過去の調査航海の概要
過去に開洋丸で実施した調査航海の概要をご覧になれます。
各年度の項目には、以下のリンクからどうぞ
令和5年度
令和5年度に実施した調査航海の概要を紹介します。
(1)北西太平洋さけ・ます分布調査
近年、さけ・ます類の漁獲量が減少しています。その理由のひとつとして、海洋環境の変化が指摘されています。漁獲量減少の要因を解明するため、北海道の沖合でさけ・ます類の分布状況と海洋環境の調査を行いました。
この調査により、この海域の海水温とさけ・ます類の分布の関係が明らかになりました。今後さらに詳しい分析を行い、得られたデータは様々な研究に生かされていきます。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
漁獲物の仕分け作業 漁獲されたマス類
サケ・マス類の体長・体重測定 鱗サンプルの採取
(2)天皇海山海域における冷水性サンゴ類等の分布調査および底魚類を含む海山生態系調査
深海の海底に生息する冷水性サンゴ類等が、底びき網(トロール)漁業により傷つけられることが国際的に懸念されています。環境に配慮した漁業を実現するための議論が国際機関等で行われています。適切な管理措置の導入に必要な科学的情報を収集するため、天皇海山(ハワイと日本の間に位置する西側の海山群)における冷水性サンゴ類等の詳細な分布調査等を行いました。
今回の調査により、複数の海山においてこれまで知られていなかった冷水性サンゴ類の群集を確認することができました。これらの成果は今後、国際機関等での議論に活用されていきます。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
使用されたドロップカメラ 海底にて観測された多様な生物
撮影された海底映像の確認 観測された冷水性サンゴ類
(3)福島第一原子力発電所周辺の沿岸海域におけるサンプリング調査
ALPS処理水の海洋放出が周辺に生息する魚介類に及ぼす影響を調査するため、8月12日から8月15日にかけて福島第一原子力発電所周辺の沿岸海域でヒラメの採取を行いました。
調査結果は以下のリンクよりご確認ください。
水産物の放射性物質調査の結果について
(4)宝石サンゴ漁場環境調査
宝石サンゴは宝飾品等に加工される貴重な水産資源である一方、非常に成長が遅く、過剰な漁獲を防ぐための漁業管理が実施されています。ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)でも議論がなされ、適切な管理を行うための科学的情報が必要とされています。
今回の調査では、高知県地先海域にて宝石サンゴの分布と生息環境の情報の収集等を行いました。本調査で得られた生物学的及び海洋学的情報等を、資源の適切な管理措置の検討に役立てていきます。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
調査に使用したROV ROVの映像を確認する調査員
観測された宝石サンゴの漁場環境 確認された宝石サンゴ類
(5)音響手法を用いた公海における小型浮魚類分布調査
近年不漁が大きな問題となっているサンマは国際的な資源管理が行われています。その資源量の推定には魚を直接漁獲して調べる手法が用いられていますが、精度や効率性の向上が求められています。そこで、ソナーや計量魚探などの音響データを用いることにより、直接漁獲しなくても資源量を推定できる新たな手法を開発するための調査を行いました。
今回の調査ではサンマやイワシ、サバなどの浮魚類の音響データを収集しました。今後は魚種ごとの特徴について解析し、音響データによる浮魚類の魚種の識別手法の開発を進めていきます。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
音響機器の投入 観察された網内部の様子
漁獲された小型浮魚類の仕分け 漁獲された大きなサンマ
(6)北西太平洋冬期サンマ産卵場調査
サンマの主産卵期は冬といわれていますが、冬期の厳しい気象条件での調査は困難であることから、サンマの産卵生態に関する知見は不足しています。そこで、耐候性に優れた開洋丸にて冬期のサンマの分布や成熟状態等を明らかにするための調査を行いました。
調査の結果、サンマの産卵場の位置や、その産卵場が東西に非常に広く分布している実態が明らかとなりました。今回の調査結果は、国際機関におけるサンマの資源評価等に役立てていきます。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
厳しい気象条件となった冬期の北西太平洋 サンマの流し網漁
大量に漁獲されたサンマ サンマ生殖腺の採取
令和4年度
令和4年度に実施した調査航海の概要を紹介します。
(1)南西諸島周辺海域におけるクロマグロ仔稚魚の分布調査
水産研究・教育機構では平成23年よりクロマグロ仔稚魚調査を進めてきました。本調査では、各種海洋観測およびマグロ類の仔稚魚の採集を通じて、成長の早いクロマグロにおける仔稚魚の分布とその海洋環境との関係、成長生残過程等の解明に向けた調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
リングネットで得られた 採集したサンプルの選別
マグロ類仔稚魚(スケールバー1mm)
曇天の中、曳網中の2mリングネット 採集された多様なサンプル
(2)サンマ資源量の直接推定調査
近年、サンマ資源は減少傾向にあり、その要因を明らかにするためには、サンマ資源の生活史の解明や資源量の変動を把握する必要があります。サンマ分布状況や、摂餌生態に関する知見等を得ることを目的とし、従来調査より広い海域においてサンマの採集や海洋環境の把握等の各種調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
表層トロールによる漁獲物 採集したサンマ約2600尾
サンマの生殖腺の確認 採集したサンマの計測
(3)冷水性サンゴ類等の分布調査
冷水性サンゴ類等を中心とする脆弱な生態系は底魚漁業により傷つけられることが国際的に懸念されており、漁業資源を持続的に利用しつつ、生態系にも十分配慮するための議論が行われています。適切な管理措置の導入に必要な情報を収集することを目的とし、冷水性サンゴ類等の詳細な分布調査および分布状況把握のための環境DNAサンプルの有効性の検証を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
使用されたドロップカメラ CTDによる海水の採水
海底にて観測された多様な生物 観測された冷水性サンゴ類
(4)宝石サンゴ漁場環境調査
宝石サンゴに関する国際的な議論や適切な管理手法を検討する上で必要な情報を収集するため、九州西南海域において宝石サンゴの分布に関する調査を実施しました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
調査に使用したROV ROV操作中のオペレーター
水深130mの海底 確認された宝石サンゴ
令和3年度
(1)北西太平洋さけ・ます類の分布調査近年、小型さけ・ます流し網漁業によるサケ及びカラフトマスの漁獲量が減少しています。その理由として北西太平洋の海洋環境の変動に伴い分布が変化している可能性が指摘されています。漁獲量減少の要因を解明するため、北西太平洋におけるさけ・ます類の分布及び海洋環境の調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「北西太平洋さけ・ます類の分布調査」の概要(PDF)


