第2節 水産物の食料安全保障に向けた新たな動き
食料は、人間の生命の維持に欠くことができない必需品であり、最低限のカロリー摂取はもちろんのこと、様々な栄養素を含む多様な食材を摂(と)ることは健康で充実した生活を送る上で重要です。将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給されることは、食料安全保障の基本的な考えとして実現されるべき課題です。一方、世界の食料需要については、世界的な人口増加や新興国の経済成長により増加し、水産物においても、アジアやオセアニアなど魚食習慣のある新興国を中心に需要が増加しており、食料の安定供給に対する国民の不安も高まっています。
このような状況において、第1節で見てきたとおり、水産物やそれを生産するための燃油等の資材の相当な部分を海外に依存している我が国では、国際情勢を受けた水産物や漁業生産資材の輸入価格の高騰等によって水産物の安定供給が脅かされるリスクを抱えており、今般のロシアによるウクライナ侵略等によりそれが顕在化しました。このため、古くから国民の重要な食料として利用されてきている水産物についても、農産物と同様に食料安全保障の強化を図ることが急務となっています。
本節では、現行の我が国農林水産施策における食料安全保障の位置付けや取組について説明した後、水産物に着目した食料安全保障に係るリスク評価や対応等について記述します。
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