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(1)漁業・養殖業の国内生産の動向

〈漁業・養殖業の生産量は減少し、生産額は増加〉

我が国の漁業は、第二次世界大戦後、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと漁場を拡大することによって発展しましたが、昭和50年代には200海里時代が到来し、遠洋漁業の撤退が相次ぐ中、マイワシの漁獲量が急激に増加した結果、我が国の漁業・養殖業の生産量は、昭和59(1984)年にピークに達しました。その後、我が国の漁業・養殖業生産量は、レジームシフト*1によるマイワシの漁獲量の減少などにより平成7(1995)年頃にかけて急速に減少した後、漁業就業者や漁船の減少等に伴う生産体制の脆弱ぜいじゃく化に加え、海洋環境の変化や水産資源の減少等により、緩やかな減少傾向が続いており、令和5(2023)年は、前年から9万t(2%)減少し、383万tとなりました(図表2-1)。

このうち、海面漁業の漁獲量は、前年から2万t(1%)減少し、293万tでした。魚種別では、マイワシ等が増加し、ホタテガイ、サバ類等が減少しました。他方、海面養殖業の収獲量は85万tで、前年から6万t(7%)減少しました。これは、ノリ類、ホタテガイ等が減少したことによります。また、内水面漁業・養殖業の生産量は、5万tで、前年から2千t(4%)減少しました。

令和5(2023)年の我が国の漁業・養殖業の生産額は、前年から852億円(5%)増加し、1兆6,853億円となりました(図表2-2)。この生産額は、平成15(2003)年以降最も高い水準となっています。このうち、海面漁業の生産額は9,534億円で、前年から373億円(4%)増加しました。この要因としては、世界的な魚粉価格の高騰等によりイワシ類の価格が上昇したこと等が影響したと考えられます。

海面養殖業の生産額は5,956億円で、前年から523億円(10%)増加しました。この要因としては、ノリ類において、天候不順や赤潮(珪藻類けいそうるい)の多発による収穫量の減少に伴う価格の上昇等が影響したものと考えられます。

内水面漁業・養殖業の生産額は1,363億円で、前年から45億円(3%)の減少となりました。

  1. 大気・海洋・海洋生態系から構成される地球表層システムの基本構造が数十年間隔で転換すること。

図表2-1 漁業・養殖業の生産量の推移

図表2-1 漁業・養殖業の生産量の推移

図表2-2 漁業・養殖業の生産額の推移

図表2-2 漁業・養殖業の生産額の推移

〈漁業・養殖業の生産量の約23%、生産額の約43%を養殖が占める〉

近年顕在化してきた海洋環境の変化等により水産資源の漁獲が不安定な中、計画的で安定的に生産できる養殖業に対する期待は高く、国民への水産物の安定供給に重要な役割を果たしています。我が国の養殖業による収獲量は、魚類、貝類及び藻類により約88万tの生産が行われており、漁業・養殖業の生産量のうち約23%を占めています。このうち、ブリ類、マダイ、クロマグロ、ギンザケを中心とした海面魚類が約24万t、海面貝類が約30万t、海面藻類が約30万tとなっています。内水面では、ウナギ、マス類、アユを中心に約3万tとなっています。また、養殖業による生産額は、漁業・養殖業の生産額のうち約43%を占める7,169億円となっています。このうち、海面魚類が約3,177億円、海面貝類が約1,353億円、海面藻類が約1,326億円となっています。内水面は、ウナギ、マス類、ニシキゴイ、アユを中心に約1,213億円となっています。

〈漁業就業者1人当たりの生産漁業所得は634万円〉

漁業就業者数が減少する中、我が国の漁業就業者1人当たりの産出額及び生産漁業所得はおおむね増加傾向で推移してきたものの、平成29(2017)年以降は、漁業・養殖業産出額の減少に伴い減少が続きました。しかし、令和3(2021)年より漁業就業者1人当たりの額が増加し、令和5(2023)年は、漁業就業者1人当たりの産出額は1,366万円、生産漁業所得は634万円と前年より増加しました。また、漁業就業者1人当たりの生産量は32tとなっています(図表2-3)。

図表2-3 漁業就業者1人当たりの生産性

図表2-3 漁業就業者1人当たりの生産性

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344