採捕されたカラフトマス 表層トロールからの漁獲物の取り出し
(2)東シナ海の底魚類の分布生態調査
かつて東シナ海では我が国の以西底びき網漁業が広く営まれていましたが、現在では操業が減少しています。資源評価及び管理に必要な漁船から得られる情報が減少していることから、東シナ海における底魚類の資源動態把握のための調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「東シナ海底魚類分布生態調査」の概要(PDF)


着底トロールによる漁獲物 着底トロールからの漁獲物の取り出し
(3)シラスウナギの来遊メカニズムの解明の取組
ニホンウナギの産卵場は西マリアナ海嶺にあることが知られていますが、産卵位置は南北変動をすることが分かっており、産卵位置が日本沿岸へのシラスウナギの来遊に影響を与えるのではないかと考えられています。産卵位置を特定するための調査手法の1つとして、海水からのニホンウナギ環境DNAの検出に取組みました。また、仔魚の成長・生残と餌料環境との関係を調べるため、摂餌に関する現場飼育試験を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「ニホンウナギの産卵親魚および卵稚仔のモニタリング調査」の概要(PDF)


曳航式濾過器の投入 IKMTネット
(4)冷水性サンゴ類等の分布調査
生態系に配慮しつつ漁業資源を持続的に利用するための国際的な議論が行われています。適切な管理措置の導入に必要な情報を収集するため、天皇海山海域において冷水性サンゴ類等の分布調査を実施しました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「天皇海山海域における冷水性サンゴ類等の分布調査」の概要(PDF)


ドロップカメラの投入 確認された冷水性サンゴ類
(5)宝石サンゴ漁場環境調査
宝石サンゴに関する国際的な議論や適切な管理手法を検討する上で必要な情報を収集するため、琉球諸島周辺海域において宝石サンゴの分布に関する調査を実施しました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「日本周辺宝石サンゴ漁場環境調査」の概要(PDF)


