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水産庁

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(1)「水産政策の改革」の策定と漁業法等の改正

 

(平成期の水産業の評価と政策改革の必要性)

第1節及び第2節で見たとおり、平成期を通じて我が国の漁業は大きく変化してきました。30年の間に漁業生産量は約6割、漁業生産額も約4割減少し、また、経営体数は約6割、漁業就業者数も約6割減少するとともに、漁業就業者の高齢化が進んでいます。水産物の消費に目を転じると、世界全体では1人当たりの水産物の消費量が過去半世紀で約2倍に増加した一方、我が国では平成期の前半は横ばい傾向であった1人当たりの消費量が後半では減少傾向に転じています。

これらの大きな要因としては、200海里時代の到来など国際的な海洋秩序の変化に加え、気候変動等により海洋環境が大きく変化したこと、少子高齢化が進行する中で我が国が本格的な人口減少社会に入ったこと、さらに、消費者の食の簡便化志向が強まり調理食品や中食・外食に比重が移っていることなど消費者のニーズが変化していること等我が国漁業を取り巻く環境の変化も挙げられます。他方で、政策面に着目しても、例えば、資源量が減少した水産資源について適切な資源管理を講じていれば減少を防止・緩和できたのではないか、漁業の生産性向上や漁場の有効活用の取組のための環境整備が十分であったのか、あるいは、水産物の供給の取組について、国内外の需要に着目したマーケットインの発想に基づく取組の推進が不十分だったのではないか、といった見方もあるところです。

一方、平成期の後半から漁業者1人当たりの生産額が増加傾向にあり、漁業生産額全体も近年では増加傾向にあることや、新規就業者数も直近10年間では2千人程度の水準を維持するなどの兆しも見られています。また、近年、直売所に出荷する経営体が増加するなど漁業者の所得向上や浜の活性化のための漁業者主体の様々な取組が生まれていることや、ICT・AIなどの新技術による漁業生産や水産物流通の技術革新が始まり、海外における水産物需要が増加するなど我が国水産業の発展・転換につながる明るい話題も出ています。

このように、平成期は、我が国水産業を巡る情勢や環境が大きく変化する中で、我が国水産業の将来の発展につながる新しい動きも見出されるようになった時代であり、「転換点」として、これまでの政策や制度の枠組みの見直しが求められていると言えます。

(「水産政策の改革」を策定)

こうした状況を踏まえ、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢のバランスのとれた漁業就業構造を確立することを目指すものとして、平成30(2018)年6月に「農林水産業・地域の活力創造プラン」(農林水産業・地域の活力創造本部決定)が改訂され、「水産政策の改革」が盛り込まれました。

「水産政策の改革」には、次の内容が示されています。

1)国際的に見て遜色のない科学的・効果的な評価方法及び管理方法を取り入れた資源管理システムの構築

2)輸出を視野に入れた品質面・コスト面等で競争力ある流通構造の確立

3)遠洋・沖合漁業における生産性の向上に資する漁業許可制度の見直し及び沿岸漁業・養殖業の発展に資する海面利用制度の見直し

4)水産政策の改革の方向性に合わせた漁協制度の見直し

5)漁村の活性化と国境監視機能を始めとする多面的機能の発揮

(漁業法等の改正法が成立)

「水産政策の改革」の第1弾として平成30(2018)年の第197回国会で「漁業法等の一部を改正する等の法律*1」が成立し、同年12月14日に公布されました。本法律は、公布の日から2年以内に施行されることとなっています。

本法律の主な内容は、次のとおりです。

1)「漁業法」の目的において、「水産資源の持続的な利用を確保するとともに、水面の総合的な利用を図り、もって漁業生産力を発展させること」を明記

2)資源評価に基づき、現在の環境下において持続的に採捕可能な最大の漁獲量(最大持続生産量(MSY))の達成を目標として資源を管理することとし、管理手法はTACを基本とする新たな資源管理システムを構築

3)TACの管理については、船舶等ごとに数量を割り当てる漁獲割当て(IQ)が基本

4)従来の一斉更新から随時に新規許可を可能とすること、IQの導入が進んだ漁業については船舶の規模に関する制限を定めないこと等により、生産性の向上に資するよう許可制度を見直し

5)漁場を適切かつ有効に活用している既存の漁業者の漁場利用を確保するとともに、利用されなくなった漁場については協業化や地域内外からの新規参入を含めた水面の総合利用が図られるよう、海面利用制度を見直し

6)悪質な密漁が行われている水産資源を対象に、許可を得ずに採捕した者等への罰則を強化

7)漁協の販売事業の強化に資するため理事のうち1人以上は水産物の販売等に関し実践的能力を有する者を登用する等の漁協制度の見直し

令和の時代を迎える中、我が国の漁業・水産業が、我が国周辺の豊かな水産資源を持続可能な形で最大限に活用することによって、国民に対して水産物を安定的に供給するとともに、その成長産業化を通じて漁村地域の経済社会の発展に貢献し、その多面的機能を発揮していくためには、「漁業法等の一部を改正する等の法律」による改正後の「漁業法」(以下「新漁業法」といいます。)の実施を始めとする各般の「水産政策の改革」を着実に推進していくことが必要です。そのためにも、漁業者、漁業団体が改革の実践に主体的に取り組むとともに、国及び地方公共団体がそれぞれの役割分担の下、効果的な施策を講じることによって、漁業者等の取組を支援していくことが求められています。

  1. 平成30(2018)年法律第95号

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