(7)漁業協同組合の動向
ア 漁業協同組合の役割
〈漁協は漁業経営の安定・発展や地域の活性化に様々な形で貢献〉
漁協は、漁業者による協同組織として、組合員のために販売、購買等の事業を実施するとともに、漁業者が所得向上に向けて主体的に取り組む浜プランや海業等の取組を推進するなど、漁業経営の安定・発展や地域の活性化に様々な形で貢献しています。また、漁業権の管理や組合員に対する指導を通じて水産資源の適切な利用と管理に主体的な役割を果たしているだけでなく、浜の清掃活動、河川の上流域での植樹活動、海難防止、国境監視等にも積極的に取り組んでおり、漁村の地域経済や社会活動を支える中核的な組織としての役割を担っています。
コラム2025国際協同組合年を通じた協同組合活動の推進
令和7(2025)年は、国連が定めた国際協同組合年(International Year of Cooperatives:IYC2025)であり、平成24(2012)年に続き2回目となります。国連は今回のIYC2025を通じて、協同組合のSDGsの実現への貢献に対する認知を高めることや、協同組合の振興の取組を講ずることを、各国政府や関係機関に対して求めています。
IYC2025のロゴマークは、「協同組合はよりよい世界を築きます」というテーマのとおり、よりよい世界を築くために世界中の人々が互いに結びつく様子を表しています。
我が国では、平成24(2012)年の1回目の国際協同組合年を契機に、異なる協同組合同士が連携して社会課題の解決に取り組む協同組合間連携の機運が高まり、平成30(2018)年に、農業協同組合を始めとする構成員により日本協同組合連携機構(JCA:Japan Co-operative Alliance)が設立されました。IYC2025には、国際協同組合デー記念中央集会といった、協同組合を中心に結成された全国実行委員会による記念イベントが開催される予定です。
また、JFグループでは、水産物の安定的・継続的な供給、藻場・干潟・サンゴ礁等の保全をはじめとする漁業者の様々な活動の支援、資源管理等による豊かな海づくり等を通じて、SDGsの実現に向けた取組を行っており、IYC2025により、こうした取組がより活性化することが期待されます。
くわえて、農林水産省としても協同組合の認知を高める広報活動を行うこととしています。

イ 漁業協同組合の現状
〈漁協の組合数は852組合〉
漁協については、合併が進み、令和6(2024)年3月末時点の組合数(沿海地区)は852となっていますが、漁業就業者数の減少に伴って組合員数の減少が進んでおり、依然として小規模な組合が多い状況にあります。また、漁協の中心的な事業である販売事業の取扱高は近年減少傾向にあります(図表2-29、図表2-30)。今後とも漁協が漁業・漁村の中核的組織として漁業者の所得向上や適切な資源管理等に役割を果たしていくためには、引き続き、合併等により組合の事業及び経営の基盤を強化するとともに、販売事業についてより一層の強化を図る必要があります。
図表2-29 沿海地区漁協数、合併参加漁協数及び販売事業取扱高の推移
図表2-30 漁協の組合員数の推移
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