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水産庁公式ブログ「アワビのステーキ食べてみたいよね」2020年3月

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【3月24日 すいさんぽ ~アンテナショップ編~】

すいさんぽ(アンテナショップ編)

ここ東京は、各都道府県の魅力を紹介するアンテナショップが多く集まる便利な町です。

アンテナショップでは、各都道府県の農林水産物、お土産、伝統工芸品、観光コンテンツやプロサッカー・野球チームのグッズなどが販売されているほか、併設されている飲食店でご当地料理を食べることができます。

そこで、シリーズ「すいさんぽ ~アンテナショップ編~」として、各都道府県の水産品の人気ランキングベスト5を紹介したいと思います。

水産関係者の皆さん、世の中何が売れているのか商品開発のヒントにしてください。

記念すべき第1回は、私の出身県、、、

「広島県」
広島県の地図
ということで、銀座にある広島県のアンテナショップ「ひろしまブランドショップ TAU」に行ってきました。

アンテナショップの外観

フロアガイド
フロアガイド。子供から大人まで楽しめる内容。お昼時間だったのでお好み焼きを食べてきました。

それでは、さっそく人気ランキングの発表です。


第5位 「だし道楽 焼きあご入り」 有限会社 二反田醤油
第5位 「だし道楽 焼きあご入り」 有限会社 二反田醤油
広島県江田島にある二反田醤油さんが製造する万能調味料です。
「あご」とは長崎県近海で漁獲される「とびうお」のことで、炭火で焼いたあごが丸々1匹入っています。
この「だし道楽」は日本各地の自動販売機で売られているのが有名です。
https://dashidouraku.com/


第4位 「牡蠣オリーブオイル漬け」 有限会社 マルイチ商店
第4位 「牡蠣オリーブオイル漬け」 有限会社 マルイチ商店
広島県東広島市安芸津町にあるマルイチ商店さんが製造する牡蠣のオリーブオイル漬けです。
手選別した広島産牡蠣に、白ワイン、オイスターソースなどを絡めて焼き上げ、ローリエと唐辛子と共に、オリーブオイルに漬け込んだ商品で、オイルが牡蠣にしみ込み、牡蠣の旨味が凝縮された美味しさです。ワインなどのお酒にもよく合います。
https://www.setonosachi.com/


第3位 「広島県産鮮魚」
第3位 「広島県産鮮魚」
瀬戸内海で獲れた新鮮な魚が日替わりで産地から直送されてきます。
この日はマゴチ、マダイ、マコガレイ、ウマヅラハギ、オニオコゼ等々。


第2位 「うまいでがんす」 株式会社 三宅水産
第2位 「うまいでがんす」 株式会社 三宅水産
広島県呉市にある株式会社三宅水産さんが製造する「うまいでがんす」です。
「がんす」とは日常の食材(練り物)として、昭和初期に呉市の蒲鉾屋で生まれた「揚げかまぼこ」のことで、おやつ・おつまみ・お弁当・簡単なおかずの定番となっており、呉市のソウルフードとなっています。
http://www1.enekoshop.jp/shop/miyake1950/


第1位 「花瑠&花屋(オイル&オイスター)」 倉崎海産株式会社
第1位 「花瑠&花屋(オイル&オイスター)」 倉崎海産株式会社
広島県広島市にある倉崎海産株式会社さんが製造する「花瑠&花星(オイル&オイスター)」です。
広島湾の自社の養殖場で獲れた新鮮なカキを香ばしく焼き、醤油で軽く味を調えて、純正コーン油に漬けた濃厚な味です。まるでフォアグラのような食感はワインに最適です。
中身の牡蠣だけでなく、牡蠣が漬かっていた旨みたっぷりのオイルを使用してお料理をしても美味しく頂けます。
各種メディアでも取り上げられ、水産品に限らず、全ての商品の中でも人気ランキング1位だそうです。
http://www.kurasaki.co.jp/shop/


店員さんお薦め商品
「中村さんちのアカモク」 中村修司さん
店員さんお薦め商品「中村さんちのアカモク」中村修司さん
店員の山口さんがお薦めするのは大崎上島町の中村修司さんが製造する「中村さんちのアカモク」です。
「アカモク」は岩場で育つ褐藻の一種で、コンブやワカメなど海藻の仲間です。
日本各地では「ギバサ」とか「ナガモ」などと呼ばれています。
ご飯にのせたり、味噌汁の具などにぴったりです。

この他にも店内にはじつに様々な水産品が販売されており、瀬戸内海の豊かな水産の食文化を感じることが出来ました。
様々な水産品1

様々な水産品2

様々な水産品3

様々な水産品4

以上、広島県のアンテナショップ「ひろしまブランドショップ TAU」でした。

面白い商品がたくさんあり、地域の文化も発見できるアンテナショップに出かけてみませんか?


