(2)安心して暮らせる安全な漁村づくり




ア 漁港・漁村における防災対策の強化、減災対策や老朽化対策の推進
〈防災・減災、国土強靱化のための対策を推進〉
海に面しつつ背後に崖や山が迫る狭隘(きょうあい)な土地に形成された漁村は、地震や津波、台風等の自然災害に対して脆弱な面を有しており、人口減少や高齢化に伴って、災害時の避難・救助体制にも課題を抱えています。
南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震等の大規模地震・津波や激甚化・頻発化する自然災害による甚大な被害に備えて、引き続き、漁港・漁村における事前の防災・減災対策や災害発生後の円滑な初動対応等を推進していく必要があります。このため、政府は、東日本大震災の被害状況等を踏まえ、防波堤と防潮堤による多重防護、粘り強い構造を持った防波堤や漁港から高台への避難路の整備等を推進しています。
また、水産庁が所管する漁港施設、漁場の施設や漁業集落環境施設等のインフラは、昭和50年代前後に整備されたものが多く、老朽化が進行して修繕・更新すべき時期を迎えています。我が国の財政状況が厳しさを増す中、中長期的な視点から戦略的な維持管理・更新に取り組むため、予防保全型の老朽化対策等に転換し、ライフサイクルコストの縮減及び財政負担の平準化を実現していくことが必要となっています。このため、水産庁は「水産庁インフラ長寿命化計画*1」を策定し、インフラの長寿命化を着実に推進するための中長期的な方向性や具体的な取組を示すとともに、水産庁所管インフラの今後30年間の維持管理・更新費の将来推計を公表しています(図表5-4)。
くわえて、令和2(2020)年12月に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化(きょうじんか)のための5か年加速化対策」に基づき、甚大な被害が予測される地域等の漁港施設の耐震化・耐津波化・耐浪化等の対策や漁港施設の長寿命化対策、海岸保全施設の津波・高潮対策等を推進しています。
また、気候変動に伴い頻発化・激甚化する自然災害への対応が求められています。このため、令和4(2022)年3月に閣議決定された「漁港漁場整備長期計画」においては、海洋環境の変化や災害リスクへの対応力強化による持続可能な漁業生産の確保を重点課題として位置付けているところであり、引き続き波浪・高潮に対する防波堤等の性能を向上させていくこととしています。
- 平成26(2014)年8月策定。令和3(2021)年3月31日改定。
図表5-4 30年間の維持管理・更新費の見通し


イ 漁村における生活基盤の整備
〈集落道や漁業集落排水施設の整備等を推進〉
狭い土地に家屋が密集している漁村では、自動車が通れないような狭い道路もあり、下水道普及率も低く、生活基盤の整備が立ち後れています。生活環境の改善は、若者や女性の地域への定着を図る上でも重要です。農林水産省は、漁業の生産性向上や漁村生活を支える集落道の整備、漁業集落排水施設の整備や広域化・共同化等を推進しています。
お問合せ先
水産庁漁政部企画課
担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344