トピックス3 赤潮による被害の継続

赤潮は、植物プランクトンが大量発生し海水の色が変わる現象であり、魚類養殖業等に大きな被害をもたらします。赤潮が発生する要因として、窒素、リン等の栄養塩類、海水温、塩分、日照、競合するプランクトン等が複合的に影響することにより発生することが指摘されています。
近年、八代海等を中心に大規模な赤潮被害の発生が続いており、以下では、その発生状況や漁業被害に対する対策等を紹介します。
〈近年、八代海・橘湾において大規模な赤潮被害が発生〉
令和6(2024)年5月から8月までにかけ、八代海、橘湾等において赤潮が発生し、長崎県、熊本県及び鹿児島県においてカンパチ、シマアジ、ブリ、トラフグ等の養殖魚のへい死が発生し、漁業被害額は約31.3億円(令和7(2025)年3月末時点)に達しました。
近年、同地域では大規模な赤潮の発生が継続しています。令和4(2022)年には、八代海で発生した赤潮により、熊本県及び鹿児島県において約20億円の漁業被害をもたらし、令和5(2023)年には、八代海及び橘湾で発生した赤潮により、長崎県、熊本県及び鹿児島県において約27億円の漁業被害をもたらしています(図表トピ-3-1)。
図表トピ-3-1 近年の八代海等における漁業被害額


〈赤潮の被害軽減対策としてモニタリング体制の強化、足し網の導入等へ支援〉
赤潮による漁業被害の軽減対策として、水産庁は、これまで関係地方公共団体、研究機関等と連携し、赤潮発生のモニタリング技術の開発・実証、赤潮の発生メカニズムの解明等による発生予察手法の開発等に取り組んできました。また、赤潮の被害軽減技術として、足し網、生け簀沈下による被害軽減手法の開発とその手引きの作成、有害赤潮プランクトンの駆除剤及びその散布手法の開発、高濃度酸素を用いたブリ類の救命手法の開発等を行いました。
令和6(2024)年度に発生した赤潮被害に対しては、今後の被害を軽減させるためのモニタリング体制構築や発生抑制対策等の実証を支援するとともに、被害軽減対策の導入を支援しています(図表トピ-3-2)。
また、有明海や八代海等では、底質の泥化や有機物の堆積等、海域の環境が悪化し、赤潮や貧酸素水塊の発生等がみられ、二枚貝をはじめとする水産資源をめぐる海洋環境が厳しい状況にある中、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律*1に基づき、関係県では環境の保全及び改善並びに水産資源の回復等による漁業の振興に関し実施すべき施策に関する計画を策定し、国の支援の下、有明海及び八代海等の再生に向けた各種施策を実施しています。
- 平成14年法律第120号
図表トピ-3-2 赤潮による主な漁業被害軽減対策

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