取材先:広島県アンテナショップ「ひろしまブランドショップTAU」
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座1-6-10 銀座上一ビルディング
Web:https://www.tau-hiroshima.jp/




【3月16日 浜を歩いて~第3回北海道函館市~】

北海道函館市は北海道南西部の渡島半島に位置し、天然の良港である函館港によって北海道と本州を結ぶ都市として発展し、札幌市、旭川市に次ぐ北海道第3位の人口約26万人を有する中核市となっています。

なかでも函館市は、2004(平成16)年、近隣の戸井町(といちょう)、恵山町(えさんちょう)、椴法華村(とどほっけむら)、南茅部町(みなみかやべちょう)と市町村合併し、全国有数の漁業のまちとなりました。

また、毎年約500万人の観光客が訪れる国際観光都市となっており、近年では、函館山からの「夜景」や元町地区の「歴史的なまち並み」だけではなく、新鮮な魚介類を始めとした「食」を目当てに来訪者が急増し、市区町村の魅力度ランキング※で2年連続第1位(この6年間では5回の第1位)となるなど、他の市区町村からすれば、なんともうらやましい市となっています。
(※)地域ブランド調査2019

地域ブランド調査2019


函館市の漁業

函館市周辺の海は、ちょうど暖流と寒流が交わり、四季折々に様々な魚種が集まる格好の漁場となっています。函館市の2018年水揚げランキング

新鮮なイカはもとより、タラ、ホッケ、カレイ類、ウニやアワビのほか、最高級と評される「函館真昆布」や、品質の良さから豊洲で高値がつく「戸井マグロ」など、豊富な海産物に恵まれています。

2018(平成30)年の水揚額は162億円あり、そのうち、昆布とイカが全体の63%を占めています。





昆布の生産量日本一
函館市の「魚」はイカとなっており、皆さんも「函館と言ったらイカ!」と思いつくほど、函館市のイカは有名ですが、じつは函館市は昆布の生産量が日本一となっており、平成30年度では全国シェアの約24%を占めています。昭和40年代に日本で初めて昆布養殖技術が確立し、広く普及したことから生産量が安定しているのが特徴です。

獲れる場所によって名称が変わる
獲れる場所によって名称が変わる

函館で漁獲される昆布の多くは「真昆布」という種類で、肉厚で幅が広く、上品でコクのある澄んだ出汁がとれ、特徴によって「白口浜(しろくちはま)真昆布」「黒口浜(くろくちはま)真昆布」「本場折浜(ほんばおりはま)真昆布」の3つの銘柄に分類されます。

函館の「真昆布」  函館の真昆布その2

それぞれの銘柄は、関西や北陸では、料亭や高級加工品の原材料として使用されていますが、他の地域に比べ一般消費者の認知度が低いことから、2017(平成29)年には、市と函館市内の5つの漁業協同組合が連携し、「函館真昆布」の統一名称でPRに取り組み始めたところです。


注目を集める昆布
昆布にはフコイダンやアルギン酸などの健康や美容に役立つ成分が豊富に含まれており、特に函館周辺にしか生息していない「がごめ昆布」は、これらの成分を豊富に含んでいることから、近年、注目を浴びています。

松前漬けにも使われていますね
松前漬けにも使われていますね

また、2013(平成25)年12月、「和食;日本の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことに伴い、和食やそのベースとなるだし食材として、昆布が改めて注目されています。
精進料理などに使われる上品で控えめなうま味の昆布だし、
昆布とかつお節で取るうま味の強い「一番だし」、
一番だしを取った後の昆布とかつお節に新しいかつお節(追いがつお)を使った「二番だし」、
出し殻(だしがら)を利用して作る「佃煮」、
など余すところなく料理に活用できます。


