はじめに
周囲を豊かな海に囲まれている我が国では、多種多様な水産物に恵まれ、古くから水産物は国民の重要な食料として利用されてきており、地域ごとに特色のある料理や加工品といった豊かな魚食文化が形成され、現在まで継承されてきています。
また、世界でも有数の長さを誇る我が国の海岸線には多くの漁村が存在し、漁村は、水産業の拠点として重要な役割を果たしているだけでなく、独特の景観を有する漁村集落、豊かな自然環境や親水性レクリエーションの機会等大きな魅力を有しています。
しかしながら、我が国の水産業においては、海洋環境の変化等による生産量の減少や漁業就業者数の減少に加え、漁村においては、人口減少や高齢化が進展している中、漁村の持つ魅力を活かすことにより、漁村の賑わいを生み出し、漁村の活性化を図ることが課題となっています。
このような情勢を踏まえ、本書では、「海業による漁村の活性化」を特集のテーマとして、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業である「海業」により地域の所得と雇用機会の確保等を目指す取組やその推進のための施策等について記述しています。
特集に続いては、「我が国の水産物の需給・消費をめぐる動き」、「我が国の水産業をめぐる動き」、「水産資源及び漁場環境をめぐる動き」、「水産業をめぐる国際情勢」、「大規模災害からの復旧・復興とALPS処理水の海洋放出をめぐる動き」の章を設けています。
令和6(2024)年1月に発生した令和6年能登半島地震は多くの人命を奪うとともに、地盤の隆起により石川県を中心に多くの漁港施設が損傷するなど、水産業に甚大な被害が発生しました。
このような中、「大規模災害からの復旧・復興とALPS処理水の海洋放出をめぐる動き」の章において、令和6年能登半島地震による水産業の被害状況や復旧・復興に向けた取組も記載しています。
本書を通じて、水産業についての国民の関心がより高まるとともに、我が国の水産業への理解が一層深まることとなれば幸いです。
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