このページの本文へ移動

水産庁

メニュー

水産業・漁村地域の活性化を目指して ―令和4(2022)年度農林水産祭受賞者事例紹介―

天皇杯受賞(水産部門)

産物(水産加工品)
井原水産いはらすいさん株式会社(代表:井原いはら 慶児けいじ氏)

北海道北西部に位置する留萌市るもいしは、日本海に面し、ニシン、ホッケ、カレイ類、タコ、ナマコ等が漁獲されています。また、水産加工業が基幹産業であり、全国でも有数の数の子の生産地となっています。

昭和29(1954)年に創業した井原水産株式会社は、昭和42(1967)年から数の子の製造を開始し、現在は国内の数の子のトップメーカーとなっています。

同社は、正月のおせち商品というイメージが定着している数の子を、日常でも食べられる手軽な食材にするというコンセプトの下、チーズと燻製くんせい数の子を組み合わせた新感覚の数の子製品である「カズチー」を商品化しました。原料の数の子には、規格外のものや切れ子等、数の子製品にできないものも使用し、製造工程で出た規格外品も、廃棄せずにプレッツェルのような別の菓子に加工して、資源の有効利用を図っています。また、包装材としてFSC(Forest Stewardship Council)認証の資材を用い、包装材への印字には植物由来のバイオマスインキを使用して、環境に配慮した製造を行っています。

従来の固定観念にとらわれない製品化や、数の子の栄養機能に着目した本取組は、消費者の伝統食品に対する認知を高め、水産物消費拡大に貢献するものです。また、環境や社会に貢献する様々な取組は、他の関連企業を先導する活動となっています。

カズチー
井原水産株式会社
  1. 森林破壊を防ぐため、適切に管理された森林からの木材を区別して購入できる認証制度。

内閣総理大臣賞受賞(水産部門)

技術・ほ場(資源管理・資源増殖)
豊前海ぶぜんかい北部漁業協同組合恒見つねみ支所青壮年部(代表:江口えぐち 一弘かずひろ氏)

福岡県北部に位置する北九州市きたきゅうしゅうしのうち、瀬戸内海西部の豊前海に面する恒見地区では、魚類や甲殻類を対象とした刺し網等の漁船漁業のほか、カキ養殖等が営まれています。同地区に所在する豊前海北部漁業協同組合恒見支所青壮年部には、令和3(2021)年時点で11名が所属し、部員全員がカキ養殖業を営んでいます。

現在「豊前海一粒かき」としてブランド化されている豊前海で養殖されるカキは、平成20(2008)年頃から、養殖時に垂下したカキ稚貝のクロダイによる食害が問題となっていました。この食害防止のため、試行錯誤の結果、束ねて垂下したロープのカキは食害が少ないことが発見され、その後の検証によって、束ねて垂下してもカキの成長に影響がないこと、高い食害防止効果があることが判明し、束ねて吊るす「束ね垂下」が広まっていきました。「束ね垂下」によって、養殖いかだ1台当たりの収獲量が約1.5倍に増加し、生産性が向上・安定したことから、経営も安定し、全ての同部所属の養殖漁家で後継者を確保することにもつながりました。

恒見地区で開発された「束ね垂下」は、現在では豊前海の全域で実施されており、技術的に容易でコストや労力もほとんどかからないことから、他産地への普及も期待されています。また、同地区では、新たに長期保存可能な加工品の開発等に取り組んでおり、豊前海の良好な環境を維持しながら新しい試みも続けていく姿勢も高く評価されています。

豊前海一粒かき
豊前海北部漁業協同組合

日本農林漁業振興会会長賞(水産部門)

産物(水産加工品)
長崎海産ながさきかいさん株式会社(代表:三宅みやけ ちはる氏)

長崎県は全国指折りの水産県であり、イワシ類、サバ類、アジ類が多く漁獲されています。また、水産加工品の生産量では、煮干し品、塩干品、練り製品、冷凍食品の割合が高く、特にイワシ類の煮干し品では全国一の生産量を誇っています。

同県中央部の大村市おおむらしの老舗海産物メーカーである長崎海産株式会社は、県産の煮干しや塩蔵わかめ・カットわかめを製造し、全国の量販店やメーカーに販売しています。

このうち、煮干しは、主な用途がだし取りであるため販路が限定されていること等から、同社は、食べる煮干しとして、受賞品の「いぶしいりこサクっ!」を開発し、新しい煮干しの食用方法を開拓しました。仕入れた乾燥済みの煮干しに更に3回の加熱乾燥を加えることにより、従来品にはない、良好な風味とサクっとした独特の食感の創出に成功しています。

また、「燻しいりこサクっ!」は、食べ切りサイズに包装されており、常温保存が可能という特徴があり、ガーリック風味のおつまみであることから、だし用の煮干し製品とは異なり、幅広い年齢層・客層への提供が可能な製品であると考えられます。

燻しいりこサクっ!
長崎海産株式会社

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344