資源量が減っている天然真昆布
函館の真昆布は北前船によって日本各地に運ばれ、特にコンブの獲れない関西や北陸で珍重され、大阪では「山出し昆布」と呼ばれ、うどんやそばなどの出汁として無くてはならないものとして生活に根付いています。

また、白口浜真昆布は、松前藩が朝廷や将軍家に献上していたことから「献上昆布」として知られています。

そんな函館の特産の真昆布ですが、じつは近年、天然コンブの資源量が極端に減っており、銘柄にもよりますが以前に比べて数分の1から、数十分の1にまで減少しています。

要因としては温暖化による海水温の上昇などが挙げられていますが、ハッキリとしたことは分かっておらず、漁業者や研究機関、行政機関など関係者が連携し、様々な対策が行われています。


お土産には種類豊富な昆布を!
南かやべ漁業協同組合直販加工センターは、特産品である「函館真昆布」の販売やPRを目的に漁協直営で運営する「こんぶ屋さん」です。

毎年5月のゴールデンウイークと8月のお盆には期間限定で大変お得な「函館真昆布詰め放題」を開催しています。
毎年5月のゴールデンウイークと8月のお盆には期間限定で大変お得な「函館真昆布詰め放題」を開催しています。

天然から養殖、ご家庭向けからご贈答用まで各種取り揃えた「だし昆布」、
函館真昆布にかつお節を加え、煮干しで風味を調えた本格的なだしがお手軽に楽しめる「だし日和(だしパック)」、
薄くスライスした函館真昆布に、鰹削りを加えた「昆布かつお」、
函館真昆布にがごめ昆布などをブレンドした「とろろ昆布」、
サラダ感覚で食べられる「さざ波昆布」、
にしんや紅鮭を函館真昆布で巻き、柔らかくなるまでじっくり煮込んだ「昆布巻」、
おやつとして食べられる「焙煎昆布」や「おしゃぶり昆布」、
短冊状の函館真昆布が直接ボトルに入った「真昆布だし しょうゆ」など
幅広い商品を取り揃えています。

お土産には種類豊富な昆布を!

南かやべ漁業協同組合直販加工センター
所在地函館市川汲町1546番地12
電話番号0138-25-5574

函館市に行かれた際は、ぜひ「函館真昆布」を探してみてください。
函館市のどの地区の昆布が自分の推しか探してみても面白いかもしれませんね。

函館市の浜からは以上です。   


【3月12日 仲間達と一歩ずつ  ~福島と小松諒平~  (下)】

知って欲しい福島県の放射性物質調査

ここで、改めて放射性物質のことを振り返り学んでいただきたい。

放射性物質は、もともと宇宙が誕生した時から存在するもので、我々のごく身近なところにも存在している。

原発事故とは関係なく、日本人1人が食品や空気、医療の放射線検査などから1年間に受ける平均被ばく線量は約6ミリシーベルトと言われている。
※出典:(公財)原子力安全研究協会「新版生活環境放射線」(2011年)



これに加えて、食品を摂取することによって追加的に受ける被ばく量の上限を年間1ミリシーベルトとする指針を、食品の国際規格を定めるコーデックス委員会が定めている。

日本やEUはこの考え方を採用し、日本では食品由来の被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超えないように基準値(100ベクレル/kg)を設定している。

【参考:放射性物質に関する単位】

シーベルト(Sv):人体が受ける被ばく線量を表す

ベクレル (Bq):放射能の強さを表す


この100ベクレル/kgの基準値を超える水産物が流通しないように、国、県と各漁協が放射性物質のモニタリング検査を実施しているのである。

震災直後から、これまで全国で約15万検体の放射性物質のモニタリング検査を行ってきた。
このうち、福島県内では約7万検体を検査し、海面においては、平成27年度(2015年)以降、平成30年度(2019年)に基準値超過が1検体検出されたのみとなっている。
※その後、基準値を超過し、出荷制限指示が出されたコモンカスベについて、1,008検体を検査し、安全性が確認されたことから、令和2年2月に出荷制限を解除。

