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水産庁

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水産業・漁村地域の活性化を目指して ―令和2(2020)年度農林水産祭受賞者事例紹介―

天皇杯受賞(水産部門)

技術・ほ場(資源管理・資源増殖)
前潟まえかた干潟ひがた研究会 (代表:下戸成 治美しもどなり はるみ氏)

広島県廿日市はつかいち市の大野瀬戸おおのせとは、豊かな森林地帯からの河川水・伏流水が流入することで餌となる植物プランクトンの量が安定しており、日本を代表するカキやアサリの産地となっています。大野瀬戸で漁獲されるアサリは大粒かつ風味が濃厚で、砂かみが少ないという特徴があり、「大野あさり」の愛称で広く知られています。この特徴は、限られた漁場を効率的に利用するため、漁場を各漁業者に区割りし管理していることによる成果の1つです。

前潟干潟研究会は、平成25(2013)年、「大野あさり」の資源回復を目指し、廿日市市内大野地区の浜毛保はまけぼ漁業協同組合、大野町漁業協同組合、大野漁業協同組合の3漁協の有志が集まり設立されました。

同研究会は、全国的にアサリの生産量が減少する中で、地場産稚貝の確保と漁場管理の効率化を目標に取組を始めました。特に稚貝確保については、春先に米粒サイズの稚貝が見られることに着目し、稚貝を表砂ごと網袋に入れて放流サイズまで育成する「大野方式」を確立しました。この手法では、事前にGPSを用いて稚貝の集積場所を調査することで、効率的かつ安定的に採苗することができるため、漁業者も過度な負担にならず取り組むことが出来るようになり、採取面積を拡大した結果、稚貝回収量も増大しました。

近年、漁業就業者の高齢化やアサリの生産量減少が進む中で、資源管理の重要性は増しており、取り組みやすい簡易な採苗手法の開発や資源管理のあり方を示した前潟干潟研究会の取組は、同様の困難な状況にある地域に多くの示唆をもたらしています。

大野あさり
前潟干潟研究会

内閣総理大臣賞受賞(水産部門)

産物(水産加工品)
末永海産株式会社(代表:末永 寛太すえなが かんた氏)

宮城県の北東部地域、北上川の河口に位置する石巻いしのまき市は多種多様な魚介類が豊富に水揚げされる水産都市です。

昭和50(1975)年に創業した末永海産株式会社は、「石巻の価値の源泉は漁師にある」との理念の下、石巻で獲れた海産物を最大限に生かすことを使命として活動し、カキ、ホタテ、ホヤ、ワカメ、コンブ等の加工品を手掛けています。東日本大震災後には、販路を開拓・拡大するため、直販や輸出、EC(電子商取引)事業を開始したほか、これまでとは違った顧客層を取り込めるよう、宮城県等の紹介による復興アドバイザ-やデザイナ-からの指導・助言を得て試食等を繰り返し、顧客タ-ゲットとニ-ズを明確に見定めた商品づくりを行っています。

受賞品である「漁師の潮煮うしおに3種セット」は、石巻の漁師が言い伝えてきた「炭火で炙った殻付きの牡蠣やホタテから出てくる旨味エキス(潮)ごと一緒に食べるのが、一番美味しい。」というその食べ方、旨味、生に近い食感を再現するため、素材の旨味を引き出す独自の低温加熱製法が用いられています。

同社は、石巻の資源を活用した陸上養殖等の生産分野にも挑戦したいと将来を見据えています。

漁師の潮煮3種セット
末永海産株式会社

日本農林漁業振興会会長賞受賞(水産部門)

経営(漁業経営改善)
鴨川 一平かもがわ いっぺい

鹿児島県の北端部に位置する長島ながしま町は、長島・伊唐いから島・諸浦しょうら島・獅子島の有人島と大小23の無人島の島々から構成されており、内海の八代やつしろ海に面した各地域は静穏な入り江と早潮に恵まれていることで、多くの漁業就業者がブリ養殖業や沿岸漁船漁業に携わっています。

鴨川氏は、伊唐島で代々漁船漁業を営んできた家に生まれ、平成18(2006)年から、父親の代で始めたブリ養殖業に従事しました。平成21(2009)年及び平成22(2010)年に八代海で発生した大規模な赤潮により深刻な経営不振に陥りましたが、この赤潮を契機に、所属する東町あずまちょう漁業協同組合の若手組合員とともに協業体制を組んで、赤潮が発生しない外海におけるブリ養殖に地域で初めて取り組みました。試行錯誤を重ねた結果、従来の内海と外海の性質の異なる漁場を活用する新たな生産体制を構築しました。

また、赤潮によって崩れた周年出荷体制を再構築するため、ブリの人工種苗の導入にも取り組みました。人工種苗は、サイズが大きく成長も早いため赤潮発生前の夏場に出荷できるようになり、通年での安定的な出荷が再構築されました。加えて、人工種苗による養殖は、産卵魚からの生産履歴が明確で、天然資源への影響が少ないことから、これらを重視する海外市場で非常に高い評価を受けており、今後も更なる輸出量の増大が期待されています。

外海養殖に挑戦し、経営改善につなげた鴨川氏の取組は、養殖産地が渇望している赤潮リスクを分散し出荷体制を強化する模範事例として評価されています。

早生鰤王
グループでの出荷作業

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344
FAX番号:03-3501-5097