日本の水産業の今
平成30(2018)年度版から私たちの生活に身近な情報、
知っているようで知らない漁業の知識をピックアップして紹介します。
日本国民1人当たりの生鮮魚介類の消費量は、2001年度をピークに減少傾向にあります。消費される生鮮魚介類の種類も変化しており、1989年にはイカやエビが上位を占めていましたが、最近ではサケ、マグロ、ブリなど、切り身で販売されている魚が人気となっています。この変化の背景には、流通や冷蔵技術の発達に加え、調理の簡便化志向の高まりがあると考えられています。
上の図を見ると、1日当たりの魚介類摂取量は若い世代ほど少なく、特に40代以下の世代の摂取量は50代以上と比べて顕著に少なくなっていることが分かります。しかし、そんな中、2018年にはサバ缶が大きな話題となりました。11年の東日本大震災を受け、手頃な値段の備蓄食として注目されたのが、サバ缶ブームの始まり。サバがドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)をはじめ、豊富な栄養素を含むことが需要に拍車を掛け、いまや水産缶詰の中で最も多く生産されています。
日本の水産物輸入量は2001年にピークを迎えた後、おおむね減少傾向で推移しています。相手国・地域は、サケ・マス類はチリ、ノルウェーなど、マグロ・カジキ類は台湾、中国、韓国など、エビはベトナム、インド、インドネシアなど、と品目によってさまざまです。一方、輸出量は、12年以降、概ね増加傾向にあります。主な輸出相手国・地域は、香港、中国、米国。この3ヵ国・地域が、日本の水産物の輸出金額の約6割を占めています。
日本には現在、46校の水産高校と19校の水産学部や水産学科を有する大学、17校の漁業学校があります。水産高校では、実習船による航海実習や漁業実習、海洋調査などを行っています。中には専攻科を設けている学校もあり、研究や海技士の資格取得のため、高校卒業後にここに進む学生もいます。学校教育法に基づかない漁業学校では、より漁業に特化したカリキュラムを組み、短期間で即戦力となる漁業者を育成しています。一方、水産系の大学では、研究開発や水産関連産業の中核を担う人材の育成に力を入れています。
漁業就業者とは、過去1年間に「漁業の海上作業に年間30日以上従事」した「満15歳以上」の人を指す言葉です。漁船に乗る沿岸漁業や沖合・遠洋漁業だけではなく、養殖施設での養殖もこれに含みます。漁師を目指す場合、家族が自営で漁業を行っていないのなら、漁業会社や養殖業者に就職するのが一般的です。小型船舶や無線の免許、海技士の資格を取得することで、ステップアップができます。
約7000の島々から成り立つ日本、海岸線の総延長は約3万5000kmにもおよびます。海岸沿いの津々浦々に存在する漁業集落は、漁業生産活動の他、自然環境や国民の生命・財産の保全、交流の場の提供、地域社会の形成・維持など、多面的な機能を持ちます。こうした機能は、人々が漁村に住み、健全に漁業を営んでこそ、発揮されるもの。漁村の活性化を図るため、国では漁村に宿泊し、伝統的な生活体験や地域の人々との交流を楽しむ“渚泊(なぎさはく)”を推し進めています。
お問合せ先
漁政部企画課
担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344
FAX:03-3501-5097