 
福島県産海産種の検査の結果



福島県(相馬双葉漁協)による放射性物質検査の様子は、誰でも見学可能。


なお、国際原子力機関(IAEA)は、この日本の放射性物質の基準値の設定、モニタリング検査体制や出荷制限などの措置は『市場に流通する海産物の安全性を確保している』と評価している。
※出典:IAEA「MISSION REPORT IAEA INTERNATIONAL PEER REVIEW MISSION ON MID-AND-LONG-TERM ROADMAP TOWARDS THE DECOMMISSIONING OF TEPCO’S FUKUSHIMA DAIICHI NUCLEAR POWER STATION UNITS 1-4 (Second Mission)」(2014年)

 

風評被害の恐ろしさ

上述したように、福島県の水産物は適切な基準値の下しっかり検査され、基準値を超過した水産物が検出された場合、出荷制限の措置がなされる体制が整備されており、安全であることは理解できると思う。

しかしながら、現在の福島県産水産物の流通量は震災前に及ばない。

ここで、消費者庁が実施した「放射性物質をテーマとした食品安全に関するインターネット意識調査(H31.3.6)」の結果を見てみると、https://www.caa.go.jp/disaster/earthquake/understanding_food_and_radiation/pdf/understanding_food_and_radiation_190306_0001.pdf

福島県産の食品を全く購入していない者(福島県以外)は23%であり、魚介類に至っては30%に及ぶ。


「福島県産の食品を購入していない」と回答した理由のうち、「日常生活の範囲で売られていないから」が最多で39%、次いで「なんとなく」が17%、「放射性物質が不安だから」が15%となっている。

また、「あなたの日常の生活の範囲内で、福島県産の食品を見かけますか」という問に対し、魚介類は、「あまり見かけない」又は「ほとんどみかけない」が44%にも上ることが分かった。
立谷組合長が言っていた「国民のなんとなく他県の魚を選ぶ感覚に、流通業者が敏感になっている」ことが裏付けられた形だ。これでは、漁獲量を震災前に戻すことは難しい。
他の選択肢があるからこその消費者の「なんとなく」という感覚と、それを踏まえた商品を提供しなければいけない流通業者の経営感覚は、簡単に否定されるべきものではないのかもしれない。
しかし、この風評被害によって漁獲を増やすことが出来ない、現場の小松さん達漁業者は困っているのだ。

これが風評被害の恐ろしいところである。

国や県では、この風評被害対策として、販路回復に向けた個別指導やセミナーの開催、被災水産物・水産加工品の安全性や魅力の発信や、販路回復に必要な機器整備などの支援を行っている。

また、JF福島漁連、福島県とイオンリテール(株)が連携した福島県産常設鮮魚コーナー「福島鮮魚便」を、首都圏を中心とした一部イオン店舗で展開し、品質や安全性をアピールしている。


福島県産常設鮮魚コーナー「福島鮮魚便」 



県内各地で催されている「おさかなフェスティバル」の様子



水産庁職員による放射性物質に関するセミナーの様子

 

本格操業に向けて、一歩ずつ

「早く本格操業がしたい。」
漁港でその日は出漁の機会がなかった效漁丸を見ながら小松さんは言う。



「安全性に問題はない。けれどなかなか流通量が増えないし、自由に操業も出来ない焦りはある。やる気を無くしかけている漁師もいる。」

福島県の漁業者は、福島県産水産物の消費量と漁獲量がなかなか震災前のレベルに戻らない焦りと、昨今のトリチウム水の処理方法をめぐって、本格操業に向けて先を見通せない不安を抱えているという。

「焦る気持ちはあるが、一歩ずつ福島の漁師達とやっていきたい。操業と出荷のルールを守って、ちゃんと検査して、俺たちが獲る福島の魚は安全だし、なによりも旨いということを、全国のみんなに知ってもらいたい。」


今年の4月には請戸漁港の魚市場の開場が控えている。


小松さんは、操業できない時こそ、全国の漁師仲間たちや流通関係者との情報交換・交流を欠かさない。

漁の道具を作ること、網を縫うことや船のメンテナンスなど、なんでも自分でやってしまう小松さんは、漁師仲間達からその作り方や縫い方などの教えの依頼があったら、全国どこでも行って教えるという。

「漁が出来ない時は、やれることをやればいい。困っている奴らがいたら助け合うのが仲間ってもんだろ。自分の浜や福島だけでなく、みんなで日本の水産業を盛り上げて行きたい。」