確認された宝石サンゴ群 ROVからの採集物の取り出し
(6)房総・常磐沖におけるシラスウナギ採集調査
シラスウナギは南方海域から黒潮に乗って北上し東アジアの成育場へと来遊することが知られていますが、日本周辺での接岸生態は未だ不明です。日本周辺に来遊したシラスウナギの接岸生態を解明するために、房総・常磐沖でシラスウナギの分布調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「房総・常磐沖におけるシラスウナギ採集調査」の概要(PDF)


採捕されたシラスウナギ MOHTネットからの漁獲物の取り出し
(7)北西太平洋冬期サンマ産卵場調査
サンマの主な産卵期は冬ですが、海況の影響から調査実施は困難であり冬のサンマの生態に関する知見は不足しています。サンマの主産卵期である冬期にサンマの成熟状態、仔稚魚の分布等を明らかにすることを目的としてこれまで十分に調査の行われてこなかった海域で調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「北西太平洋サンマ冬期産卵場調査」の概要(PDF)


時化の中の操業 揚網中の流し網と漁獲物
令和2年度
(1)ニホンウナギの産卵場特定への試みニホンウナギがどこで産卵するのかは、ウナギ養殖に欠かせないシラスウナギ(稚魚)が日本沿岸にどのくらい来遊してくるかに大きな影響を与えます。産卵海域として知られる広大な海域のどこでニホンウナギが産卵しているのかを明らかにするため、海水から親魚の環境DNAの検出することを試みました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「ニホンウナギ生態解明調査」の概要(PDF)


ニホンウナギのプレレプトセファルス(前期仔魚) 曳航式ろ過装置
(2)天皇海山海域の底魚分布調査
生態系に配慮しつつ漁業資源を持続的に利用するため、太平洋にある天皇海山海域における漁場環境や海山生態系の構造等に関する調査を行っています。現在禁漁域となっているC-H海山を含む海域で底魚の分布調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「天皇海山海域における底魚分布調査」の概要(PDF)


天皇海山(赤下線が本年度調査の対象) キンメダイ
(3)小笠原海域の宝石サンゴの分布調査
宝石サンゴは成長速度が1年間に数mmと非常に遅く、資源回復に時間を要する資源です。我が国周辺にどのくらいの宝石サンゴ資源があるのかを把握し、適切に管理するため、小笠原海域においてROV(無人潜水機)による海底観察等を実施しました。詳細は以下のリンクからご覧ください。
「小笠原諸島周辺海域における宝石サンゴ及び底魚類生息環境調査」の概要(PDF)


宝石サンゴの1種(アカサンゴ) ROV(海底観察のための無人潜水機)
(4)東シナ海の底魚類の分布調査かつて東シナ海では我が国の以西底引き網漁業が営まれていましたが、現在では操業が減少しています。資源管理に必要な漁船から得られる情報が減少していることから、底魚類の中長期的な資源動態把握のための調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「東シナ海底魚類分布生態調査」の概要(PDF)


トロールで採集されたサンプル 着底トロール調査
(5)アカイカの冬季分布調査
アカイカは惣菜やさきいか等の加工原料として広く利用されています。冬季の北西太平洋におけるアカイカの分布と海洋環境との関係を明らかにし、漁場形成、産卵場の推定、来遊資源量水準の推定をするための調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「北西太平洋冬季アカイカ分布調査」の概要(PDF)


採集されたアカイカ 表中層トロール調査
(6)サンマの産卵場調査サンマの主な産卵期は冬ですが、漁期が秋で終了するため漁業からの情報が得られないことから、冬のサンマの生態に関する知見は不足しています。冬期のサンマの分布と成熟状態等を明らかにすることを目的として調査を行いました。
詳細は以下のリンクからご覧ください。
「北太平洋サンマ冬季産卵場調査」の概要(PDF)


採集されたサンマ 流し網調査
お問合せ先
増殖推進部漁場資源課
担当者:国際資源班
代表:03-3502-8111(内線6803)
ダイヤルイン:03-3502-8486