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(3)漁業就業構造等の変化

 

(漁業就業者は減少傾向だが、39歳以下の割合は近年増加傾向)

我が国の漁業就業者は、平成期を通して一貫して減少傾向にあり、昭和63(1988)年から平成30(2018)年までの30年間で61%減少して15万1,701人となっています(図特-2-20)。漁業就業者全体に占める39歳以下の割合は、平成期前半には減少傾向でしたが、後半には緩やかな増加傾向となりました。一方で、65歳以上の割合は、平成期を通して一貫して増加傾向となりました。漁業就業者の総数が減少する中で、平成21(2009)年以降全国の新規漁業就業者数はおおむね2千人程度で推移しています(図特-2-21)。新規漁業就業者のうち39歳以下がおおむね7割程度を占めています。

図特-2-20 漁業就業者数の推移

図特-2-20 漁業就業者数の推移

図特-2-21 新規漁業就業者数の推移

図特-2-21 新規漁業就業者数の推移

自家漁業のみ*1の漁業就業者数の推移を見ると、平成前期から中期にかけて、50歳代から60歳代が最も多くなっていましたが、平成中期から後期にかけて、ピークの階層の年齢が徐々に高くなり、平成25(2013)年以降は75歳以上の年齢階層が最も多くなっています(図特-2-22)。自家漁業の漁業就業者の多くは沿岸漁船漁業を営んでおり、高齢になっても操業を続ける漁業就業者が多いことや若い世代の漁業就業者が少ないことから、高齢の階層に偏った就業構造になっていると考えられます。

一方、漁業雇われ*2の漁業就業者数を見ると、中間の年齢階層の就業者数が多くなっています。平成前期から中期にかけては、就業者数は40歳代から50歳代が最も多くなっていましたが、中期から後期にかけてピークの階層の年齢が高くなっています(図特-2-22)。また、平成期を通じて60~64歳の階層以降の漁業就業者数が減少しています。これは、漁業雇われの漁業就業者の割合が多い遠洋・沖合漁業において、年齢が高くなるほどそれまでと同様の漁業労働を続けることが肉体的に困難になってくることや、年金の受給資格を得て退職することが多いためと考えられます。

  1. 漁業就業者のうち、自家漁業のみに従事し、共同経営の漁業及び雇われての漁業には従事していない人をいう(漁業以外の仕事に従事したか否かは問わない。)。
  2. 漁業就業者のうち、「自家漁業のみ」以外の人をいう(漁業以外の仕事に従事したか否かは問わない。)。

図特-2-22 自家漁業のみ・漁業雇われ別の漁業就業者数の推移

図特-2-22 自家漁業のみ・漁業雇われ別の漁業就業者数の推移

(水産業での外国人労働者の受入れが進む)

漁業就業者が減少する中、漁船労働力の不足を補うため、外国人労働者の受入れが進められてきました。遠洋かつお・まぐろ漁業等海外基地式漁業においては、外国の港を基地として操業していること、外国200海里周辺水域で操業する場合に沿岸国から自国民の雇用を要求される場合があること等の課題に対応するために、平成2(1990)年から、外国で乗下船させるなど一定の制限の下に外国人漁船員の受入れが行われてきました。その後、漁船漁業経営の改善等の観点から、我が国の漁船を外国企業に貸し出し、外国人漁船員を乗船させて用船する、いわゆる「マルシップ方式」が、平成10(1998)年から導入され、遠洋まぐろはえ縄漁船や大型いか釣り漁船などで実施されてきました。

また、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野について、新たに一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人の受入れを可能とする特定技能制度の創設等を含む「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律*1」が平成30(2018)年12月に成立し、在留資格「特定技能」の漁業分野(漁業、養殖業)及び飲食料品製造業分野(水産加工業を含む。)においても、平成31(2019)年4月以降、一定の基準*2を満たした外国人の受入れが始まりました。

  1. 平成30(2018)年法律第102号
  2. 各分野の技能測定試験及び日本語試験への合格又は各分野と関連のある職種において技能実習2号を良好に修了していること等。

(技能実習制度が導入)

外国人技能実習制度は、1960年代後半頃から海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度を原型として、外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図ることを目的として、平成5(1993)年に制度化されたものです。水産業においては、漁業・養殖業における9種の作業*1及び水産加工業における8種の作業*2について技能実習が実施されています。その人数は年々増加しており、水産業の現場を支えています(図特-2-23)。

平成29(2017)年11月1日、人材育成を通じた開発途上地域等への技術等の移転による国際協力の推進を目的とした「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律*3」が施行され、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護が一層図られることとなりました。

  1. かつお一本釣り漁業、延縄はえなわ漁業、いか釣り漁業、まき網漁業、ひき網漁業、刺し網漁業、定置網漁業、かに・ えびかご漁業及びほたてがい・まがき養殖作業
  2. 節類製造、加熱乾製品製造、調味加工品製造、くん製品製造、塩蔵品製造、乾製品製造、発酵食品製造及びかまぼこ製品製造作業
  3. 平成28(2016)年法律第89号

図特-2-23 漁業・養殖業分野における技能実習生を中心とした外国人の雇用状況の推移

図特-2-23 漁業・養殖業分野における技能実習生を中心とした外国人の雇用状況の推移

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水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
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