小松さんが所属している全国の格好いい漁師集団「全国ヤカラ連合」(通称「全ヤ連」)

そう語る小松さんは、昨年東北地方を襲った台風などの低気圧被害によって、集落が孤立し、断水や停電が起こった際に、全国の仲間達から水や食料などの救援物資が山ほど届いたという。


「福島の漁業を盛り上げていきたいという気持ちは強い。だけど、俺たちだけでは力不足だから、力を貸してほしい。」

こみ上げるものを我慢してがっちり握手して答えた。

「当たり前だろ。」

 

この記事を読んでいただいた皆さんには、彼らを「食べて応援」するために、福島県産の水産物を「なんとなく」避けるのではなく、ぜひとも積極的に選んでもらって、福島県で頑張っている小松さん達漁師さんのことを思い浮かべながら、その美味しさを味わっていただきたい。

我々、水産庁も、放射性物質に関する情報や、福島県産水産物の取扱などを随時公開し、その安全性や魅力を伝えていきたい。

【参考1】水産物の放射性物質調査の結果について(水産庁HP)
https://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html

【参考2】知って欲しい  放射性物質検査の話(パンフレット)(水産庁HP)
https://www.jfa.maff.go.jp/j/koho/saigai/attach/pdf/index-53.pdf

【参考3】放射能と魚のQ&A(国立研究開発法人 水産研究・教育機構HP)
http://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/radioactivity_pamphlet2018/cover_index.html

【参考4】放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(環境省HP)
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo.html

【参考5】食品と放射能Q&A(消費者庁HP)
https://www.caa.go.jp/disaster/earthquake/understanding_food_and_radiation/material/



【3月11日 仲間達と一歩ずつ  ~福島と小松諒平~  (上)】



「福島の漁業をなんとかしたい」

ある朝、満員電車に揺られ、漁師の仲間達とSNSで会話をしていた。
そこで「はじめまして」を交わした福島県の漁師さんから直接メッセージが届いた。

「福島の漁業をなんとかしたい。」

SNSでのアカウント名以外、顔も年齢も分からない。

聞くと、この漁師さんが福島県で獲っている魚が安すぎるというもので、原因を探りにその日に上京して市場関係者に話を聞きに行くのだという。
会うには充分すぎる理由だった。失礼を承知で返信した。

「今晩会いませんか?」

電話番号を聞き、指定されたのは都内の漁師さんの知人宅だった。

普通行かない。
けれど、「福島の漁業をなんとかしたい」とメッセージを送ってきた人に会いたいという気持ちが強く、反射的に返信してしまったのだ。

指定のお宅へ向かうと、まさかの全員30代で同世代。
他省庁の人もいれば、なんらかの形で一次産業と関わる職業の人達ばかり。さらには共通の友人だという人が山ほど出てくる。

少しばかり緊張が解けた。


私に連絡をくれたのは、小松 諒平(こまつ りょうへい)さん。
東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所から約6キロのところにある浪江町、請戸(うけど)漁港に船を置き、震災後も父親と二人三脚でヒラメ、カレイ、シラスやシラウオなどを獲っている36歳の漁師さんだ。


見た目はコワモテのThe漁師!といった感じだが、すごく優しい。


小松さんから、2011年3月11日の東日本大震災の日のことを伺った。
命がけで船の「沖出し」に出たこと。翌日港に戻ったら、地元の変わり果てた町並みだったこと。

その後、彼自身も苦しみ漁業を辞めてしまおうかと思ったこと。

それでも、命がけで守った漁船「效漁丸(こうりょうまる)」と両親の存在が心の支えとなり、そして何よりも「ここ福島でもう一度漁業がしたい。ここでやめたら、福島の漁業はだめになってしまう。生き残った者として恥ずかしくないようにやっていかなきゃ」という気持ちを持ったこと。

私は、涙無くしては彼の話を聞くことができなかった。

この日は、福島県の水産業の復興に向けてなにをすべきかについて、何時間も語り合った。気がついたら終電時間を大幅に過ぎていた。

別れ際、「福島に来て、俺の船に乗ってくれ。」と言われ、「必ず行くよ」と握手をして別れた。

「出会いは一瞬、繋がりは一生」を肌で感じた一日だった。

 

