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水産庁

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2 養殖業の成長産業化

(1)需要の拡大

定時・定質・定量・定価格で生産物を提供できる養殖業の特性を最大化し、国内外の市場維持及び需要の拡大を図ります。

また、MEL(Marine Eco-Label Japan)の普及や輸出先国が求める認証等(ASC(Aquaculture Stewardship Council)、BAP(Best Aquaculture Practices)) の水産エコラベル認証、ハラール認証等の取得を促進します。

ア 国内向けの取組

輸入品が国内のシェアを大きく占めるもの(サーモン等)については、国産品の生産の拡大を推進します。

また、マーケットイン型養殖(国内外の需要に応じた適正な養殖)に資する高付加価値化の取組、養殖水産物の商品特性を活かせる市場への販売促進、所得向上に寄与する販路の開拓や流通の見直し、観光等を通じた高い品質をPRしたインバウンド消費等を推進します。くわえて、DtoC(ネット直販、ライブコマース等)による販路拡大や量販店における加工品等の新たな需要の掘り起こしの取組を推進します。

イ 海外向けの取組

「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(以下「輸出戦略」という。令和5(2023)年12月改訂)において選定した輸出重点品目(ぶり、たい、ホタテ貝、真珠、錦鯉)や「養殖業成長産業化総合戦略」(以下「養殖戦略」という。令和3(2021)年7月改訂)において選定した戦略的養殖品目(ブリ類、マダイ、クロマグロ、サケ・マス類、新魚種(ハタ類等)、ホタテガイ、真珠)を中心に、カキ等の今後の輸出拡大が期待される水産物を含め、高鮮度・高品質な我が国の養殖生産物の強みを活かしたマーケティングに必要な商流構築・プロモーションの実施や輸出産地・事業者の育成(日本ブランドの確立による市場の獲得等)を推進します。

また、輸出戦略を踏まえ、各産地は機能的なバリューチェーンを構築して物流コストの削減に取り組むとともに、品目団体は独立行政法人日本貿易振興機構(以下「JETRO」という。)、日本食品海外プロモーションセンター(以下「JFOODO」という。)と連携し、商談会の開催やプロモーション等を行い、新たな需要を創出します。

さらに、輸出先国との輸入規制の緩和・撤廃に向けた協議や、輸出先国へのインポートトレランス申請(輸入食品に課せられる薬剤残留基準値の設定に必要な申請)に必要となる試験・分析の取組等を推進します。

(2)生産性の向上

ア 漁場改善計画及び収益性の向上

漁場改善計画における過去の養殖実績に基づいた適正養殖可能数量の見直しにより柔軟な養殖生産が可能となるよう検討を進めます。

また、マーケットイン型養殖への転換を更に推進するとともに、養殖業へ転換しようとする地域の漁業者の収益性向上等の取組への支援(もうかる漁業事業等)を行います。

イ 餌・種苗

魚類養殖は、支出に占める餌代の割合が大きく、餌の主原料である魚粉は輸入に依存していることから、魚粉割合の低い配合飼料の開発、魚粉代替原料(大豆、昆虫、水素細菌等)の開発及び飼料原料の国産化を推進します。

また、持続可能な養殖業を実現するために必要な養殖用人工種苗の生産拡大に向けて、人工種苗に関する生産技術の実用化、地域の栽培漁業のための種苗生産施設や民間の施設を活用した養殖用種苗を安定的に量産する体制の構築を推進します。さらに、優良系統の保護を図るため、「水産分野における優良系統の保護等に関するガイドライン」及び「養殖業における営業秘密の保護ガイドライン」を周知します。

ウ 安全・安心な養殖生産物の安定供給及び疾病対策の推進

養殖業の生産性向上及び安定供給のため、養殖場における衛生管理の徹底、種苗の検査による疾病の侵入防止、ワクチン接種による疾病の予防等、複数の防疫措置の組合せにより、疾病の発生予防に重点を置いた総合的な対策を推進します。

また、養殖業の成長産業化に資する水産用医薬品について、研究・開発と承認申請を促進します。

さらに、普及・啓発活動の実施等により、水産用医薬品の適正使用及び抗菌剤に頼らない養殖生産体制を推進するとともに、貝毒の発生状況を注視し、二枚貝等の安全な流通の促進を図ります。

エ ICT等の活用

養殖業においても人手不足の問題が生じてきており、省人化・省力化に向けて、AIによる最適な自動給餌システムや餌の配合割合の算出、餌代や人件費等の経費を「見える化」する経営管理等、スマート技術を活用した養殖管理システムの高度化を推進します。

オ 海洋環境の変化への適応

温暖化に適応可能なノリ等の養殖品種の作出等の技術開発を支援・推進します。また、クロダイ等の養殖藻類の食害対策として、防除・防護技術の開発等を推進します。

(3)経営体の強化

ア 事業性評価

持続的な養殖経営の確保に向け、養殖業の経営実態の評価を容易にし、漁協系統・地方金融機関等の関係者からの期待にも応える「養殖業の事業性評価ガイドライン」を通じた養殖経営の「見える化」や経営改善・生産体制改革の実証を支援します。

イ マーケットイン型養殖業への転換

生産・加工・流通・販売等に至る規模の大小を問わない養殖のバリューチェーンの各機能との連携の仕方を明確にして、マーケットイン型の養殖経営への転換を図ります。

(4)沖合養殖の拡大

漁場環境への負荷や赤潮被害の軽減が可能な沖合の漁場が活用できるよう、静穏水域を創出するなど沖合域を含む養殖適地の確保を進めます。また、台風等による波浪の影響を受けにくい浮沈式生簀等を普及させるとともに、大規模化による省力化や生産性の向上を推進します。

(5)陸上養殖

陸上養殖については、「内水面漁業の振興に関する法律」(平成26年法律第103号)に基づく届出制により実態を把握し持続的かつ健全な発展を図ります。

お問合せ先

水産庁漁政部企画課

担当者:動向分析班
代表:03-3502-8111(内線6578)
ダイヤルイン:03-6744-2344