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水産庁

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(5)捕鯨業をめぐる動き

目標14

ア 大型鯨類を対象とした捕鯨業

〈母船式捕鯨業及び基地式(小型)捕鯨業が順調に操業〉

我が国は、科学的根拠に基づいて水産資源を持続的に利用するとの基本方針の下、令和元(2019)年6月末をもって国際捕鯨取締条約から脱退し、同年7月から我が国の領海とEEZで、十分な資源が存在することが明らかになっている大型鯨類(ミンククジラ、ニタリクジラ及びイワシクジラ)を対象とした捕鯨業を再開しました。

令和元(2019)年から令和2(2020)年までの捕獲枠及び捕獲実績並びに令和3(2021)年の捕獲枠は図表4-9のとおりです。令和元(2019)年及び令和2(2020)年の大型鯨類を対象とした母船式捕鯨業及び基地式(小型)捕鯨業については、順調に操業が行われ、捕獲枠をおおむね消化し、操業によって生産された鯨肉についても、市場から好意的に評価されました。

なお、これら捕鯨業は、100年間捕獲を続けても健全な資源水準を維持できる、国際捕鯨委員会(IWC)で採択された方式(RMP(改訂管理方式))に沿って算出される捕獲可能量以下の捕獲枠で実施されています。このRMPに沿って算出される捕獲可能量は、通常、鯨類の推定資源量の1%以下となり、極めて保守的なものとなっています。

図表4-9 捕鯨業の対象種・捕獲枠(大型鯨類)

図表4-9 捕鯨業の対象種・捕獲枠(大型鯨類)

イ 鯨類の持続的な利用の確保のための基本的な方針の策定

〈鯨類科学調査の意義や捕鯨業の実施に関する基本的事項を決定〉

令和2(2020)年10月13日、「鯨類の持続的な利用の確保に関する法律*1」に基づく「鯨類の持続的な利用の確保のための基本的な方針」が策定され、鯨類科学調査の意義や捕獲可能量の算出、捕鯨業の支援に関する基本的事項等が定められました。

我が国は、この基本的な方針に則り、鯨類科学調査や捕鯨業を安定的に行うために必要な施策を行っていきます。

  1. 平成29年(2017)年法律第76号
目視調査で確認されたシロナガスクジラの親子

ウ 鯨類科学調査の実施

〈北西太平洋や南極海における非致死的調査を継続〉

我が国は鯨類資源の適切な管理と持続的利用を図るため、昭和62(1987)年から南極海で、平成6(1994)年からは北西太平洋で、それぞれ鯨類科学調査を実施し、資源管理に有用な情報を収集し、科学的知見を深めてきました。

我が国は、国際捕鯨取締条約脱退後も、国際的な海洋生物資源の管理に協力していくという我が国の従来の方針の下で、引き続き、IWC等の国際機関と連携しながら、科学的知見に基づく鯨類の資源管理に貢献しています。

例えば、我が国とIWCが平成22(2010)年から共同で実施している「太平洋鯨類生態系調査プログラム(IWC-POWER)」については、脱退後も継続することとしています。同調査では、我が国が調査船や調査員等を提供し、北太平洋において毎年、目視やバイオプシー(皮膚片)採取等の調査を行っており、イワシクジラ、ニタリクジラ、シロナガスクジラ、ナガスクジラ等の資源管理に必要な多くのデータが得られています。また、ロシアとも平成27(2015)年からオホーツク海における共同調査を実施しています。我が国は、こうした共同調査を今後も継続していくこととしており、令和2(2020)年5月に開催されたIWC科学委員会においても、これらの調査により得られたデータを報告し、高い評価を得ました。

これら共同調査に加え、我が国がこれまで実施してきた北西太平洋や南極海における非致死的調査を継続するとともに、商業的に捕獲された全ての個体から科学的データの収集を行い、これまでの調査で収集してきた情報と合わせ、関連の国際機関に報告すること等を通じて、鯨類資源の持続的利用及び保全に貢献していきます。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
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