東日本大震災、福島第一原発事故から9年

東日本大震災から9年が経過した。
津波により多くの命・建物が失われ、その後の東京電力福島第一原子力発電所事故により、一次産業に多くの被害をもたらした。
特に水産業は事故後から放射性物質の基準値を超える水産物が相次いで発見され、操業の停止・出荷制限などが福島県を中心としてなされた。

浪江町の海岸部では、現在でも被害を受けた家屋がそのままの形で残っている。


筆者も原発事故直後に福島県に派遣され、食料配給のオペレーションや各地の情報収集のほか、放射性物質のモニタリング体制づくりをした経緯もあり、9年たった今でも、あの時のことは昨日のことのように覚えているし、検査の状況も定期的に気にして見ている。

そんな中、小松さんから届いた「福島の漁業をなんとかしたい」というメッセージには、反射的に反応したし、自分の中の何かが背中を押したような感じがした。

震災から9年が経過した現在の福島の現状をみんなに知ってほしいと思い、福島県への取材を決めた。



福島県に着くと、「おー!よく来てくれたね。待ってたよ。」と笑顔の小松さん。

がっちり握手してから相馬市にある相馬原釜地方卸売市場に向かい、朝の水揚げを見学させてもらった。

相双地方の漁業者は各地の漁港で水揚げし、トラック等で松川浦漁港の相馬原釜地方卸売市場まで陸送している。請戸漁港に船を着ける小松さんも片道1時間かけて運んでいるという。

福島県の景勝地・松川浦。事故直後に訪れた際は、船や家が浮び、海面には油膜が張っていた。現在は静かな空気が流れていていた。


福島県と茨城県沖の水産物は「常磐もの(じょうばんもの)」と呼ばれる。

「常磐」とは常陸国(ひたちのくに:茨城県の大部分)と磐城国(いわきのくに:福島県浜通り)の頭文字をとった地域のことで、親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかるため、豊富なプランクトンをたくさん食べ、強い潮の流れにもまれているため、上質な水産物が獲れる地域として有名だ。


常磐の「寒ヒラメ」は有名だ。小さいものは獲らないという資源管理を行っているのでサイズも大きい。


この時季は、白魚(イシカワシラウオ)漁や、底びき網漁業の水揚げが盛んに行われている。


入港する沖合底びき網漁船


白魚の選別風景。「お兄ちゃん達どっから来たん?今晩うちに泊って魚食っていきなよ」とのお声がけをいただく。

 


常磐沖は魚種が豊富だ



市場での魚の選別作業など競りに向けた仕事は女性の活躍が目立つ。


一度に多くの水揚げが可能な沖合底びき網漁船が入港すると、市場は一気に活気を帯びる。
船から市場に水揚げされる多種多様の魚。
威勢の良いかけ声。
行き交うフォークリフト。
市場関係者のみんなが無駄の無い高いパフォーマンスで与えられた仕事をこなす。



ここには間違いなく活気のある産業「水産業」が存在し、その中で働く人たちの息づかいが聞こえる。
見ているだけで体温が上がるのを感じた。


「これでも震災前に比べて(水揚量は)かなり少ない」
そう語るのは、相馬双葉漁協の立谷組合長だ。


震災前は市場の荷さばき場いっぱい×3回分が水揚げされ、早朝から夕方まで水揚げが続くこともあったという。


「震災前は福島県の沿岸漁業で2万5千トンの水揚げがあったが、今は4千トン程度しかない。」

福島県では、沿岸漁業と底びき網漁業は、原発事故の影響により操業自粛を余儀なくされており、本格操業再開に向けた「試験操業」を行っている。

試験操業とは、放射性物質のモニタリング検査によって、安全が確認された魚介類のみ小規模な操業と販売を行い、流通先の確保と出荷先での評価を調査するために、試験的に操業を行うことをいう。

試験操業の日数などは、漁業者、流通業者や漁協関係者などの水産関係者のほか、国、県や有識者が集まった会議で議論・決定されるが、各漁業者は毎日のように漁に出られるわけではない。各漁業者は週2~3回程度しか漁に出られないのだ。

「基準値を超えて放射性物質が検出されることはなくなったが、一度失った販売先を取り戻すのは難しい。国民の放射性物質に対する理解力は上がってきているが、同じ魚なら『なんとなく』他県の魚でもいいやと思ってしまい、それを流通業者が敏感に反応する。流通業者も商売なので仕方が無い部分もある。」

