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水産庁

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(2)小学校における水産業や水産物に関する学習

 

小学校では、小学校学習指導要領(平成29年文部科学省告示第63号)の「社会」において「水産業」に関する記述があります。また、「家庭」においては、「和食の基本となるだしの役割」についての記述があり、その学習の際、煮干しや昆布、かつお節など様々な材料からだしをとることについて触れることが考えられます(表2-1-1)。

表2-1-1 小学校学習指導要領における「水産業や水産物」に関する主な記述(抜粋)

表2-1-1 小学校学習指導要領における「水産業や水産物」に関する主な記述(抜粋)

全国各地の小学校の実際の授業では、これに留まらず、例えば、総合的な学習の時間や学校行事、あるいは、社会教育施設の学校教育との連携などにより、様々な機会で「水産」に触れる機会があります。

しかし、以前とは違い、子供たちが普段の生活において海や川に行き、直接体験する機会は多くはないと推察されることから、将来の水産分野を担う人材育成のためには、体で直接感じる機会を増やすことが重要であると考えられます。

事例北海道札幌市立東白石ひがししろいし小学校
さけ学習を通して学ぶ「命」「自然」そして「未来」~サーモンプロジェクト~

北海道札幌市立東白石小学校では、子供たちに命や自然環境を大切にする心を育んでもらおうと、体験学習の一環として、5年生の児童を中心に全校でサーモンプロジェクトとして「さけ学習」に取り組んでいます。

東白石小学校は、小学校ではとても珍しい「さけ学習館」という「ふ化施設」があり、地下水をくみ上げたプールで人工授精から稚魚の飼育・観察までを子供たちが実際に体験することができ、育てた稚魚は札幌市内を流れる豊平川とよひらがわに放流しています。このサーモンプロジェクトでは、10月下旬に「遡上そじょう観察」を、11月には「授精式」を行っています。

「遡上観察」では、豊平川へ行き、川に上ってくるさけの様子を観察します。豊平川で捕獲したさけを間近で見たり、触ったりすることで生命の力強さを実感することができます。

「授精式」では、児童自ら先ほどまで生きていたメスのお腹を開き、卵を取り出します。取り出した卵に精子をかけ、鳥の羽で優しく混ぜた後、水につけて受精させます。さけの新しい命をスタートさせることによって、命をつなぐことの大切さを学んでいます。

また、「授精式」で命の終わりを迎えたさけは、保護者ボランティアの協力で調理され、児童は、命の大切さも学び、感謝して食べています。

豊平川では近年、自然繁殖したさけの遡上が増えてきたことから、札幌市が平成26(2014)年から「札幌ワイルドサーモンプロジェクト」という取組を始めています。さけの生態が詳しく分かってきたことにより、放流数を減らし、自然産卵のさけの数を増やしていこうという取組です。東白石小学校は今後も「札幌ワイルドサーモンプロジェクト」と連携しながら、「命の学びの場」としてさけ学習を続ける予定です。

遡上観察の写真
授精式の写真
放流式の写真

事例島根県浜田市立長浜ながはま小学校 ~Nagahamaマリン郷育きょういく

島根県浜田市立長浜小学校では、ふるさとの海をテーマにした学習「Nagahamaマリン郷育」が行われています。

「Nagahamaマリン郷育」の舞台となる熱田あつた海岸は、長浜小学校から100m先に広がる長浜の地名どおり細長い砂浜が続く海岸です。

児童は、浜辺の様子や生き物の観察、海浜清掃など、「海に親しむ」ことから始まり「海を知る」ことで海への関心を高め、さらに、海と人との共生のために「海を利用」しながら「海を守る」ことの大切さを学んでいます。

4年生の児童は、「ふるさとの海をきれいにしよう」という気持ちで海浜清掃をしています。拾ったごみの中には大陸からの漂流物もあり、どこから流れ着いたか調べています。

また、市内にある浜田水産高校の協力の下、市の特産物である「どんちっちアジの開き」に挑戦しています。さばいたアジは家に持ち帰り、魚料理が苦手な児童も自分がさばいた魚ということもあり喜んで食べるそうです。

さらに、浜田の海を調べてみたいという児童の願いを受け、水産高校の実習船へ乗るなどして、海に親しんでいます。

児童にとっては身近な海ですが、知らないことも多く、海に関わる学習を通して、ふるさとの浜田・長浜の宝である「海」に対する愛着が深まり、より身近なものになっています。

海浜清掃の写真
水産高校の実習船見学の写真

コラム「われは海の子」プロジェクト(特定非営利法人海のくに・日本)

子供たちが海や水産業に触れる機会は学校の授業以外にもあります。NPO海のくに・日本は、日本周辺には広大な海が広がっていることや6千以上の離島を持つ海洋国家であることを伝え、海と魚に感謝の心を養うことを目的に小学生を対象にした離島学習活動「われは海の子」プロジェクトを平成24(2012)年より毎年実施しています。これまで18の島々を訪ね、離島の生活ぶりや漁業の仕組みを小学生自ら取材し発信してきました。

平成31(2019)年2月には、東京都豊島としま区立仰高ぎょうこう小学校4年生の5人が「こども記者 三宅島みやけじま取材班」として伊豆諸島の三宅島を訪問しました。

三宅島では漁業協同組合(漁協)、お魚センター、郷土資料館等を回り、子供ならではの視点で島の産業や歴史・文化、自然環境を取材し、地元の小学生とも交流しました。漁協では漁獲されたキハダの水揚げや出荷のための箱詰め等の様子を見学したり、漁協の組合長から資源管理などの漁業のルールや船倉への氷の搬入などの操業前の準備の大切さ等について教わるなど、都会では味わえない初めての体験を重ね、子供たちは楽しみながら多くのことを学びました。

取材を終えた後の3月に「われは海の子フォーラム」が仰高小学校で開催され、三宅島を訪れた子供たちは今回の体験で学んだことを工夫を凝らした楽しいプレゼンテーションで他の子供たちに紹介しました。NPO海のくに・日本は今後も、子供たちが海や水産業に触れ合う機会に恵まれるよう活動していく予定です。

キハダの水揚げの写真
組合長に取材の写真

コラム子ども水産大学(日本水産学会webサイト)

日本水産学会は、webサイト上で、子供向け用に「子ども水産大学~イルカ島へようこそ!」を提供し、水産業や海、魚の研究を紹介しています。その中の「水産大学」のサイトでは漁業講座やバイオテクノロジー講座などを、「市場」、「漁港」などの施設のサイトではそれぞれの機能と役割などを分かりやすく解説しています。また、「むつごろうケミカルズ」のサイトでは、かまぼこや缶詰など食品だけでなく、医療など他分野での海の生物の利用方法も紹介しています。

子ども水産大学(日本水産学会)webサイトの写真