による国産水産物の消費拡大を図るため、国内外の認知度の向上や認証取得の促進に向けた官民連携の取組を引き続き推進します。

オ 漁業とともに車の両輪である水産加工業の振興

個々の加工業者だけでは解決困難な課題に対処するため、産地の水産加工業の中核的人材育成に必要な専門家の派遣、研修会開催等を支援します。また、関係機関や異業種と連携して課題解決に取り組むための計画の作成のほか、計画を実行するための取組について支援します。 また、関係道府県に設置された、水産加工業者向けワンストップ窓口等を通じて、水産施策や中小企業施策等の各種支援策等が水産加工業者に有効に活用されるよう、適切に周知します。

(2)我が国水産物の輸出促進施策の展開

ア 国内生産体制の整備の取組

安定した養殖生産の確保や適切な資源管理等により国内生産体制の整備を行います。

イ 海外市場の拡大のための取組

海外市場の拡大を図るため、早期の成果が見込める販売促進活動等を支援します。

農林水産物・食品のブランディングやプロモーション等を行う組織として平成29(2017)年度に創設された「日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)」と連携した取組を行います。

ウ 輸出先国・地域の規則・ニーズに応じた輸出環境の整備に向けた取組

1) 「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」(令和元(2019)年法律第57号)に基づき、本年4月に農林水産省に設置される農林水産物・食品輸出本部の下、輸出促進に関する政府の新たな戦略(基本方針)を定め、実行計画(工程表)の作成・進捗管理を行うとともに、関係府省間の調整を行うことにより、政府一体となった輸出の促進を図ります。

2) 対EU・対米国輸出施設の認定等を促進するため、研修会の開催や専門家による現地指導への支援、生産海域等のモニタリングへの支援を行います。また、農林水産省による水産加工施設等の対EU輸出施設の認定により、認定施設数の増加を図ります。

3) 輸出先国・地域の基準に対応するための水産加工・流通施設の改修等の支援や、輸出先国・地域の品質・衛生条件への適合に必要な機器整備の支援に取り組みます。また、輸出先国・地域における輸入規制の緩和・撤廃に必要な魚類の疾病に関する科学的データの調査・分析や、輸出先国・地域で使用が認められない動物用医薬品を使用し、生産した水産物の輸出が可能となるよう、輸出先国・地域に対して行う同医薬品の基準値設定の申請に必要な試験等を実施します。

4) 輸出拡大が見込まれる大規模な拠点漁港において、一貫した衛生管理の下、集出荷に必要な岸壁、荷さばき所、冷凍・冷蔵施設、製氷施設等の一体的な整備を推進します。

5) 輸出先国・地域に対し、検疫や通関等に際し輸出の阻害要因となっている事項について必要な改善を要請・折衝するほか、EPA(経済連携協定)交渉等の場において輸出拡大が期待される品目の市場アクセスの改善を求めていくとともに、地理的表示(GI)保護制度を導入している国との間で相互保護を進め、日本産農林水産物等のブランドの保護を図ることにより、我が国の事業者が積極的に輸出に取り組める環境を整備します。

(3)水産物貿易交渉への取組

WTO(世界貿易機関)交渉に当たっては、水産物のように適切な管理を行わなければ枯渇する有限天然資源についてはその適切な保存管理を通じた資源の持続的利用に貢献する貿易のルールを確立すべきであり、特に漁業補助金の規律の強化については真に過剰漁獲能力又は過剰漁獲につながる補助金に限定して禁止すべきであるという基本的考え方に基づき、関係府省庁が十分に連携し、我が国の主張が最大限反映されるよう努めます。

EPA及びFTA(自由貿易協定)等については、幅広い国々・地域と戦略的かつ多角的に交渉を進めます。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344
FAX番号:03-3501-5097