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水産庁

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(6)外国人労働をめぐる動向

ア 外国人労働者の確保

遠洋漁業に従事する我が国の漁船の多くは、主に海外の港等で漁獲物の水揚げや転載、燃料や食料等の補給、乗組員の交代等を行いながら操業しており、航海日数が1年以上に及ぶこともあります。このような遠洋漁業においては、日本人漁船員の確保・育成に努めつつ、一定の条件を満たした漁船に外国人が漁船員として乗り組むことが認められており、平成30(2018)年12月末現在、4,628人の外国人漁船員がマルシップ方式*1により日本漁船に乗り組んでいます。

また、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある特定産業上の分野について、新たに一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人の受入れを可能とする「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律*2」が平成30(2018)年12月に成立しました。これを受け、養殖業を含む漁業分野及び水産加工業(飲食料製造業分野で実施)においても、平成31(2019)年4月以降、一定の基準*3を満たした外国人の受入れが始まることとなりました。今後はこのような外国人と共生していくための環境整備が重要であり、漁業活動やコミュニティ活動の核となっている漁協等が、受入れ外国人との円滑な共生において適切な役割を果たすことが期待されることから、国においても必要な支援を行うこととしています。

  1. 我が国の漁業会社が漁船を外国法人に貸し出し、外国人漁船員を配乗させた上で、これを定期用船する方式。
  2. 平成30(2018)年法律第102号
  3. 各分野の技能測定試験と日本語能力試験への合格又は特定技能1号における分野(業務区分)と関連性のある職種における3年間の技能実習を良好に修了。

イ 外国人技能実習制度

外国人技能実習制度については、平成29(2017)年11月1日、人材育成を通じた開発途上地域等への技術等の移転による国際協力の推進を目的とした「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律*1」が施行され、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護が一層図られることとなりました。

水産業においては、漁業・養殖業における9種の作業*2及び水産加工業における8種の作業*3について技能実習が実施されており、技能実習生は、現場での作業を通じて技能等を身に付け、開発途上地域等の経済発展を担っていきます。

漁業・養殖業分野における技能実習生は年々増加していますが(図2-3-1)、国は、海上作業の伴う漁業・養殖業について、その特有の事情に鑑みて、技能実習生の数や監理団体による監査の実施に関して固有の基準を定めるとともに、平成29(2017)年12月、漁業技能実習事業協議会を設立し、平成30(2018)年7月にも2回目の会議を開催し、事業所管省庁、監理団体・実習実施者及び技能実習生の関係者が協議して技能実習生の待遇を定め、その保護を図る仕組みを設けるなど、漁業・養殖業における技能実習の適正化に努めています。

  1. 平成28(2016)年法律第89号
  2. 平成30(2018)かつお一本釣り漁業、延縄はえなわ漁業、いか釣り漁業、まき網漁業、ひき網漁業、刺し網漁業、定置網漁業、かに・ えびかご漁業及びほたてがい・まがき養殖作業
  3. 節類製造、加熱乾製品製造、調味加工品製造、くん製品製造、塩蔵品製造、乾製品製造、発酵食品製造及びかまぼこ製品製造作業

図2-3-1 漁業・養殖業分野における技能実習生を中心とした外国人の雇用状況の推移

図2-3-1 漁業・養殖業分野における技能実習生を中心とした外国人の雇用状況の推移