トピックス1 令和6年能登半島地震からの復旧に向けた動き
令和6(2024)年1月に石川県能登地方で発生した地震(以下「令和6年能登半島地震」といいます。)は、多くの死者・行方不明者や住宅、インフラ等の被害をもたらし、水産関係においても漁船の転覆、漁港施設や共同利用施設の損傷等の被害をもたらしました。以下では、主に令和6(2024)年度における令和6年能登半島地震からの復旧・復興に向けた主な動きについて紹介します。
→第6章(4)を参照
〈漁業の再開に向けた動き〉
被災後、漁船や漁具などが使用可能な漁業者は、施設の復旧とともに順次操業を再開しました。また、漁港施設が被災した地域においては、仮復旧工事等に伴い操業を再開しています。
令和6年能登半島地震の直後の令和6(2024)年1月中には、定置漁業(志賀町(しかまち)、珠洲(すず)市、能登町(のとちょう)、七尾(ななお)市)、底びき網漁業(志賀町、七尾市)、小型いか釣り漁業(能登町)、えびかご漁業(志賀町)、かき養殖事業者の出荷(七尾市)が順次再開しました。また、富山県では同年1月から2月末までには漁業が再開し、新潟県及び福井県では操業上の大きな支障はありませんでした。
同年3月には、底びき網漁業(能登町、珠洲市)、べにずわいがにかご漁業(志賀町)が再開しました。同年4月にはべにずわいがにかご漁業(能登町)が再開し、5月にはまき網漁業(志賀町)、中型いか釣り漁業(能登町)が再開しました。
輪島(わじま)地区では、同年7月に海女漁、9月に刺し網漁業、10月に底びき網漁業が再開し、11月の解禁日に応じて底びき網漁業によるズワイガニを対象とした操業が開始されました。能登半島北部の6市町(輪島市、珠洲市、穴水町(あなみずまち)、能登町、七尾市及び志賀町)では、当面操業に必要な共同利用施設について復旧を完了するなどの環境整備により操業が順調に回復しました。令和6(2024)年通年で見ると、漁獲金額は対前年比66%、漁獲量で54%*1となりましたが、秋冬シーズンの開始からは、漁獲金額(令和6(2024)年11月から令和7(2025)年1月)では令和5(2023)年比97%、漁獲量では同93%となりました。水産庁としては、引き続き被災地の操業の回復に向かって取り組みます(図表トピ-1-1)。
- 主に餌用のマイワシを含まない。マイワシを含めると、漁獲金額は対前年比66%、漁獲量は66%。
図表トピ-1-1 漁業再開の状況

〈漁港施設の復旧に向けた動き〉
令和6年能登半島地震は、石川県外浦(そとうら)地域で地盤隆起が発生するなど漁港施設に大きな被害をもたらしました。地盤隆起等により甚大な被害を受けた漁港については、「短期的な生業再開のための仮復旧」と「中長期的な機能向上のための本復旧」の二つのフェーズに分けて復旧することとしています。このような被害を受けた16漁港のうち漁業の再開を優先する10漁港について仮復旧工事を実施し、引き続き本復旧工事に着手します。また、地盤隆起のない漁港については、応急工事を実施し、全ての漁港で漁業の再開に必要な陸揚げが可能となりました。
また、石川県等の施設管理者からの要請に基づき、石川県管理の狼煙(のろし)漁港及び珠洲市管理の鵜飼(うかい)漁港海岸について水産庁が災害復旧事業の代行を行っています。狼煙漁港においては、浚渫(しゅんせつ)を実施したことにより、漁船の避難機能の一部が回復しました(図表トピ-1-2)。
図表トピ-1-2 能登半島の復旧・復興の状況



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