「だからといって、落ち込んではいられない。ちゃんと放射性物質の検査をやって、福島の魚が安全・安心だとしっかり説明し、販売先を地道に増やしていくことが大事。」

市場で働くみんなに声をかけながら水揚げの様子を見守る立谷組合長が印象的だった。



仲間達と一歩ずつ ~福島と小松諒平~ (下)に続く



【3月5日 資源管理のすすめ➁ ~資源管理の方法~】

資源管理のすすめ➀(2019年12月25日ブログ)では、資源管理とはなにか、なぜ資源管理が必要なのかということを紹介しましたね。
では、今回は実際にどうやって資源管理を行っていくのか、お話ししていきたいと思います。

まず、前回のおさらいをすると、水産資源をずっと利用していこうと思ったら、好き放題に漁獲してはいけないということでしたね。

つまり、そうならないためには何らかの方法で漁獲を管理していく必要があります。
では、どのような方法があるのでしょうか。

ある干潟での潮干狩りを例にして考えてみましょう。
その干潟のアサリがすぐにいなくなってしまわないようにしながら、潮干狩りを続けていくためにはどうしたらよいでしょうか。

潮干狩り

(1)あまりにたくさんの人が毎日のように潮干狩りをすると、獲りすぎになってしまいます。
「1日100人まで」と入場制限する、または「潮干狩りは土日だけ」と開場日を決めるなどといった方法が対策として考えられますね。

(2)小さな貝まで獲ってしまうと、翌年はちょうどよいサイズのアサリはいなくなっているかもしれません。獲ってもよい大きさを、例えば「貝殻の長さ3cm以上」などと決めて、これから大きくなる貝を獲らないようにすることも重要です。

(3)潮干狩り名人が何人もいて、毎回100kg、20kgと獲っていったらどうなるでしょうか。そのような場合を考えると、あらかじめ「お持ち帰りは1人1日2kgまで」といったルールを決めておく必要がありそうです。

こういったルールづくりは実際の漁業の現場でも行われています。

(1)のような方法は、「投入量規制」といい、漁船の大きさや隻数、操業日数などに制限を設けることにより、資源に対する漁獲圧力を「入口」で制限するものです。

(2)のような方法は、「技術的規制」といい、網目の大きさなど魚を獲る道具の制限、漁獲をしてはいけない場所や時期、魚のサイズの設定などを行い、産卵する親魚やこれから大きくなる若い魚の保護など特定の管理効果を得るものです。

(3)のような方法は、「産出量規制」といい、漁獲の結果として得られる漁獲量に制限を設ける方法です。例えば、資源状況に応じて漁獲してもよい総量をあらかじめ設定するTAC(タック:漁獲可能量)や、TACを漁業者や漁船に配分するIQ(アイキュー:個別割当方式)といった手法を用いて、漁獲量がそれらの総量や配分量を超えないよう漁獲圧力を「出口」で管理するものです。

実際には、対象となる資源の状態や漁業種類、地域の実態などに合わせて、これら3つの方法を使い分けたり、組み合わせたりして、資源管理が行われています。

これは日本中のどんな漁業でもいろんな形で行われているのです。

少し具体例を紹介していきましょう。

例えば、テレビ等でも報道されているクロマグロについては、国際的な取り決めに基づいて、TACによる厳しい「産出量規制」が行われていますが、これに加えてクロマグロを漁獲する漁船の隻数も制限「投入量規制」がなされています。

他にも、秋田県の郷土料理、しょっつる鍋などに欠かせないハタハタについては、過去に漁獲量が激減したため、秋田県内の漁業者間で3年間漁獲を禁止する取り決めが行われました。

資源が回復して漁獲が再開された後も、漁獲をしている網の数の制限や産卵魚の保護のため漁獲してはいけない場所を決めるなどの取組が行われています。

さかな

このように、様々な方法を組み合わせて資源管理は行われているのです。

2018年12月には、漁業法が70年ぶりに大幅改正されました。この改正で最も大きく変わった1つに「資源管理」が挙げられます。

次回は、資源管理のやり方が今後どのように変化するのか、お話したいと思います。

資源管理図解

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