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水産庁

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(3)国内外の食の安全や持続可能な漁業・養殖業への意識の高まり

 

〈HACCP等の食の安全の確保の必要性が増している〉

安全な水産物を国民に供給することは、最も重要な水産施策の1つです。世界に目を向けても、食品安全に関する意識は高まりを見せており、食品安全の管理手法であるHACCP*1の導入が広がっています。米国や欧州連合(EU)等は、輸入食品に対してもHACCPの実施を義務付けているため、我が国からこれらの国・地域に水産物を輸出する際には、我が国の水産加工施設等が、輸出先国・地域から求められているHACCPを実施し、更に施設基準に適合していることが必要です。また、米国やEUの大手企業をはじめとして、食品製造工場等における食品衛生管理の民間認証の取得を調達基準として採用する動きが広がってきています。

我が国においても、「食品衛生法等の一部を改正する法律*2」の施行によって、令和2(2020)年6月1日から、水産加工業者を含む原則として全ての食品等事業者に対しHACCPに沿った衛生管理等の実施に取り組むことが求められています(ただし、施行後1年間は経過措置として、従来の基準が適用されます。)。

しかし、従業員の研修が十分に行えていない事業所が多いなどといった状況もあり、我が国の水産加工場におけるHACCP導入率は低水準(令和元(2019)年10月1日現在で23%*3)にあります。

  1. Hazard Analysis and Critical Control Point:原材料の受入れから最終製品に至るまでの工程ごとに、微生物による汚染や金属の混入等の食品の製造工程で発生するおそれのある危害要因をあらかじめ分析(HA)し、危害の防止につながる特に重要な工程を重要管理点(CCP)として継続的に監視・記録する工程管理システム。FAOと世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会がガイドラインを策定して各国にその採用を推奨している。
  2. 平成30(2018)年法律第46号
  3. 農林水産省「令和元年度食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査」

〈国内外で持続可能な漁業・養殖業に対する関心が高まっている〉

平成27(2015)年、国連では、令和12(2030)年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)が採択されました。このうち、水産業に関連する目標としては、「14.海の豊かさを守ろう」が定められています。SDGsについては、世界的な関心が高まっており、SDGsを企業の目標や戦略に導入する動きが国内外で活発になっています。また、EUにおいては、持続可能な食料システムへの移行が進められています。日本については、SDGsの知名度が他国よりも低いことが指摘されているものの、様々な分野で環境に配慮した取組が進展しています。

こうした状況の中、資源の持続的利用や環境に配慮して生産されたものであることを消費者や顧客に情報提供するために、水産エコラベルを活用する動きが世界的に広がりつつあります。世界には様々な水産エコラベルが存在し、それぞれの水産エコラベルごとに運営主体が存在します。日本国内では、主に、一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会による漁業と養殖業を対象とした「MEL*1」(Marine Eco - Label Japan)、英国に本部を置く海洋管理協議会による漁業を対象とした「MSC」(Marine Stewardship Council)、オランダに本部を置く水産養殖管理協議会による養殖業を対象とした「ASC」(Aquaculture Stewardship Council)等の水産エコラベル認証が主に活用されており、それぞれによる漁業と養殖業の認証実績があります(図表特-1-20)。

  1. (一社)日本食育者協会のAEL及び(一社)マリン・エコラベル・ジャパン協議会のMELは、平成30(2018)年3月、双方が運営する養殖業の認証スキームをMELに統合することで基本合意した。

図表特-1-20 我が国で主に活用されている水産エコラベル認証

図表特-1-20 我が国で主に活用されている水産エコラベル認証

水産エコラベルは、FAO水産委員会が採択した水産エコラベルガイドラインに沿った取組に対する認証を指すことが基本です。しかし、世界には様々な水産エコラベルがあることから、水産エコラベルの信頼性確保と普及改善を図るため、「世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI:Global Sustainable Seafood Initiative)*1」が平成25(2013)年に設立され、GSSIから承認を受けることが、国際的な水産エコラベル認証スキームとして通用するための潮流となっています。MSCは平成29(2017)年に、ASCは平成30(2018)年にGSSIからの承認を受けており、米国やEUの大手企業を中心に、これら認証の取得を調達基準として採用する動きが広がってきています。日本発の水産エコラベルであるMELについても令和元(2019)年12月にGSSIからの承認*2を受けたことから、今後、我が国水産物の国際的な評価の向上や、一層の輸出促進に寄与することが期待され、更なる普及が必要となっています。

  1. ドイツ国際協力公社(GIZ)や国際的な水産関係企業及びNPO法人らにより、持続可能な水産物の普及を目的として、水産エコラベル認証スキームの信頼性確保と普及改善等を行うために平成25(2013)年に設置されたもので、現在、MSC、ASCをはじめとする9つの認証制度が承認を受けている(令和3(2021)年3月末現在)。
  2. ASCは、令和2(2020)年2月、従来のサーモンに加えて、エビが承認の対象に追加された。MELの承認の対象は、漁業Ver2.0、養殖Ver1.0、流通加工Ver2.0。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
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