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水産庁

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(1)我が国周辺の水産資源

ア 資源評価の実施

水産資源は再生可能な資源であり、適切に管理すれば永続的な利用が可能です。水産資源の管理には、資源評価により資源量や漁獲の強さの水準と動向を推定し、結果に基づいて適切な管理措置をとることが不可欠です。我が国では、国立研究開発法人水産研究・教育機構を中心に、市場での漁獲物の調査、調査船による海洋観測及び漁獲調査等を通じて必要なデータを収集するとともに、漁業によるデータも活用して、我が国周辺水域の主要な水産資源について資源評価を実施しています。

近年では、気候変動等の環境変動が資源に与える影響の把握や、外国漁船の漁獲の増加による資源への影響の推定も、我が国の資源評価の課題となっています。このような状況を踏まえ、今後とも、継続的な調査を通じてデータを蓄積するとともに、情報収集体制を強化し、資源評価の精度の向上を図っていくことが必要です。

このため、平成30(2018)年12月に成立した「漁業法等の一部を改正する等の法律*1」において改正された「漁業法*2」(以下「新漁業法」といいます。)では、農林水産大臣は、資源評価を行うために必要な情報を収集するための資源調査を行うこととし、その結果に基づき、最新の科学的知見を踏まえて、全ての有用水産資源について資源評価を行うよう努めるものとすることが規定されました。また、国と都道府県の連携を図り、より多くの水産資源に対して効率的に精度の高い資源評価を行うため、都道府県知事は農林水産大臣に対して資源評価の要請ができるとともに、その際、都道府県知事は農林水産大臣の求めに応じて資源調査に協力することが規定されました。

  1. 平成30(2018)年法律第95号
  2. 昭和24(1949)年法律第267号

イ 我が国周辺水域の水産資源の状況

平成30(2018)年度の我が国周辺水域の資源評価結果によれば、資源評価の対象となった50魚種84系群*1のうち、資源水準が高位にあるものが14系群(17%)、中位にあるものが29系群(34%)、低位にあるものが41系群(49%)と評価されました(図3-1-1)。魚種・系群別にみると、マイワシ太平洋系群やマサバ太平洋系群については引き続き資源量に増加の傾向が見られる一方で、スケトウダラ根室海峡系群やスルメイカ冬季発生系群については資源量に減少の傾向が見られています。

  1. 一つの魚種の中で、産卵場、産卵期、回遊経路等の生活史が同じ集団。資源変動の基本単位。

図3-1-1 我が国周辺の資源水準の状況と推移(資源評価対象魚種)

図3-1-1 我が国周辺の資源水準の状況と推移(資源評価対象魚種)

また、資源評価対象魚種のうち、我が国の漁業や国民生活の上で特に主要な魚種*1の15魚種37系群についてみてみると、平成30(2018)年度には、15魚種37系群のうち、資源水準が高位にあるものが6系群(16%)、中位にあるものが18系群(49%)、低位にあるものが13系群(35%)となりました(図3-1-2)。近年、主要魚種の資源水準は6~7割が中位又は高位にあります。

  1. 1)TAC(漁獲可能量)制度対象魚種(国際機関により資源評価が行われているクロマグロ及びサンマを除く。)、2)漁獲量が1万トン以上で生産額が100億円以上の魚種、又は3)生産額が10億円以上で国の資源管理指針に記載されている魚種のいずれかに該当する魚種。

図3-1-2 我が国周辺の資源水準の状況と推移(主要魚種)

図3-1-2 我が国周辺の資源水準の状況と推移(主要魚種)